スタッフ

“カ○ボツ”を描きたくて……「なんでここに先生が!?」総監督・金子ひらく&監督・所俊克対談!

アニメ「なんでここに先生が!?」がいよいよ4月7日(日)から放送開始となります。原作である漫画「なんでここに先生が!?」(『ヤングマガジン』連載中、以下、「なんここ」)はシリーズ累計120万部を突破しており、昨年のアニメ化の発表にあたっても話題を集めました。またその“ちょっと過激なハイスクールラブコメ”の要素がバッチリと盛り込まれたPVは、第一弾・第二弾あわせてすでにYouTube上で350万回以上再生されています。

放送を控えたこのタイミングで、アニメの総監督を務めた金子ひらくさんと監督を務めた所俊克さんに作品の見どころや制作にあたってのエピソードをお聞きしました。

ーー最初にアニメ化が決まった際のエピソードをお聞かせいただきたいのですが、おふたりはアニメ制作に関わられる前から、原作をご存知でしたか。

金子:僕はアニメ化のお話をいただいてから第一巻を読ませていただきました。読んでみての第一印象はやはり絵がとてもかわいくて、魅力的だなと思ったことです。いわゆるエッチな描写もあるんですが、そこがいやらしくなりすぎないというところも良いなと。で、よくよくタイトル見たら「え、先生もの!?」という驚きもあって。個人的に今までのお仕事では生徒側を描くことはあったのですが、先生側を描くということはなかったので面白そうだな、というのが最初の印象でしたね。自分がアニメ化に関わるのであれば、それぞれの先生が持つ大人の魅力を描ききりたいなと思ったのを覚えています。

ーーアニメ化のお話が来た際はまだ立花(千鶴)先生のエピソードがコミック化(原作第四巻)がされていないタイミングだったとのことですが……。

金子:第一巻をいただいたあと、自分でも原作を追うようになって、そうしたら「ヤングマガジン」で連載中の先生がまさに立花先生でした。アニメに登場する4人の先生は全員魅力的ではあるのですが、個人的にはなんと行っても立花先生の◯ンボツなところが個人的にはストライクゾーンで。この先生が出せるのであればアニメ化に絶対に携わりたいとお伝えしました(笑)。

プロデューサー:当初は明確にどの先生までを出すかは決まっていなかったのですが、金子さんのその力強いお言葉を受けて、「立花先生までやりましょう!」となりました(笑)。

ーー 一同笑。

所:僕はティアスタジオともともとお仕事をさせていただいていたことから、アニメ化のお声がけをいただきました。明確に言われたわけではないですが、スタジオさんからは「こういう肌色が多いアニメは得意ですよね?」という意図があったんじゃないかなと思っています(笑)。 原作については、アニメ化のお話をいただく前から読んでいたこともあり、どういったことをすればいいのかはお話をいただいたタイミングでわかりましたし、金子さんが総監督をやられる、ということに関しても「なるほど!」という感じでしたね。

金子:所さんとは別件でアニメのお仕事をさせていただいた際、演出を担当していただいた話数の出来がとてもよかったこともあって、こうして再びお仕事をご一緒させていただけるのはとてもうれしいです。

ーー今回おふたりは総監督、監督という形で作品の制作に関わっていらっしゃいますが、どういった役割分担となるのでしょうか。

金子:僕の仕事はカ◯ボツを出したいと言ったことくらいです。

所:いやいや(笑)。僕のほうで基本現場に立つ形で作品に関わらせていただきつつ、金子さんにアニメ全体の最終的なクオリティを担保いただいています。僕は今回、監督ではありつつも、演出としても参加していますので、個別の話数を見ながら、全体も見つつ、最終的な取りまとめを金子さんにやっていただいている、というイメージですね。

ーー早速ではあるのですがアニメの見どころについてお聞かせください。

金子:いろいろな魅力があると思うのですが、やはり先生と生徒の関係性というテーマが物語を展開するにあたってはすごく重要じゃないかなと思っています。作品としてパッと見でちょっと誤解される点があるかもしれないのですが、実はとてもピュアなラブコメなんですよね。シチュエーションとして肌色成分が多くなることはあるんですが、先生・生徒ともに恋愛の一歩目の部分で思い悩んでいることが多いので、物語としてキャラクターたちのそのピュアな葛藤が、しっかりとご覧になった方たちに届くと嬉しいなと思っています。

所:テンポの良さも作品の重要な魅力だと思っています。ラブコメとして、ラブに寄りすぎず、しっかりと笑えるコメディの要素もあって、そのバランスの良さを楽しんでもらえたらいいなと。もちろん、エッチなシーンは随所にあるんですが、そこにいたる過程を考えると「面白い!」と思ってもらえることも多いんじゃないかなと思うんです。そういった原作の持つ良さを、アニメならではの表現でお伝えすることにとてもこだわっているので、そこもひとつの見どころだと思います。

