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2015年からスタートし、毎週土曜日19時にYouTubeで最新話が配信されているアニメ「モンスターストライク」(以下、モンストアニメ)。現在展開している第3シリーズはオムニバス形式で物語が紡がれていますが、新たな主人公・ノアのストーリー「ノア 方舟の救世主」が7月27日に始まります。これを記念して、ノアを演じる斉藤壮馬さんと、主題歌「Hero」を歌うオーイシマサヨシさんの対談が実現。旧知のふたりに本作の魅力を語ってもらいました。
――おふたりが知り合ったのはいつ頃ですか?
斉藤:ちょっと、あまり公にはできないんです。
オーイシ:そうだね……ふふ。
――そのノリでおふたりの仲のよさがなんとなく伝わりました(笑)。斉藤さんの1stシングルとしてオーイシさんが「フィッシュストーリー」を提供されたのが出会いでしょうか。
斉藤:はい。元々僕がオーイシさんの楽曲が好きだったので、歌手活動の最初の曲をお願いしたいとレーベル経由でお願いしたところ快諾していただきました。その後の歌手活動のベースになるような「フィッシュストーリー」という素敵な楽曲をいただけて、ありがとうございました。
オーイシ:斉藤君って声優としてはもちろんだけど、アーティストとしても素晴らしい活動をしていくんだろうなとそのとき感じました。自分では「サブカル野郎」なんて言っていて、実際にそうなんだけど(笑)。芯をしっかり持っていて、きちんとアウトプットもできる賢い子なんです。
――斉藤さんはオーイシさんのどんな曲が好きだったのでしょうか?
斉藤:Sound Schedule(大石昌良が所属するロックバンド)の曲はずっと好きでしたし、あと先日ご本人にもお伝えしましたが「カブライダー」も好きです。弾き語り動画とかもめっちゃ観てますから。
オーイシ:「カブライダー」は大石昌良名義の2ndアルバム「G.D. アトラクション」の収録曲なんですけど、そんな曲まで掘り下げて好きと言われる喜びったらないですよ。そういうとこがサブカル野郎やっちゅーねん!(笑)
――その後も「ハンドシェイカー」や「SSSS.GRIDMAN」といった斉藤さんの出演作でも、オーイシさんが主題歌に関わっていました。そして今回「モンスターストライク」でまたご一緒されます。まず本作の印象を教えてください。
斉藤:いま配信されている「モンストアニメ」は、これまでにもルシファーやアーサー、ソロモンなどのキャラクターの物語がオムニバス形式で紡がれてますよね。なので、この「ノア 方舟の救世主」から見始めることもできます! それに、YouTubeで全話観られるのがすごいですよね。
オーイシ:「タダで観ているけど、お金払うよ?」とか変に心配しちゃった。
斉藤:オーイシさんは間接的にお金払っているじゃないですか。
オーイシ:そうそう、アニメの元にもなっているスマホアプリの「モンスターストライク」(以下、モンスト)に課金してプレイしているから(笑)。
斉藤:ノアを演じるにあたって過去のシリーズを観たんですけど、「モンストアニメ」は動きも滑らかだし、映画のようなハイクオリティで驚きました。しかもノア編ももちろんですがアクションシーンもすごくって。
オーイシ:今回は特にやばい。
――ノア編のアクションシーンはアクターの映像を元にアニメを作っていると伺いました。映像の協力企業から提案があり、さらなるクオリティを求めて新しい手法を取り入れているそうです。
斉藤:だからアクションシーンの収録では、キャラクターではなくアクターさんが演じていらっしゃる映像に声をあてていました。細かい呼吸の感じとか物理的な間合いとかがわかりやすいし、何よりそのアクターさんの動きがすごくって。あの映像、どこかでみなさんに観てほしいです。
オーイシ:Blu-ray/DVDの特典映像とか。
斉藤:そうですね。実写の方に声をあてるのは初めてだったので、声優として貴重な体験ができました。
オーイシ:百戦錬磨の斉藤壮馬に初体験をさせるなんて。
斉藤:初体験を捧げましたね、ノアに。
――ここからはノア編の内容について伺います。どんな物語でしょうか?
斉藤:とある事情で文明としての形が保てなくなり荒廃した世界が舞台です。そこで唯一生き残った人間であるノアが、オペレーションAIのオペ子、新しく仲間になるパンドラやケセドと一緒に冒険していきます。
オーイシ:荒廃世界とメカ……この世界観、たまらないよね。
斉藤:はい。そんな世界での旅がコメディタッチで描かれながら、敵と戦ったり謎に迫ったりして、ワクワクさせられる要素がたくさんあります。
――主人公のノアについておふたりはどう捉えて演じ、歌いましたか?
