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「ぼくらの7日間戦争」北村匠海インタビュー(後編)「守は、僕がガンダムのことを話すような感覚を持っている」

12月に全国映画館にて公開となるアニメーション映画「ぼくらの7日間戦争」。

宗田理原作の「ぼくらの七日間戦争」(1985年刊行)から34年を経て、オリジナルストーリーで生まれ変わります。

WebNewtypeでは主人公鈴原守を演じる北村匠海さんにインタビューを行いました。

後編では守を演じるうえで気をつけていることや、ヒロインの芳根さんの印象などをうかがいました。

鈴原守役を演じる北村匠海さん
鈴原守役を演じる北村匠海さん(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会


――鈴原守という役を演じるうえで、北村さんが気をつけていることは何でしょうか。

北村:今、消極的な男子って多いじゃないですか。思っていることを口に出せなかったり隠してしまったり。実は僕もそのうちの1人に当てはまる部分があるんですけど、守は、思っていることを言おうという気持ちを持っていて、あと一歩のところにいる。そのために自信や勇気も失っている少年でもあるんです。あと一歩を踏み出せなかった少年が、7日間を経て、最後に踏み出す、というコントラストを僕が声で表現しなくてはいけないと思っています。一方でかわいらしさもあるし、好きなことを夢中でしゃべっちゃう少年というのは、僕がガンダムのことを話すような感覚だからすごくわかるし(笑)。みんなといっしょにいることでの、ちょっとした喜びや悲しみを緻密に積み上げられていったらいいなと思います。

――ヒロインの千代野綾を演じる芳根京子さんとの掛け合いはいかがでしたか?

北村:一度1人のリハーサルがあって、僕は芳根さんの声を聞きながらやったんです。そのとき、守が好きになるのもわかるというぐらい、すごく素敵な声をしている方だなと思いました。包み込むやさしさがあって、男女問わず愛される少女なんだなというのが、絵だけじゃなくて、芳根さん独特の、硬くなくて良い意味で柔らかすぎない声から伝わってくるというか。実際にいっしょにマイク前に立って掛け合ってみても、最初の印象は変わらず、守としても横でいっしょにいられるのが嬉しかったです。気さくな方で、いろいろな雑談もしました。

――声優としては「HELLO WORLD」がデビューとなりますが、間を置かずに2本目。声の演技に対する手応えはどう感じられてますか?

北村:僕は8歳のときにこの世界に入ったんですけど、感覚としてはそこに近いですね。ゼロからのスタート、新しいものに踏み込んで行っているという感覚がすごくあります。勉強する姿勢で、いろんなことを教えていただいてます。演技だけじゃなくて、セリフを言いきらなくちゃいけない秒数とかもあるし、セリフの区切り、絵に合わせることとか。

ふだんやっている芝居のアプローチとは真逆ですよね。いつもなら自分たちで、間や感情を考えていって、セリフを言うときの表情も考えてやるんですけど、そういう全てが最初からあって、そこに僕が歩み寄っていく感じです。

――役作りはどのようにされましたか?

北村:最初に台本と映像をいただいて、守のキャラクターについても説明がある。ある意味、全部答えがあるなかで、自分にしかないエッセンスみたいなものを加えていく作業でした。さっきの補足になりますけど、ふだんやっている実写だと自分自身の準備以外にも、実際にどういうロケーションなのか、芝居のお相手の方がどういう方か、とか現場に行くまで全くわからない部分もあって。だからその逆、という感覚がありました。

鈴原守役を演じる北村匠海さん
鈴原守役を演じる北村匠海さん (C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会


――声優さんとしてこの作品に関わることで、今後北村さんご自身のお芝居に、どんなフィードバックがあると思いますか?

北村:得たものはすごくありました。ふだん意識するのは表情だったりするんですけど、言葉や声といったものにちゃんとフォーカスを当てるいい機会でした。声優としてはゼロからのスタートと話しましたけど、やっぱり役者として培った12年の経験や表現もきっとこの作品に入っていると思いますし、今後の作品に出演するときには、今回の経験が活かされるだろうなと思います。もともと細田守さんの作品も大好きで、オーディションにも行ってるんです。完成作品を中学生のときに映画館で見て、いつか自分の声も映画館で響くようになりたいと思ってから、今、21歳になってこうしてやらせてもらっている、そこには縁を感じてます。

――原作小説から、宮沢りえさん主演の実写映画、そして今回のアニメーション映画と、このシリーズは受け継がれています。

北村:何世代にも受け継がれてきて、今、僕らの世代がこの作品をやるというのもすごく意味があるなと思います。小説は絶対に学校に置いてありますし、僕の最初に読み始めたきっかけも学校の図書館でした。現代版として作られたこのアニメーション映画が、学校に置いてあるとまではいかないでしょうけど、たとえば10年後にまた誰かに届けばいいなと思います。

――ありがとうございます。それでは最後に読者の皆さんに向けて、ひと言いただけますか。

北村:「ほくら」シリーズは長年愛されてきて、ずっと誰かの心に残っている作品だと思います。学校生活を送るなかで、そのコミュニティーのなかの対大人、対先生に対する、少しモヤモヤした気持ちを代弁してくれるような作品です。それが、現代版としてアニメーション映画化されることで、昔僕が味わった感覚を、今の高校生、中学生、小学生の皆さんに味わってほしいし、もう少し大きくなった大人の僕たちが見たときには、あんな頃あったなと、すごくほほえましい、懐かしいあたたかい思い出として届けばいいなと思っています。

「ぼくらの7日間戦争」特報より
「ぼくらの7日間戦争」特報より (C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会


「ぼくらの7日間戦争」特報より
「ぼくらの7日間戦争」特報より (C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会


「ぼくらの7日間戦争」特報より
「ぼくらの7日間戦争」特報より (C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会


「ぼくらの7日間戦争」特報より
「ぼくらの7日間戦争」特報より (C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会


「ぼくらの7日間戦争」特報より
「ぼくらの7日間戦争」特報より (C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会


【取材・文:細川洋平】

■「ぼくらの7日間戦争」
2019年12月13日(金)より全国にて公開
【CAST】鈴原守…北村匠海/千代野綾…芳根京子
【原作】宗田理『ぼくらの七日間戦争』(角川つばさ文庫・角川文庫/KADOKAWA刊)
【STAFF】監督…村野佑太/脚本…大河内一楼/キャラクター原案…けーしん/キャラクターデザイン・総作画監督…清水洋/アニメーション制作…亜細亜堂
配給:ギャガ KADOKAWA
製作:ぼくらの7日間戦争製作委員会

リンク:「ぼくらの7日間戦争」公式サイト
    公式Twitter・@7dayswar_movie
    「ぼくらの7日間戦争」公式Instagram
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