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冒頭からのMAOの登場で、すわプロレス勝負か!? と思いきや、本編では花子とイオアナとの因縁が描かれた第6話。あまり解説が必要なプロレス技の応酬という展開ではありませんでしたが、感動的なエピソードに目頭を熱くした視聴者も多かったはず。今回はちょっと趣をかえて、ふたりのキャラの設定から、実際のプロレス選手の系譜を紐解いてみましょう!
今回は冒頭からMAOが異世界に! 視聴者的には熱い展開になってまいりましたが、2回続けてプロレスラーを召喚してしまうこの世界の召喚術には、なにか問題があると思います。
しかしMAOは冷静ですね。突然異世界に来ちゃったらめちゃくちゃ困惑しますよ、少なくとも数時間は。まぁ試合中に目の前で人が消えて(しかも空中という言い訳のきかない状況で)いるのに「どこいきやがったー!」とか言っちゃう人ですから。
源蔵さんもあっさり受け入れていましたが、プロレスラーは非日常に生きる職業、突然のハプニングにも動じないのかもしれません。「一寸先はハプニング」(*1)と偉大な先人も仰ってましたし。
さぁここから怒涛のプロレス展開が! と思ったら、なんと今回は前回を上回るプロレス濃度の薄いエピソードでした。プロレス技はアイキャッチの花子とイオアナのフィンガーロックしかない。フィンガーロックはもう解説しているし、どうしよう……。
ということで、なんでもいいから無理矢理プロレスに関連付けて、それっぽいことを語っていきたいと思います!
今回は、花子とイオアナの関係性が明らかになるエピソードでした。
魔界の四大公爵家の令嬢であるイオアナと、同じく魔界の四大公爵家の令嬢であり、ドラゴンハーフを自称するが、それ以上にドラゴンと密接な関係がありそうな花子。
血統ゆえ武の英才教育を施されたイオアナと、血統ゆえ天賦の才を持っている花子。
努力と天才の図式です。
ふたりの従者であるカーミラとローゼはもっと顕著な関係ですね。
エルダーヴァンパイアであるローゼとレッサーヴァンパイアであるカーミラとの間には、生まれの時点で決定的な差があるようです。
カーミラは花子への愛と忠誠で頑張りましたが、ローゼには敵いませんでした。
今後、カーミラはローゼにリベンジできるのでしょうか?
リベンジしてほしいなぁ。「持てる者」を「持たざる者」がいつか打ち負かすというのは、王道の展開ですからね。それはプロレスでも同じです。
アマレスや格闘技など、アマチュア時代に輝かしい実績を買われスカウトされ鳴り物入りでプロレスラーになる者。
誇れるほどのスポーツ経験はないが「プロレスラーになりたい!」という強い思いのみで努力をし、過酷な入門テストに合格し、プロレスラーとなる者。
そんなふたりの闘いは「エリートvs雑草」や「天才vs叩き上げ」と表現されます。
エリートの華麗なる才能と、雑草の泥臭い努力の結晶の闘いは、その関係性だけで見る者の感情を揺さぶり白熱します。
そんな「雑草魂」でトップの座に上り詰めた代表といえば、新日本プロレスの真壁刀義選手(*2)です。「スイーツ大好きプロレスラー」として、バラエティー番組でもよくその姿を見ることができます。
真壁選手は学生時代に柔道をやっていましたが、プロレスにおいて大きな武器となるものを持たずに新日本プロレスに入門しました。周りはアマレス出身者などエリートアスリートばかりでしたが、必死の努力によって結果を出し、チャンピオンになりトップレスラーとして花開きました。
小橋建太さん(*3)もそうです。脱サラしてゼロから始めたプロレスラーへの夢を叶えて、努力に努力を重ねて頂点に辿り着き、時代を代表するレスラーとなりました。
11月3日に行われたDDTプロレスリング両国大会で二冠王者に輝いたHARASHIMA選手。
HARASHIMA選手は既にトップレスラーですが、キャリア20年近いベテラン選手。24歳の若さを武器にフィジカルで圧倒する竹下幸之介選手に対して、驚異的な意地と力を発揮し勝利しました。これもまた「年齢」というどうにもならないものに対して「努力」と「精神力」で対抗し、結果を出しました。
もちろんエリートも我々の想像を超える努力をした上で立つべき場所に立っているわけですが、それを理解していても「双方の立ち位置のギャップ」は闘いにおいて燃える要素のひとつですね。
ケモナーマスクとMAOの決着は間違いなくプロレスによって争われるでしょう。これが剣と魔法バトルだったらぶっ飛びますが……。
なのでイオアナも花子も、ローゼとカーミラも、プロレスで決着をつければいいんですよ!
最終回のメインイベントはケモナーマスクvs MAOの異世界タイトルマッチ。セミファイナルは花子vsイオアナの路上プロレス(リングが壊れそうな気がするから)。カーミラとローゼはセミ前で、レフェリーが特に危険とみなしたもの以外はすべての攻撃が許される「ハードコアマッチ」で闘えばいい。
誰が一番強いのかはリング上で決めればいいんや! プロレスアニメなんだから! 多分プロレスアニメだと思うから!
かなりの無理矢理な感じでここまで書き上げてまいりました今回のコラム。
次回予告だってシグレ役の関根明良さんが「プロレスネタがないから、この枠を埋めろと言われた」と無茶振りされたことをカミングアウトしてますし、まぁしょうがない!
あ、ひとつ言い忘れた。MAOが城の武器を自由に使っていいと言われた時「こんなもん使ったら反則じゃねぇか」と言っていました。荒っぽい性格だけど、プロレスに対しては真面目なんだなぁMAO。本物のMAO選手は嬉々として武器を使いますよ、相手が高木三四郎選手なら……。
今回は以上!次回はプロレス技、出るのかなぁ……。
最後に、これをご覧の皆さまは絶対に真似をしないように。大鎌を振り回した側も大斧を振り回した側も共に不幸な結末が待っています。花子のようになりたければ好き嫌いせず何でも食べましょう。「Please don‘t try this at home.」約束ですよ。
<注釈>
(*1)一寸先はハプニング
アントニオ猪木氏は名セリフを多く残しているが、中には凡人には理解が及ばないものもある。これはそのひとつ。「ハプニングはいつ起こるかわからない」という意味だと思う。そのハプニングの発端は猪木氏自身にあることがほとんどなのが、この言葉の素晴らしいところ。
(*2)真壁刀義選手
新日本プロレス所属のプロレスラー。通称「暴走キングコング」。先輩にはしごかれ、同期や後輩にまで抜かれる屈辱の日々の中、「いつか全員ぶっ倒してやる!」という負けん気と腕っぷしの強さでトップに上り詰めた意地と信念の人。デカくて強くて強面のド迫力レスラーだが、スイーツ好きというギャップによりお茶の間でも人気。
(*3)小橋建太さん
全日本プロレスとプロレスリングNOAHで人気を誇った元プロレスラー。通称“鉄人”。スポーツ歴は学生時代の柔道とラグビーという身でありながら、アマレス出身者や相撲出身者、巨漢の外国人選手ひしめく全日本プロレスで、トップに上り詰めた努力と根性の人。2006年に腎臓がんが見つかり、治療のために長期欠場。無事手術は成功し不屈の闘志でリハビリとトレーニングを重ね、リングに復帰した。2013年5月11日現役を引退。