斉藤:彼は見た目は10代なんですけど、体の一部を機械化してもう80年くらい生きているんです。だから打ち合わせの段階でも「血気盛んな若者というより実年齢相応に」と言われたし、最初に作っていった声に対しても「(主人公っぽい感じより)もう少しナチュラルな雰囲気にしてください」という指示がありました。
――見た目に反して意外と落ち着いていて、少しギャップを感じました。
斉藤:ただノア自身は素直に振る舞っているだけなんですよね。彼にとって荒廃した世界で生きることは日常的なことだから、ことさらヒロイックな思いや悲壮な決意があるわけではない。周囲から見るとそれが少し変に見えるだけで……その微妙な感覚が、観ていていい方向に左右されればいいなと思いながら声をあてました。
オーイシ:そうだね。荒廃した世界にもし自分が行ったとしても希望なんて抱けないし、天真爛漫でいられるわけがない。そんな世界でもマイペースを保てていることが、ノアらしい部分なんでしょう。
斉藤:ノアが普通にしていることが、実はヒーローっぽいんですよね。だって誰も観ていないのにずっと日記みたいな動画を投稿し続けているんですよ。視聴数0なのに。
――斉藤さんは主題歌「Hero」を聴いてどんな印象でしたか?
斉藤:「勝ったな」と思いました。
オーイシ:本当に? ありがとうございます。普通に「モンスト」プレイヤーだったから、オファーをもらったときは「なんで僕に声がかかったんだろう」と思ったけどね。
斉藤:いやいや、昨今ヒーローの歌と言えばオーイシさんですから。でも真面目な話、ノアが言葉にしないような決意や思いも感じられて、「もうノア編終わった?」と思うくらいの満足感がありました。
オーイシ:「Hero」はノアの爽やかさだったり、近未来的な乗り物や、スピーディーなアクションが見られるから疾走感だったりを意識した楽曲になっているけど、歌はノアのように自然体でヒロイックに聴こえればいいなとは思っていました。
――「Hero」の歌唱で工夫した点を教えてください。
オーイシ:これまでも何度かヒーローソングを歌わせていただきましたが、今回はさらにロックでダメージドな声を多用したところですかね。少しがなり声というか。それほどキーが高くない中でそういった声を出すのは難しいので、自分のスキルをフルに使いました。
――今回は作詞を「ウルトラマンR/B」主題歌の「Hands」を共に作られた園田健太郎さんが担当されていますね。
オーイシ:園田くんは「Hands」でご一緒して以来すごく信頼している方で、今回の話をいただいて僕から依頼しました。「Hero」はよりヒロイックに仕上がっていて、特にサビの最後の「なんだかんだ言ったって僕たちがヒーローさ」なんて園田節が効いていますよね。
斉藤:あそこ、一番好きです。
オーイシ:まず語感がいいし、そこまでヒーローらしい歌詞が続いているのに、最後に口語っぽい言葉で距離を縮めて締めるという……グッと来ました。
――もう一方の制作サイドとなる、アフレコ現場の雰囲気も教えてください。
斉藤:ケセド役の千葉繁さんがテスト段階からアドリブをバンバン入れていたのが印象に残っています。いち役者として、大先輩の芝居を間近で見られて楽しかったです。あとバトルシーンが多くみんなたくさん叫ぶので、部屋の温度調整が難しい現場でした。
オーイシ:収録している内に室内温度が上がるのね。
斉藤:「酸素も薄いし、エアコンの温度を下げて換気しよう」っていつもなって(笑)。一見爽やかに見えて内には熱い想いを秘めている。ノアと同じくそういう作品になっていると思います。
――では最後に主題歌のタイトルにかけて、ヒーローという観点で本作の注目ポイントを教えてください。
斉藤:一口にヒーローと言ってもいろんな形があるじゃないですか。これまでの主人公であるアーサーやルシファーもそれぞれにヒーローであって。
オーイシ:ルシファー編とか、胸が痛むシーンもあって固唾をのんで観てたよ。それに比べたらノア編は単純に気持ちよく観られるエピソードかもね。
斉藤:そうだと思います。これまでのヒーローたちとはまた違ったヒーロー像をノア、そして仲間たちが見せてくれるので、ぜひ本編を観て、主題歌を聴いて感じてほしいです。
オーイシ:ノアって1話でさりげなく猫を助けるんですよ。でもそれはあくまで彼にとっては自然な振る舞いであって。そんな男をヒーローと言わずに何をヒーローと言うのか。
斉藤:間違いない!
オーイシ:本人はそう思っていないかもしれないけど、視聴者からすると充分ヒーローですよ、と。“なんだかんだ言ったって”ね。
斉藤:おー、ここで歌詞が出た!
――いいオチ、ありがとうございます!
【取材・文:はるのおと】