アニメ

「プチプチ・アニメ」20周年で「ニャッキ!」「ロボット パルタ」が大集合

さまざまなコマ撮り作品を輩出した、Eテレで放送中の5分間番組枠「プチプチ・アニメ」。その20周年を記念した上映会&トークイベントが、2月5日(金)にTOHOシネマズ新宿で開催されました。

上映されたのは、「ニャッキ!」「ロボット パルタ」をメインに、「王さまものがたり」を加えた3作品。そのうち、番組のスタート当初から放送されている「ニャッキ!」と「ロボットパルタ」は、全40作を超えるシリーズの中から、新旧織り交ぜたエピソードを続けて上映。20年分の歴史を振り返りながら、「プチプチ・アニメ」の面白さをあらためて実感することができました。

そして上映後には、各作品の監督がステージに登場。映像と共に制作エピソードを振り返るクリエイターズトークが行なわれました。

最初に登壇したのは、小さなイモムシが大冒険を繰り広げる「ニャッキ!」の伊藤有壱監督。「ニャッキをスタジオ内でひとつひとつ手作りしながら、撮影を進めています」と説明しつつ、さらに「イモムシはリアルサイズだから、セットもミニチュアではない。後になって大変なことに気づきました(笑)」という苦労話も飛び出しました。また、エピソードごとに見られる新たな映像表現は、「あえてイメージやシナリオを壊すことで生まれる偶発的な試み」であることも明かされました。

一方、「ロボット パルタ」の保田克史監督は、「パルタ今昔物語」という誕生秘話を紙芝居風の映像に乗せて披露。「ロボット パルタ」の元になったのは、保田監督が1990年に制作した「パルサー」という3分間の映像で、それをNHKに持ち込んだ結果、パルタの制作が決まったそうです。気になるキャラクターたちの素材は「9割がプラスティック」とのことで、約20年に渡る制作工程では、常に最新機器が導入され年々便利な撮影環境になっていきましたが、人形の造形とアニメートに関しては、今も手作業にこだわっていると言います。

次に、伊藤監督と保田監督が、それぞれの制作について対談。「ニャッキ!」はまずアイデアが動くのに対し、「ロボットパルタ」は多くのキャラクターが登場して物語を動かしていく、という着眼点の違いが語られ、同じコマ撮りアニメーションでも、作家のこだわりによって作品の方向性が変わっていくことが判明しました。

また、観客の中に若いコマ撮りアニメーションのクリエイターがいるということで、伊藤監督は「アニメーションはきれいごとじゃない。ひたすら感謝を噛み締めて、明日への糧にしたい」と、20年以上の経験に裏打ちされた深みのある信条をコメント。その上で、「作家の短編を放送して20年も続いている番組は、世界中を見ても日本とチェコくらいしかない。若いクリエイターもどんどん挑戦して新しい世界を作ってほしい」と呼びかけました。

コマ撮りアニメーションがアニメーターたちの飽くなき挑戦によって成り立っていること、そして、その試みが20年続いた今、その可能性は次世代へと大きく開かれていることを感じ取れるイベントとなりました。【取材・文:麻布たぬ】

■イベント上映内容
ニャッキ!
エピソード名:「風・スウィーティー・どうろ・くちぶえ」「ニャッキ大きくなる」「マカロニ」「サクランボ!」「ガラクタDANCE」
ロボット パルタ
「パルタたんじょうのひみつ!」「ピプコのおえかきだいすき!」「コロタインワンダーランド!」「パルタの鬼たいじ!」「さいごのヒーロー伝説!」
王さまものがたり
「王さまとさかなちゃん」
■プチプチ・アニメ
Eテレにて、毎週(月)~(金)午前8:50~8:55 午後3:40~3:45に放送中
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