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全国東宝系にて大好評ロードショー中となっているオリジナル劇場アニメーション『HELLO WORLD』。ここでは東京・イオンシネマ シアタス調布で行われた舞台挨拶後の伊藤智彦監督と音楽チーム「2027Sound」のBRIAN SHINSEKAIさんからいただいたコメントを紹介します。
――まずは舞台挨拶を終えての感想をお聞かせください。
伊藤 お客さんが来てくれてよかったです(笑)。9回とか10回とかリピートで来てくれているお客さんもいたりして「ありがたいなぁ」とか「そんなに来てくれるんだ」という感嘆の思いでいっぱいですね。これからもTOHOシネマズ梅田やなんば、二条をはじめ舞台挨拶を予定しているんですが、どこまでしゃべっていいのかなというさじ加減を考えつつという感じではあるんですが(笑)。でも最終的にいろいろ暴露するのはDVD&Blu-rayのコメンタリーになると思いますので、一応そこまでのネタを切らさないようにしながらこれからも舞台挨拶をやっていきたいと思います。
BRIAN SHINSEKAI 舞台挨拶という経験がなかったので、マイク持って歌わないっていうのでちょっとドキドキしちゃったんですけど(笑)。すごい前のめりで熱いお客さんたちが多くいらっしゃっていて、「こんな熱いファンに愛されている作品なんだな」っていうことを実感できて、そんな作品に参加できたことが嬉しかったですし、感動しました。
――『HELLO WORLD』は音響にかなり力を入れている作品です。
伊藤 映画館だからこそ体感できる環境で観て欲しいというのがありますので、そうなると音響というのは一つの付加要素になり得るなと考えています。岩浪さんが懇意にされている劇場さんにはさらに調整もさせてもらってますので、そういうところで観ていただけるとよりこの作品が持つ本来のスペックに近いものが出せるんじゃないかなと思っています。特に「劇場版SAO」で出来なかった「Dolby Atmos」については「今回こそは」ということで、「それが映えるようなサウンドデザインをしてね」ということで作っていますので、ぜひ「Dolby Atmos」やそれに準じるようななるべくいい環境で観てもらえたら嬉しいですね。
BRIAN SHINSEKAI 普段観ている映画とは段違いの音の迫力を感じられました。音楽も出るところはかなり出て作品の緩急に貢献していたりというのがあって、そこが感動につながるというか心の動きにつながるという意味ではすごいこだわりを感じました。劇伴も一般的な劇場作品とは違ってアーティストが映画に合わせて今まである曲をMIXしていったような、ある種プレイリスト的な感じで音楽が入ってくるので、そういう意味でもかなりの新しさを感じた映画だったと思います。
――楽曲へのこだわりについてもお聞かせください。
伊藤 BRIAN SHINSEKAIさんの楽曲についてはコミカル的な曲も素晴らしかったんですが、俺が印象的だったのはやっぱり川原のシーンで流れた「A Time For Love」ですね。メロディメーカー的なところがすごく出てるフレーズというかキャッチーさがあって、非常に印象に残る曲になりました。どっちが本性なんだろうなみたいなところはあったりするんですが、それがBRIAN SHINSEKAIさんの引き出しなんだろうなと思って面白いなと感じています。
BRIAN SHINSEKAI 川原のシーンで使われた「A Time For Love」なんですが、もともとあのシーンのための曲じゃなかったんです。でも絵を当てはめてみたらすごくハマりそうという話になって、「じゃあもうちょっと恋がはじまるような音色にしてみようかな」とか「もっと壮大さを出してみたらコントラストが出てグッと掴めるかな」と思って、結構リバーブとかもこだわって作ってみたという感じです。すごくメロディアスであそこで一気に一歩前に踏み出す象徴のような音色にということで、物語の流れまでを加味してこだわった曲作りをさせてもらいました。
――劇場公開から二週間ということで、今だからこそこういう視点で楽しんで欲しいというところがあればお聞かせください。
伊藤 ここまでくると「単なるSF(少し不思議な)ボーイミーツガールではありませんよ」ていうことがバレてしまっているので(笑)。「もっとゴリゴリなSF話なんですよ」ということで、これから初めて見るという方々については多少前知識を持って見に来てもらうのもありかなと思っています。軽々に説明しすぎてない作品ですので、100%この料理を楽しみたいのであればノベライズやスピンオフなんかもチェックしてもらいたいですね。そうすれば「ここはひょっとしてこういうことだったのか」と知れる余地を感じてもらえるはずです。そういった映画の「知的探究心」を俺は大事に考えていますし、そういった部分を満足させてくれるような作品になっておりますので、ぜひ何度か見直していただき、新たな発見や解釈を見つけつつより深く毎回新鮮に作品を楽しんでもらえたらと思っています。
BRIAN SHINSEKAI この『HELLO WORLD』なんですが、最初にいただいたシナリオやスケッチから感じたライトな作品というイメージとは違って、劇中のいろんなところに踏み絵になるようなポイントがあって、それを踏む毎にのめり込んでいくような作品になっているなって僕は思っているんですね。「2027Sound」も同様に音楽で人の心を深く刺していってジワジワと浸透していくようなタイプのアーティストの集まりで、そうしたメンバーが作った音楽が作品とシンクロすることで、『HELLO WORLD』はずっと胸に残るその場限りではない映画になったんだと思っています。さらに何回も観ていただくことにより人生に色濃く残る映画になっていくと思いますので、ぜひ何度も観ていただけたらと思います。
この後10月8日、TOHOシネマズ上野で伊藤智彦監督と小松田大全さん(デザインワークス)による舞台挨拶も開催。今週末は大阪、名古屋、そして舞台となった京都の劇場をめぐる舞台挨拶ツアーも開催。『HELLO WORLD』からこれからも目が離せない。
「HELLO WORLD」舞台挨拶スケジュールチケット等詳細は、各劇場のWebサイトにて確認してください。
【取材・文:すわみさお】