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竜役の佐藤健「細田監督の真骨頂であり新境地」と絶賛! 『竜とそばかすの姫』完成報告会見レポート

『竜とそばかすの姫』完成報告会見より
『竜とそばかすの姫』完成報告会見より(C)2021 スタジオ地図

7月16日より全国ロードショーとなっている細田守監督の最新劇場アニメ『竜とそばかすの姫』の完成報告会見が、7月6日に六本木・グランドハイアット東京で行なわれました。会場に設営されたステージにはヒロインである内藤鈴&ベル役の中村佳穂さん、久武忍役の成田凌さん、千頭慎次郎役の染谷将太さん、渡辺瑠果役の玉城ティナさん、この日がキャスト初公開となった竜役の佐藤健さんといった豪華キャスト陣に加えて、本作の原作・脚本・監督をつとめた細田守監督を加えた6名が登壇。この作品へ込めた思いや、映像を見ての感想、アフレコ秘話などを語ってくれました。

内藤鈴&ベル役の中村佳穂さん
内藤鈴&ベル役の中村佳穂さん(C)2021 スタジオ地図


この日の完成報告会見を迎えられたことについて細田監督は「たくさんのスタッフ・キャストと一緒に作品を作ってきまして、いよいよ完成して皆さんに見ていただくことが出来るとこまでこぎ着けたなぁと、非常に感慨深い思いです」とコメント。「20年前の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』、2009年に『サマーウォーズ』、そして今回の『竜とそばかすの姫』と、昔から自分の作品ではインターネットを舞台に作品を作ってきました。インターネットが生まれて25年しか経っていない中で、これだけインターネットの世界と現実の関係性を映画してきた監督、それもインターネットを肯定的に描く監督はおそらく世界で僕一人だと思いますので、非常にそこは頑張って表現していきたいなと思っています」と作品に込めた思いを述べてくれました。

さらに本作については世界的な名作『美女と野獣』をモチーフにしたという細田監督は「インターネットの世界で『美女と野獣』をやったらどういうことになるかっていうことが一番最初の発想だったんですね。インターネットっていうのは虚構と現実の二重性を併せ持っている存在だし、『美女と野獣』の野獣も二面性をもった存在ですよね。そんな18世紀の物語である『美女と野獣』がインターネットを介して、現代の物語として表現出来たらどういう風に表現できるのか? どんな恋物語になるのか? どんなロマンスがそこにあるのか? そこが発想の原点でした」との本作が生まれた経緯について解説。「『美女と野獣』っていう物語は大好きなので、今回映画に出来て幸せだなと思っています」とうれしそうに笑顔を見せてくれました。

久武忍役の成田凌さん
久武忍役の成田凌さん(C)2021 スタジオ地図


続いてキャスト陣が実際の映像を見ての感想を語ってくれたのですが、中村さんは「圧倒的って感じです」と感動を言葉で一言。佐藤さんも「素晴らしかったですよ。昨日の余韻が今もまだ続いているぐらい。細田監督の真骨頂であり新境地を見せていただいたなっていう感じです」と大絶賛。「表現の仕方がすごく新しくて、映像の美しさだけでこんなに胸が震えるんだなと。さらにそこに中村さんの素敵な歌声が重なり合って、スクリーンから音波を通して直接感動光線を浴びせられているような映画体験でした。間違いなく映画館で見た方がいい作品ですね」と劇場の大スクリーンで見るべきと熱く語ってくれてました。

また、生まれてはじめて見た映画が『デジモン』という細田監督ファンの成田さんは「始まって数秒で『あ、すごい作品が始まった』と感じましたし、細田さんすごいなと感じました。中村さんの歌も直接心に届くようで、映画見るというか体感した感じですね」と感心しきり。細田監督作品に出演するのは今回で三回目となる染谷さんは「傑作を見ちゃったなと思いました。アクションあってラブロマンスあって、歌は素晴らしいし映像も美しいし、号泣しちゃって目がパンパンになるくらい感動しました」と、さらに玉城さんは「細田さんがずっとインターネットを肯定してくれているのがうれしくて。高校生の時期って自分のコンプレックスをどうやって乗り越えられるのか悩んでいたりすると思うんですけど、そんな学生時代の自分に見せてあげたいなって思いました」などと言いつつ過去の自分を振り返っているようでした。

