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これはアニメなんだろうか――「シン・エヴァンゲリオン劇場版」伊吹マヤ役長沢美樹インタビュー

2021年05月25日 17:01配信
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は好評公開中
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は好評公開中(C)カラー

公開中の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」。完結編となる本作について、そして「エヴァンゲリオン」シリーズについて伊吹マヤ役の長沢美樹さんにお話を伺いました。

──公開中の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」。皆さんの反響をどのように受けとめていますか?

長沢 マヤに関しては「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」での変わり様にショックをうけた方がけっこういらっしゃったと思うのですが、今回の彼女を観て「救われた」とか「マヤはマヤだった」といってくださっているのをお見かけしたので、ホッとしましたね。あと、「チワワだと思っていたマヤがドーベルマンになっちゃったと思ったけど、やっぱりチワワだった!」という声もあって、それがすごく好きでした。

──長沢さん自身は、映画をご覧になって、どんな思いをいただきましたか?

長沢 試写で観させていただいたときには、ものすごくって、クライマックスシーンはずっと口を開けっぱなしで見ていて。まず、シンジくんいろいろ良かったね、と思いました。何度も観たくなる映画ですよね。公開してから友人とIMAXで見たりもして、その迫力でまた口が大きく開き、ミサトさんで泣き……。なんでしょうね、面白いとかそういう概念を超えて、これはアニメなんだろうかとすら思えて、とてつもない現象を見ている気持ちでした。これはもはや神話だな、と。そう思ったときに、TVシリーズの主題歌が頭の中でなりひびきましたね。そうか、あれはこのことだったんだ、シンジくんは神話になったのかって。

──台本を最後まで読まれたときの第一印象は?

長沢 難解の極みでしたね。ただ、台本を読んだ時点でもミサトさんのシーンで泣きましたし、いい女、と思いました。そして、ほかのみんなもいい女たちだ、と思いました。「エヴァンゲリオン」って男性もすてきですが、女性がみんなとても魅力的で。強い女性が多いですよね。一見弱いように見えても、しっかりした芯を持って立ってる。あとは、ヒカリちゃんが赤ちゃんを育てていたり……命の繋がりを感じる物語だと思いました。

──マヤはアバンから大活躍します。

長沢 パリが、そしてエッフェル塔が大変になっていて、アフレコ当初は驚きましたね。けれど、「この街を残したかったあなたたちの想いを引き継ぎます」というセリフに、任務に対するマヤの思いがすっと入っていて。一本、筋が通ったものを感じました。

──部下への厳しさも描かれていくマヤですが、テキパキと指示と状況説明を繰り出していく様がすてきでした。

長沢 オペレーターとして情報が正しく伝わらなかったら、みんなが困るし、マヤ自身は常に冷静でいようとしているんですけど、心の中は嵐のようにぐるんぐるんしていました。マヤとしても、私としても大混乱です。少しでもセリフにつっかかって任務を全うできないニュアンスになってしまうとリテイクがかかるし、かといって落ちつきすぎると「そんなに変わってないよ、マヤは」とリテイクが入る。なんといいましょうか、爆弾がどんどん飛んでくるのに、動こうとすると動いちゃダメっていわれるような、そんなアフレコになりました。ヘヴィでしたが、とても楽しかったです。

──マヤ以外のオペレーションのセリフも担当されてきた長沢さんですが、今回はいかがでしたか?

長沢 「シン・」では、マヤ以外のセリフはなかったのですが、TVシリーズのころからその役回りも楽しかったですね。普段の生活では絶対に使わないことばの羅列。しかも、上手くいえるとまわりの方たちから褒めていただけたので、その当時はとてもうれしかったです。のちに総監督に「昔は言えてたのにね」とチクッといわれて、なにー!となったりもしましたが(笑)。

──TVシリーズの放送から25年以上となりますが、本シリーズへ携わってきたことへの思いを教えてください。

長沢 私にとって、声優として歩んできた歴史とともに「エヴァ」があるんですよね。だから、人生の一部というか、人生そのものというか。これから先もなくなる感覚はなくて、マヤもずっと隣にいてくれるような気がしています。庵野総監督に昔、「長沢って潔癖症だよね」「だからマヤは潔癖症にしたんだよ」っていわれたことがあって。性格付けも自分に重なる部分があるので、そういう意味でもすごく自分とつながりが深い存在になっています。だけど、それなのに、もう終わりだよって突き放されてしまったわけで、今、たまらない気持ちでもあります。切っても切り離せないのに、離れなさいっていわれている……複雑ですね。でも、たとえば今後、しばらく「エヴァ」にまつわるものを何も演じないまま年月が経って、10年後、20年後に急に「はい、演じてください」っていわれたとしても、たぶん違和感なくやれる気がしています。それくらいマヤや「エヴァ」が私に根付いていると思います。

──最後、「終劇」という文字を見たとき、どんな思いがありましたか?

長沢 もうこれで終わりだって知っているのに、またまたぁって思いました。泣きながら。またまた、そんなこと言っちゃって!という感じで…。

●ながさわ・みき/福島県出身。代表作は「それいけ!アンパンマン」(クリームパンダ役)、「機動戦士ガンダム MS IGLOO」(モニク・キャデラック役)など

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【取材・文:ワダヒトミ】