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3年目を迎えて語る“今の七海ひろき” WebNewtype独占インタビュー

宝塚歌劇団卒業後も、作品に寄せる誠実なまなざしと高い表現力で多くの人を魅了し続けている七海ひろきさん。来年、舞台「『刀剣乱舞』禺伝 矛盾源氏物語」で、刀剣男士・歌仙兼定を演じることも話題です。ニュータイプ11月号では、この秋、放送されるドラマ初主演作『合コンに行ったら女がいなかった話』の見どころをメインキャスト6人で語り合った会見の模様を掲載。さらに、そうした舞台や映像のお仕事をはじめ、まさに〝七つの海〟をまたにかける活躍において、なお深まる「声優」としての思いをWebNewtypeに向けてお話くださいました。

七海ひろきさん
七海ひろきさん

――ニュータイプ2019年2月号掲載のインタビューでは、新境地へと漕ぎ出す強い覚悟を伺いました。その際、宝塚の教えである「清く正しく美しく」にちなんだ「声優にとって必要だと思うものは?」という質問に「瞬発力・対応力・集中力、そして、爽やかに」と回答されていますが、3年目を迎えて変わったところはありますか?
七海 変わらず根底にあるものです。あと、それに加えて言うなら、七海ひろきとして「意外性」が必要だと思うようにもなりました。先輩方が積み上げてこられた素晴らしい技術のもとで役と巡り会った時に、舞台をやってきた私だからこそのアプローチをもって「おもしろい」と思っていただけたらいいなと思うんです。前回、お話させていただいた頃に比べると「この役はこう演じてみようかな」ということをあれこれ考えられるようにもなったので、もっともっと突き詰めていきたいです。

――『ヴィジュアルプリズン』では、役柄自体にも意外性を持ってイヴ・ルイーズとカルミラ・シャンドンの2役を演じられました。キャラクターソングとともに繰り広げられるアクションシーンでは「七海さんのカッコ良さに絵が負けるわけにはいかない」と、作画スタッフが尽力された……というお話も聞いています。
七海 本当ですか? うれしいお言葉です。とても難しいキャラクターソングで、最初は自分にできるのか不安も大きかったのですが、それゆえに制作スタッフさんたちと相談しながら作っていった印象も強く、思い入れがあります。イヴのオーディションを受けたのですが、アフレコが始まってから「カルミラもやっていただくことにしました」と言われて驚いたり、本当にさまざまな挑戦をさせていただいた作品でした。共演者のみなさんとのライブイベントも楽しかったですし、声優のお仕事を始めなければ出会えなかったかもしれない方たちとお芝居ができたという意味でも、とてもありがたい現場だったなと思います。すごいなと思ったのが、みなさん普段の何気ない会話が〝いい声〟なんです。私もコンビニやタクシーの受け答えですらハッとさせられるような声になりたいなと思いました(笑)。

――ほかにも、西尾維新作品らしい長台詞をも麗しくやり遂げられた『美少年探偵団』の美女・麗、ご自身が原作の読者でもあった『SHAMAN KING』の麻倉葉王、アニメオリジナルのキャラクターとしてミステリアスな存在感を放った『RWBY 氷雪帝国』シオン・ザイデン、はたまた『インセクトランド』での愛らしいイケメンマメコバチのテオなどなど……さまざまな役柄を演じています。本当は一人ひとりについてお話を伺いたいところなのですが、あらためて、キャラクターたちとの出会いを振り返って思われることはありますか?
七海 本当にどのキャラクターも、気持ちを込めて練習しましたし、アフレコにも全身全霊で臨みました。舞台で演じるときよりもさらに強く感じるのが、キャラクターに合った声を当てることの大切さです。よく先輩方も「役を与えてもらって初めてできる仕事だから」ということをおっしゃるのですが、本当にそのとおりだと思います。キャラクターがいるから、がんばれる。私の演じたキャラクターを好きだと言ってもらえるのが何よりもうれしくて、七海ひろき自身とはまた別の軸で走っていく存在がこれからも増えていったらいいなと思っています。