千頭慎次郎役の染谷将太さん
千頭慎次郎役の染谷将太さん(C)2021 スタジオ地図


ほかにもアフレコ秘話などもいろいろ飛び出していきます。鈴&ベルへのオーディションの依頼がきたときに中村さんは「まさか自分に声優のオファーが来ると思ってなくて。ホントに主人公になったような気持ちでビックリしていました」と予想外のサプライズに驚いたようです。また初挑戦となったアフレコ現場については「皆さん役にひたむきで、すごく感銘を受ける日々でした」とのこと。

そんな中村さんについて細田監督は「中村さんの歌って特別だと思うんですね。すごい歌を大事にしてるし、歌ってる歌に愛されているというか、歌と中村さんが近い存在になっているのが特別だに思えて。そういった意味で唯一無二な人だし、外国の人に聞かせてもいい歌だと伝わっていくのは中村さんの特別な力のせいだと思います」と、彼女と歌声の魅力を解説してくれます。歌の収録はアフレコが終わった後におこなわれたらしく、「『イエーイ、やっと歌の時間』と思いながら歌っていました(笑)。スタッフの皆さんで私の今までの活動とまた違った面をということを試行錯誤してくださって、すごく刺激的でした」と語ってくれました。

渡辺瑠果役の玉城ティナさん
渡辺瑠果役の玉城ティナさん(C)2021 スタジオ地図


謎が多い存在である竜役を演じていることが明らかになった佐藤さんですが、インターネットの仮想世界である<U>の中の悪役的な存在である竜について「みんなから怖がられている存在ですね。そんな竜がベルと出会うことでちょっとずつ変化していくんですけど、その竜が現実世界では何者なのかということに注目して映画を見ていただけたらなと思います」と説明してくれました。そんな竜ですが「ホントに難しい役でした。普段とは違うアフレコという作業なので、どうしていいか分からなくて」とアフレコ時の苦労話も披露。「まず竜の声がどんな声なのか全く想像つかずに監督に『竜っぽい声なんですかね?』って聞いたんですね。そしたら『竜っぽい声でお願いします』って言われたので、僕の思う竜っぽい感じでやりました(笑)。収録は一日しかなかったし細かい指示をもらって微調整しようと思ってたら、一回目から『そんな感じで』って言われたので、『ホントかなぁ』と思いながらやってました」と収録秘話なども教えてくれました。

そんな竜のキャスティングについて「ものすごい表現力が必要なので、誰が出来るんだろう?」と考えていた細田監督ですが、当初から「この役は健君にお願いするしかない」と決めていたとのこと。収録では「もう一言目からメチャメチャ勘がいいなと思って。『さすが』って思いました。だからホント言うことないです(笑)。いきなり正解だと思ってビックリしました」と演技については細田監督も太鼓判を押していました

竜役の佐藤健さん
竜役の佐藤健さん(C)2021 スタジオ地図


そんな『竜とそばかすの姫』ですが、カンヌ国際映画祭オフィシャル・セレクションに新設された「カンヌ・プルミエール部門に選出されました。この部門での日本映画としては唯一の選出作品となったことについて細田監督は「前の作品である『未来のミライ』のときも監督週間で呼ばれてすごい光栄だと思ったんですけど、今回まさか連続で選ばれるとは」と感無量といったようす。現地での上映は吹き替えなしということもあって、中村さんは自分の歌がそのまま流れることに「うれしいです。音楽は言葉を超えるものだと信じてやってきましたので、それが証明される日が来るのが楽しみです」と期待感をにじませていました。

最後に細田監督から映画の公開を待ち望む全国のファンに向けて「今回の『竜とそばかすの姫』は非常に苦労した映画です。スケールが大きいし様々な人に参加していてまとまらないんじゃないかぐらいの感じだったんですけど、それが完成した映像で一体になった姿を僕もはじめてスタッフを一緒に共有してみて、この地点までこの映画がこれたことがすごいなって思いましたし、スタッフとキャストに感謝しました。とても自信をもって皆さんに楽しんでいただける作品になったと思います。非常に面白い映画の要素がたくさん入っていますので、どんな年代の方でも楽しんでいただける映画になったと思いますので、ぜひ皆さんで楽しみにして見ていただければと思います」と語ってくれました。

『竜とそばかすの姫』完成報告会見より
『竜とそばかすの姫』完成報告会見より(C)2021 スタジオ地図

【取材・文:すわみさお】

■映画「竜とそばかすの姫」
2021年7月16日(金)全国公開

リンク:映画「竜とそばかすの姫」公式サイト
    公式Twitter・@studio_chizu

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