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12月に全国映画館にて公開となるアニメーション映画「ぼくらの7日間戦争」。
宗田理原作の「ぼくらの七日間戦争」(1985年刊行)から34年を経て、オリジナルストーリーで生まれ変わります。
主人公の鈴原守を演じるのが北村匠海さんということが明らかになり、WebNewtypeでは北村さんにインタビューを行いました。
「HELLO WORLD」に続いて、声優出演は早くも2本目となる北村さんですが、今回、初めての感覚がいくつもあったそうです。それはいったい何なのでしょうか。
まずは、北村さんのアニメ話から、インタビュー前編をお楽しみください。
――結構なアニメ好きとうかがっております。
北村:そうなんです……いとこが「機動戦士ガンダム」と「機動警察パトレイバー」と「新世紀エヴァンゲリオン」が好きで、僕は「ガンダム」にドハマりして、その後「頭文字D」に行って、「攻殻機動隊」「AKIRA」にはじまるサイバーパンク、スチームパンクは今でもすごく見てます。最近は「キャロル&チューズデイ」を見てます。
――ガンダムはどこから入ったんですか?
北村:ファーストから入りました。でも1番好きなのは「Zガンダム」です。
――そうなんですね! では今回、声優のお話が来たときは?
北村:ふだん見ている側としてはうれしいですよね! それも、アフレコは別録りじゃなくて共演する声優さんといっしょにやってますから。昨日もアフレコの合間に、皆さんでご飯を食べているとき、「あれ、エレン・イェーガーだよ」って言われて、あの名ゼリフを言ってる方がそこにいるのかあ、ということがあって。そういう出来事含めて、すごくおもしろいです。
――アフレコの雰囲気は、公開中の「HELLO WORLD」(伊藤智彦監督)とは違いますか?
北村:「HELLO WORLD」はプレスコで(松坂)桃李さんと(浜辺)美波ちゃんのお2人と一度ずついっしょに録りました。今回は芳根(京子)さんと2人のシーン、それから豪華な声優陣の方々ともごいっしょさせて頂き、改めてマイクの距離とか勉強になりました。
――マイクとの距離は、物理的な距離ですか?
北村:そうです。ふだんしゃべっているようなときの、相手との空間の広がりを、マイクと距離をどのくらい取るかで演出できるみたいなんです。あと、高いところを見上げてしゃべっているときも、ただセリフをしゃべってるだけでは伝わらないし、カバンに手を入れて体をヒネっているときの声のニュアンスというのも、皆さんは感じさせていて、すごいなって。砂利道と砂地でも違ったり、坂の角度、降りる階段は降りづらいのか一段の高さはどのくらいかとか、身の回りのすごく細かいところまで意識して声でやってらっしゃるんですよ。僕は、声の演技はまだ2回目だし、本当に勉強になることばかりです。
――表現の幅の広さを実感してらっしゃるんですね。
北村:アニメはすごく好きで、ふだん何気なく見てるけど、裏では声優さんが、「何気ない仕草」とかいろんなことを全部声で演出してるんだなって。それはすごく感じました。
――こうして話していても、すごく濃密で、充実した時間を過ごしてらっしゃると伝わってきます。
北村:ほんとですよ。そういえば、この現場でガンダムの話をしていて「そんなに好きなら、いつかモビルスーツに乗ってほしい」って言われたんです! 乗りたいです! って力説しました(笑)。だから声優として、いつかモビルスーツに乗りたい、という夢ができました。
――夢は口に出していたほうがいいと言いますしね!
北村:そう、言っておこうかなと思って(笑)。
――今回の作品、原作となる小説「ぼくらの七日間戦争」が1985年に出版されました。お読みになりましたか?
北村:小学生のときに読んでいて、本当に好きな作品だったんです。そのときはまだ20才も越えてない子供が、大きな存在である大人たちにマウントを取りにいくような姿勢に、自分の心情をどこか代弁してもらっている感覚がありました。別に僕自身は反抗的なタイプでもないのに(笑)。繊細な子供の心理とか感情が詰まっていてハラハラしました。小学生の頃にはちゃんとはわからなかったんですけど、大学生の運動をバックボーンに描いているんですよね。
――60年代に起こった学生運動ですね。
北村:そう、今回の「ぼくらの7日間戦争」にも、そういう感覚が残っているんです。僕はもはや忘れてしまっている、あの学生時代にしかない感覚ってあるじゃないですか、反抗期もあいまって教師や親に反発してしまう感覚。 そういう感覚を、原作の良さもちゃんと落とし込みながら、7日間という日数に詰め込んでいる。この作品を映画館で見たときに、僕ら世代だと、たとえば合唱コンクールの練習でクラスみんなでぶつかったりしながら、本番で歌いきってみんなで泣いたことだったり、そういう感情を思い出せると思うし、リアルに今、“学生世代”からすれば、僕が昔原作小説を読んで、代弁してもらっている感覚を持てたように、強く共感してもらえたらいいなと思ってます。
【取材・文:細川洋平】