新作&おすすめアニメのすべてがわかる!
「月刊ニュータイプ」公式サイト
2019年12月15日に初日を迎える、音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」で主演を務める松下優也さんにお話を伺いました。本作は三田誠さんによって描かれ、アニメ化もされた珠玉の魔術ミステリーを原作とした音楽劇です。その独特な世界観にはたして、どう挑むのでしょうか。
──先行して美しいキャラクタービジュアルが発表されました。
松下 本当にキャラクターの姿のままだったので、楽しみになりました。なかでも気に入っているのは、グローブを付けているところです。
──原作を読んでの感想をお願いします。
松下 複雑な世界観がとてもかっこいいな、と感じました。今回、総合演出をウォーリー木下さんが手がけられますが、僕らが肉体で表現する以外のところでどんな空間が広がるのか、さらに音楽が付くことで、どんな世界になるのかは純粋に興味が湧きました。
──その中心に役として立つわけですが、心がけていることはありますか?
松下 いくつかありますが、ひとつは役として観てもらえるように、自分でも錯覚するかのようなところにまで持っていって、入り込んで演じることです。そのためには稽古を重ねていくだけで、稽古場で作り上げたものを、舞台上で毎日、ただ、演じるだけです。もちろん本番に入ってから変わる部分もあるかもしれませんが、その日、その場所で一回だけの観劇という方もおられると思うので、その日のいちばんの姿を観せたいです。
──今回、座長公演ですが意識しますか?
松下 以前はあまり考えなかったんですが、最近、「松下優也が主演を務めるからには楽しんでほしい」と思うようになりました。その「楽しむ」は、僕がみんなをまとめるとかではなく、それぞれが居場所を見つけてほしいということです。キャスト、スタッフ全員が、仕事ではあるんだけど、なにかしら楽しめるような場所であってほしくて、そういった空気を創ることを心がけたいです。
──原作人気に対してのプレッシャーはありますか?
松下 ないと言ったら嘘になりますが、そこまで重く感じてはいません。それは、これまでのいろいろなものを乗り越えてきたからで、それらを振り返っても演じるしかないし、演じられると思います。だから原作ファンの方を始め、広く楽しんでいただけることを目指します。ただ、一方で誤解を恐れず言えば、どうしても受け入れてもらえない方もおられると思うので、申し訳ないですが、そういった方々に向けて努力を払おうとは思いません。ですが、作品に興味を持ってもらえる、自分に興味を持ってもらえる可能性がある人たちに向けては、当然のことですがすべてを尽くして届けます。
──最後にひと言、お願いします。
松下 生きてる、ってすごく忙しいことで、その中で娯楽というのは衣食住のなかで優先順位はそんなに高くはないと思うんです。だから、時間を作って、決して安くはないチケット代を払って、劇場に来てくださる方々に、ああ、観てよかったな、と思ってもらえる舞台を創ります。二次元という世界には、僕らがどうがんばっても入ることができません。でも、そこに全力で近づくことで、プラス0.5されて、2.5次元っていう空間が生み出されていくと思うので、それらを丸ごと楽しんでほしいです。
【取材:おーちようこ、写真:江藤はんな]