ーー原作のファンの方たちからも期待をされている点だと思うのですが、アニメとしての絵作りの部分でこだわられているポイントもお聞かせいただけますか。

所:鋭意制作中ではありますが、そこについてもぜひご期待いただければと思います! いろいろと放送するために忖度しなくてはいけない部分も出てくるのですが、おっぱいやおしりの表現についても、できる限りのクオリティで攻めた絵をお届けできるようにしています。放送をご覧になって「こう来たか!」と感じていただけるのではないかなと(笑)。また、金子さんからはとにかく「カン◯ツのクオリティを!」と厳命いただいておりますので、そこもぜひBD/DVDでご覧になってほしいですね(笑)。

ーーこのワードがここまで頻出するインタビューもほかにないでしょうね(笑)。原作の蘇募ロウ先生とのやりとりで印象に残っているポイントなどございましたら、ぜひお聞かせください。

所:最初のシナリオ打ち合わせでお会いさせていただいた際のやりとりがとても印象的ですね。というのも、今までやり取りさせていただいた漫画家さんは、キャラクターを描写するにあたって絵としてこだわられるポイントが「顔」に集中することが多かったです。ですが、蘇募ロウ先生の場合は、「ここのシワが!」や「ここの輪郭が!」といったボディーラインについてのこだわりを多くいただいたので、アニメサイドとしても表情はもちろん、先生たちが持つ身体的な特徴・魅力もしっかりと絵に落とし込んで、ファンの方に伝えていかなくてはなと、強く思いました。

金子:まさしくそういことで言えば、先生から監修の際に「表情はとてもいいです!ただ体の方は、もっと重力に負けさせてください」というコメントをいただいたことを覚えています。すごくこだわりをもっていらっしゃる、僕らも負けられないなと思いましたね。

ーーちなみにおふたりの中で、推しの先生はいらっしゃいますでしょうか。金子総監督はもう大体わかるのですが(笑)

金子:ご想像の通り、僕は立花先生です。ただその理由として、身体的な特徴ももちろんあるのですが、物語的なポイントとして、無表情な立花先生は感情を表に出すのが苦手ということも重要で。物語の流れの中で、立花先生の思いの発露が乳首の勃起として表れる、いわば感情とリンクしている、ということに非常に感銘を受けまして、この先生のことをアニメでしっかりと描きたいなと思ったんです。ありそうでなかったなと、最初原作のエピソードを読んだときは膝をたたきましたね!

所:僕は児嶋(加奈)先生ですね。もともと原作を読み始めたのも児嶋先生のかわいさに惹かれてだったこともありますし。児嶋先生の魅力はやはりギャップですよね。表では非常に怖いと思われているものの、実際は優しいんだけれど不器用で。お話としてもテンポのよいエピソードが多かったりしますので、そこも魅力ですね。なにより第一話がトイレの中からはじまる、というのはこれまでもこれからもなかなかないんじゃないかと思いますし、そのインパクトも含め児嶋先生は作品の顔と言えるんじゃないかと思います。

ーーほかの先生についての印象はいかがでしょうか。

所:松風(真由)先生の電車のシーンも、かなりインパクトありますよね。キャラクターとしては実は松風先生が動かしやすい、というところはあって。キャラクターとしての対応力といいますか、いろいろなシチュエーションで演出として成立しやすい、いわばキャラクターとしての懐の深さがあるんじゃないかなと思うんです。役柄として、ギャグもいけるし、シリアスなシーンでもハマるという点では、動かして楽しいキャラクターでしたね。葉桜(ひかり)先生も、キャラクターとしての芯が固まっているので、「葉桜先生ならこうするだろうな」とイメージしやすかったです。どの制作スタッフと話をしていても、体育教師ということもあって褐色、ジャージ、ときに水着というわかりやすい特徴のおかげで、キャラクターとしてのイメージがブレないので作りやすかったです。 立花先生は表情が変わらない、という点をどう映像に落とし込むかがポイントですよね。だからこそ演出しがいがあるとも言えます。立花先生の場合は、キーマンとして生徒の田中くんの存在が大きくて、立花先生が無表情な分、田中くんがころころと表情を変えて、その分の感情的な描写を補う、といいますか。ただ、立花先生も無表情ではあるものの、不思議系キャラかと言うとまったくそんなことはないんですよね。不器用ではあるものの、考え方はそこまで突飛ではなくて、「生徒ともっと親密になりたい」という思いを大切にしていることはほかの先生と変わらないわけで。そこはちゃんと伝えられるようにしたいなと思いました。とはいえ、各先生3話ということもあり、もっとじっくりと表現できたらそれぞれの魅力をもっとつたえられるのになぁ、という思いはどうしてもありますね。

金子:尺がもっとあったら、カンボ◯が隆起する様子に一分間使えたんですけどねぇ。いやぁ心残りです!

