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注目スタジオが集結!「アニスタ」リクルートデイのイベントレポートが到着!

1月27日(日)、2月9日(土)&10日(日)、WIT STUDIOが中心となって開催されたリアルイベント『アニメスタジオミーティング(アニスタ)』が行われました。2日目となる2月9日はリクルートデイとして参加各社が会社説明会とブースでの企業説明や個別面談を開催。そのレポートが到着しました。

まずは、WIT STUDIOの代表取締役・和田丈嗣氏と取締役・作画の浅野恭司氏が登壇。会場に詰めかけたアニメ業界を目指す就活生たちに向け、基調講演&OPトークを行った。そこで語られたのは、アニメ業界を目指す学生たちに「自分たち自身で直接アニメーション現場の変化を語りたい」というものだった。

続いて、このイベントに参加したWIT STUDIO、MAPPA、CloverWorks、コミックス・ウェーブ・フィルムの4社の代表による会社説明会が行われていく。

最初に会社説明を行ったのはWIT STUDIO。OPトークを務めた和田氏と浅野氏に加え、同社の制作・山田健太氏とデジタル作画・手塚響平氏が登壇し、これまでWIT STUDIOが制作してきた作品を紹介していった。

設立から7年目を迎えた同社は、昨年、従来得意としてきたハードなアクション作品に加え、『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』という子供向けの作品にも参加した。これについて和田氏は「スタジオの中で多様性を作ろうと思っている。子供向けの作品にも積極的にかかわるために茨城スタジオを作ろうと思いました」と説明。

また、制作志望、クリエイター志望、それぞれの学生のために、山田氏からは制作の仕事について、手塚氏からはクリエイター側の仕事についての説明がなされた。特に同社のクリエイター部門の特色として語られたのは、キャリア上の動画と原画を分けていること。他社では動画担当として採用された者が1、2年のキャリアを積んで原画を担当するようになるが、アニメ制作が洗練されてきた事によって難しくなってきた。同時にデジタル化で仕上げとの壁がなくなったこともあって、作画の最終工程を担う部署、人材として独立、地位の確立を目指す。

次はMAPPAによる会社説明会。同社の制作部長・野田楓子氏、制作部・瀬下恵介氏、CGI部長・淡輪雄介氏、作画部長・高田陽介氏、演出部・境宗久氏、仙台スタジオ所長・大井川亮氏の6人が登壇し、それぞれの立場からアニメ制作について解説していった。

2011年6月に設立したMAPPAは、比較的新しいアニメスタジオである。そのため社員の平均年齢も若く、男女比でいえば6:4で女性の方が多い。社内には風通しの良い環境が整っており、担当する作品についてもトップダウンではなく一人ひとりとの話し合いを重視して決定されるという。

これは制作スタッフにもクリエイター部門のスタッフにもいえることで、どちらの若手からも「いろんなことが挑戦できる場所です」との説明がなされた。

そんな中でベテランの世代となる境氏は「これまでの経験を生かして、若手の方たちと一緒にうまくいく方法を探っていければ」とコメント。若い会社ながら、業界を知り尽くしたスタッフに気軽にアドバイスを受けられる環境も整っているようだ。そうしたサポートを受けながら、個人の頑張り次第で年齢に関係なくキャリアアップできるのが、同社の特長となっている。最後に境氏が「チャンスはゴロゴロ転がっている」と伝え終了した。

3番目に会社説明を行ったスタジオはCloverWorks。登壇したのは、代表取締役の清水暁氏、執行役員・プロデューサーの福島祐一氏、そして制作部に所属する成田真一郎氏と碇由衣氏である。

それぞれの登壇者が自己紹介をしていく中で、清水氏と福島氏が中心となって会社の概要を説明。昨年の4月にA-1 Picturesから分社化したCloverWorksは、分社後の作品こそまだ少ないものの、各プロデューサーがA-1 Pictures時代に制作した作品が同社へと継承されており、「THE IDOLM@STER」シリーズや「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などの管理もCloverWorksが行っている。

