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大勢の観客とともに撮影した辻中佳紀役の小林千晃さん
イベントの開演とともに、さっそく第1話の上映がスタート。序盤から張り詰めた空気が漂い、観客たちは固唾を飲んでスクリーンを見つめていました。次々と起こる衝撃的な展開に、静まり返った会場が物語の緊張感を際立たせていたのが印象的です。
上映が終わると、大きな拍手とともに、原作者・モクモクれん先生、辻中佳紀役を演じる小林千晃さん、そしてプロデューサーのKADOKAWA・倉兼千晶さん、サイバーエージェント・椛嶋麻菜美さんが登壇。モクモクれん先生は被り物を着けた姿で現われ、冒頭の挨拶で観客のボルテージを一気に高めました。
続いて、竹下良平監督からのビデオメッセージが上映。「誌面から新しさを感じた」と語る竹下監督は、「本作を演出に特化したアニメにしようと思えたのは、モクモクれん先生の斬新な絵があったからこそ」と語り、制作現場からの熱い想いを伝えました。
モクモクれん先生は、アニメ化のオファーを受けたとき「そろそろ来る頃では」と思っていたそうで、信頼するスタッフ陣とともに脚本段階から細かくチェックを行ない、納得のいく映像化が実現したと振り返りました。
そしてトークは辻中佳紀役に小林さんが選ばれた経緯へ。倉兼プロデューサーは「二度にわたるオーディションを経て、成長途上の高校生という繊細なニュアンスを演じられるのは小林さんしかいないと、スタッフ全員の満場一致で決定しました」と明かしました。
これに対して小林さんは、「原作がとても面白かったので、本作に参加できて本当に嬉しいです」と笑顔で語りつつ、「よしきは一見クールに見えるけれど、僕には普通の高校生に映りました。その“普通さ”を大切にして芝居を組み立てました」と役作りの方針を紹介。「三重弁は大変でした(笑)」と本作ならではのチャレンジにも触れました。
モクモクれん先生も「ヒカルは“人間らしくない”ことが大事だけれど、よしきは“人間らしさ”が大切。その両者の対比が物語の軸になります。小林さんに演じていただけて本当に良かったです」と太鼓判を押しました。
上映されたばかりの第1話の演出についてモクモクれん先生は、「原作では文字で表現していた描写を、アバンから見事に映像化してくださって感動しました」と竹下監督の演出を絶賛。小林さんも「『光ちゃうやろ』というセリフが強く印象に残りました。物語の冒頭でこれほど印象的な言葉が出てくるとは思わず、非常に驚きました」と語りました。
なお、本作のアニメーション制作はCygamesPicturesが担当。椛嶋プロデューサーは「原作が本当に素晴らしく、驚かせるホラーではなく、“静かに怖がらせる”ホラー演出を竹下監督やCygamesPicturesさんたちが模索してくださっています」と作品の特徴を語りました。
椛嶋プロデューサーは「1話以降続きが気になるストーリーになっているので、皆さん最後まで楽しんでください」と物語の展開に注目してほしいとコメント。倉兼プロデューサーは「青春、ホラー、ミステリなど、さまざまな要素が重なり合う物語なので、皆さんの好みに応じて楽しんでいただけたら嬉しいです」と作品の魅力をアピール。さらに、小林さんは「よしきとヒカルの関係性がどうなっていくのか。親友でいられるのか、それとも――。映像も音楽も素晴らしい作品ですので、今後の展開をぜひ見届けてください」と観客に語りかけ、期待を煽りました。
イベントの最後には、モクモクれん先生から「原作の核となる部分が、しっかりと映像として結実しています。誠実なアニメ化だと感じていますので、原作とあわせて楽しんでいただけたら嬉しいです」とメッセージが送られ、約1時間にわたる北米プレミアステージは盛況のうちに幕を閉じました。
静けさの中に潜む恐怖と、揺れ動く心情描写が交差する『光が死んだ夏』。その第一歩を踏み出した夜は、Anime Expo 2025においてもひときわ強い余韻を残したイベントとなりました。
【取材・文/太田祥暉】
リンク:「光が死んだ夏」公式サイト https://hikanatsu-anime.com/