ーー放送できないですから(笑)。まさに話題としてあがった表現面の問題についてですが、時流的にいろいろと気を使うことも多かったのではないでしょうか。

金子:コンビニから成年向けの雑誌も撤去されたタイミングですからね。とはいえ、アニメ業界もやりすぎた感はありますよね。自分自身でいうのもなんですが。

所:難しいところですが、成人向け作品に任せる領域をいまTVアニメが攻めてしまっている部分はあるんじゃないかなと思います。電波に乗せれば、見てくれる人も増えますが、本来だったら見なくていい人たちの目にも触れる機会が出てきてしまいますよね。実を言うと最初、「なんここ」のアニメ化についてお話をもらった際、読者として原作を追っていただけに驚いたんです、「アニメにしちゃって大丈夫?地上波に乗せて怒られないの?」と。

金子:アニメ自体のクオリティも、ここ10年で大幅に上がったことも大きいですよね。昔のシンプルな線で描かれたアニメなら、おっぱいがポロン、くらいは笑って許されたと思うんですが、最近のアニメのクオリティでそのシーンを映像にしてしまうと、どうしても艶っぽくなってしまいます。当たり前ですけど、地上波に乗せるということは、表現として修正をかけなくてはいけなくなりますし、それはつまり見てほしい部分をあえて見せないようにしなくてはいけないことでもあって。もちろん事情としては理解しているものの、アニメ制作に関わっている立場としては、歯がゆい部分もありますよね。

所:とはいえ、今回は製作委員会からもOKが出ているので、リミッターは一切かけずにやらせていただいています!(笑) その点ではご期待に添えるのではないかなと思いつつ、テレビ放送では正直見えない部分も多いので……。

プロデューサー:ぜひBlu-ray、DVDをご購入いただいてお楽しみください! 

金子:最終的にこの結論になるんですよね(笑)。

ーーお時間いただきありがとうございました!最後に読者へのメッセージをいただければ!

金子:最後までぶれないで行きたいなと思うので、「KANB◯TSUを必ず見てほしい」ということろでしょうか。エピソードとしては後半となるので、ぜひ最後までアニメをご覧ください!

所:どこまで僕たちがリミッターを外したものを作ったのかを最大限楽しんでいただければと思います。テレビ放送で興味を持っていただいた方には、ぜひともディスクのご予約もよろしくお願いいたします!

ーーありがとうございました!

TVアニメ「なんでここに先生が!?」
放送:TOKYO MX…4月7日より毎週日曜25:05~
   BS11…4月7日より毎週日曜25:30~
   AT-X…4月11日より毎週木曜21:45~ ※リピート放送有り
配信:dアニメストア、AbemaTV、Amazon Prime Videoほか…4月7日より毎週25:30~
スタッフ:原作…蘇募ロウ『なんでここに先生が!?』(講談社「ヤングマガジン」連載)/総監督…金子ひらく/監督…所俊克/キャラクターデザイン・総作画監督…たむらかずひこ/脚本…高林ユーキ、藤丸悠里/美術監督…hidehide/美術設定…椎野隆介/色彩設計…古川康一/コンポジットディレクター…みやがわよしかず/編集…柳圭介/音楽…吟(BUSTED ROSE) /音響監督…森下広人/音響効果…八十正太(スワラ・プロ)/音響制作…叶音/アニメーション制作…ティアスタジオ/製作…なんでここに先生が!?製作委員会
キャスト:児嶋加奈…上坂すみれ/佐藤一郎…鈴木崚汰/松風真由…後藤邑子/鈴木凛…増田俊樹/葉桜ひかり…石上静香/高橋隆…山本和臣/立花千鶴…山本希望/田中甲…小林裕介

リンク:「なんでここに先生が!?」公式サイト
    公式Twitter・@nankoko_anime
この記事をシェアする!

MAGAZINES

雑誌
ニュータイプ 2024年4月号
月刊ニュータイプ
2024年4月号
2024年03月08日 発売
詳細はこちら

TWITTER

ニュータイプ編集部/WebNewtype
  • HOME /
  • レポート /
  • スタッフ /
  • “カ○ボツ”を描きたくて……「なんでここに先生が!?」総監督・金子ひらく&監督・所俊克対談! /