続いて、壇上のモニタに求めている人材として「想像&創造できる人〈Create,imagine,realize〉」という文字を表示。これについて清水氏は「創造(想像)できる人こそ、この業界で生き残っていく人だと思います」と語るとともに、自由に創造(想像)した上で、それを実現させられる人材を求めていると告げた。

さらに参加者との質疑応答が行われた後、エンタメ業界でも求められている〈働き方改革〉について、清水氏は「そこは作り方を変えていこうと思っているので、安心して飛び込んでもらえれば」と語り、締めくくった。

最後の会社説明はコミックス・ウェーブ・フィルムが担当。プロデューサーの酒井雄一氏と広報・監修の中辻健太郎氏が登壇し、会社の概要を説明していった。

同社では通常のスタジオが行っているアニメ制作だけでなく、作品の配給、パッケージの販売、海外セールス、版権管理まで、制作した作品にかかわる業務を一気通貫に行っていることを解説。元々は自動車のセールスマンだったという酒井氏は、同社の構造を自動車にたとえ、「良い作品を制作する前輪と、パッケージ販売や海外展開利益を上げる後輪の両軸があるのが強み。その利益を新しい才能の発掘にあてることもできる」と語り、新たな人材の発掘も積極的に行っていることをアピールした。

また、実際のアニメ制作現場や会社の仕事風景を学生がイメージできるよう、壇上のモニタにて社内の様子を写真で紹介。明るく広いスペースで、アニメーターらがゆったりと作業できる環境が映し出された。さらに、スタッフたちは週何回かプロのマッサージャーにマッサージを受けることも可能であり、バランスが取れたお弁当を会社側から支給される日もあるなど、社員の健康や作業環境を常にケアしていることが紹介された。

この日、最後のステージとなったのは、参加スタジオ4社の代表者によるトークセッション。各社の代表としてWIT STUDIO代表取締役の和田丈嗣氏、MAPPA代表取締役の大塚学氏、CloverWorks執行役員の福島祐一氏、コミックス・ウェーブ・フィルム代表取締役の川口典孝氏の4人が登壇すると、司会を務める和田氏は「このメンバーが集まることだけでもすごく嬉しい」と貴重な4ショットの実現を喜んでいた。

トークセッションの内容は「アニメ業界が求める人物像」や「業界に入るにはどんなスキルが必要か」について。その中で、大塚氏は制作に求められる能力として「クリエイターへの尊敬を持った上で、本当にやるべきことを考え、それを伝えるのが重要だと思います」と語った。これに対して福島氏も「可能な限り『できない』という言葉は使わないようにしていますが、誰かが『NO』を言わなければいけない瞬間がある。そのときは自分が言おうと思っています」と応じた。また、“元商社マン”というアニメスタジオの経営者としては異色の経歴を持つ川口氏は、「実経験を積んでいること」をほしい人材の条件に挙げ、「就職後はなかなか自分の時間が取れなくなるので、それまでにバックパッカーになって世界一周旅に出たりして視野を広げてほしい」と学生たちに語りかけた。

その後、4人への質疑応答が行われてトークセッションは終了。最後に司会の和田氏が「これが現在のアニメスタジオの実情です。そして、今日は目指すべき未来も見えてきたと思います」と語り、締めくくった。

トークイベントが行われていた間も、会場の横に設けられた企業ブースでは、個別の面談などが並行して行われ、来場者たちは特に気になったスタジオについて、より詳しい説明を受けることができた。

アニメ業界の最前線に立つスタジオ4社について、そして業界全体の実情について、これだけ豊富な情報を得られる機会はほとんどないとあって、どのトークイベントも満席となった「アニスタ」リクルートデイ。特に業界を目指している就活生にとっては、自身の今後を考える上で忘れられない1日となったことだろう。

リンク:「アニメーションスタジオミーティング2019」公式サイト
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