――七海さんをきっかけにアニメをご覧になられる方の声も聞かれるのではないでしょうか?
七海 そうですね。私自身、本当にアニメが好きなので、自分をきっかけに「こういう世界があるんだ」と知ってもらえるのはすごくしあわせなことです。よく「無理はせず、自分のペースで応援してもらえたらうれしい」と話しているのですが、色々なアニメ作品を見ていくなかで、何か一つでも好きな作品と出会ってもらえたらいいなと願っています。アニメは奥が深いので、私だけでなく、気になった共演者の方の他の出演作を見てみたり、好きだなと思った監督さんや制作会社さんの新作をチェックしたり新たな楽しみを見出していただけたりしたらすてきですね。

――音楽面では、名だたる声優やアニソンアーティストを擁するキングレコードに所属されたことも大きな変化のひとつですね。
七海 とても活躍されている先輩方が沢山いらっしゃるなかで、私がどんな顔をしてそこにいたらいいんだろうというプレッシャーはあります。でも、ひとつひとつ精一杯やっていくことでつながっていくものがあると思うんです。先輩方の背中を見ながら、そうやってついていきたいという気持ちでいます。

――メインキャスト6人で主題歌も歌われる初主演ドラマ『合コンに行ったら女がいなかった話』の放送も楽しみです。七海さんは、学内で謎の「SSRのプリンス」と噂される〝正統派王子様系〟男装イケメンの蘇芳を演じられます。
七海 大学生の男の子たちが合コンに行ったら相手は男装の女性たちだったという、奇想天外な始まりで、最初に原作を読んだときからおもしろくて夢中になってしまいました。毎話、さまざまな「キュン」のかたちが描かれるのですが、原作の魅力を少しでも具現化できていたらいいなと思っています。

ドラマ『合コンに行ったら女がいなかった話』より
ドラマ『合コンに行ったら女がいなかった話』より

――そうした多岐にわたる活躍が掛け合ってこそ、天井知らずの表現力が磨かれるんですね。
七海 そうあれたらいいなとは思うのですが……(笑)。ただ、ドラマの撮影で、シーンを部分的に演じたり、ディレクションにすぐ応える瞬発力が求められるのは、アニメのアフレコとも似ているなと感じました。日数をかけて公演していく舞台とはまた違うので、声優のお仕事をしていなかったらもっと戸惑っていただろうなと思います。声優活動を通して学んだことがもう一つあり、宝塚時代はマイクに声が乗りづらいことが悩みでしたが、最近の舞台では解消されつつあるんです。経験させていただくすべてのことがプラスに関わり合うことで作れるものがあるのだと信じ、研鑽していきたいです。

――最後に、七海さんのさらなる活躍に期待されている方々へメッセージをお願いします!
七海 舞台にも言えることですが、ひとつの作品が作られるとき、そこに集まるスタッフとキャストは一期一会だなといつも感じています。そうした方々の熱を間近で感じ、私もその思いを作品に注ぎ込むのだという責任をより強く感じるようになりました。声優として、まだまだ未熟なので、「七海ひろきって何してる人?」と不思議に思われているところがあると思いますが……作品に携わられている方たち、そして、それを楽しみにしているみなさんのことを考えて、今の自分にできる精一杯をお届けしていくことで、また次の一歩へとつなげていきたいです。3年目もがんばりますので、どうか温かく見守っていただけたらうれしいです。

【取材・文:キツカワトモ】

ドラマ『合コンに行ったら女がいなかった話』
●10月20日より毎週木曜関西テレビにて深夜24:25~、TOKYO MXにて深夜25:00~

リンク:七海ひろき Official Website
    「合コンに行ったら女がいなかった話」公式サイト
    七海ひろき公式Twitter・@hirokinanami773
    「合コンに行ったら女がいなかった話」公式Twitter・@goukon_ktv

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