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AIもふれあいによって変化する――TVアニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」エステラ役日笠陽子インタビュー

2021年06月17日 21:01配信
日笠陽子さんが演じたエステラ
日笠陽子さんが演じたエステラ(C)Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO

過度に発展した自律AIが、人類に対して戦争をしかけました。最初の衝突からわずか8分で犠牲者数は万を超え、人類は存亡の危機に。その惨劇を止めるために白羽の矢が立てられたのが、史上初の自律人型AIヴィヴィです。ヴィヴィは時にディーヴァを名乗り、100年前の世界に送られたAIマツモトとともに、歴史を修正する「シンギュラリティ計画」に挑みます。

100年にわたる壮大な闘いを続けるヴィヴィとマツモトの旅を描くTVアニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」(以下、ヴィヴィ)がクライマックスに突入しました。ヴィヴィが出合ったAIの中から、宇宙ホテル・サンライズの接客AI・エステラを演じた日笠陽子さんにお話しを聞きました。

――初めて台本を読んだときの感想を教えてください。

日笠 私が始めて読んだのは、エステラが初登場する第3話でした。そのときは、基本となる世界感や、第1話と第2話の内容については説明をもらっていたのですが、ヴィヴィを演じる種﨑敦美ちゃんや、マツモト役の福山潤さんがどう演じてきたのかは分からない状態。どんな演技だったのかを想像するのが楽しかったです。

ヴィヴィ
ヴィヴィ(C)Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO


――エステラを演じる際には、どのようなことに気を付けたのでしょうか。

日笠 エステラとヴィヴィの対面シーンを台本で読んで感じたのが、エステラの品格です。仕事(使命)がどういうものかを理解している彼女が、それをどう全うしようとしているのか、その気持ちをしっかり表現したいと思いながら演技しました。

――技術的な面ではいかがでしょうか。

日笠 AIは、機械の身体ですので、息をどう入れるかは迷いました。結果として、生っぽく、人間なのか機械なのかわからないようにバランスをとれればいいなと思って演じました。打ち合わせをしたわけではないのですが、第3話のクライマックスでエリザベス(以下、ベス)役の内山夕実ちゃんがアドリブで息を入れている姿を見て、認識が共通していたのだなとうれしくなりました。

エリザベス
エリザベス(C)Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO


――完成したエステラ編(第3~4話)を見た感想を教えてください。

日笠 エステラとベスは、同型機で双子の妹のような愛情をエステラは抱いていました。だから、ベスを守りたい、一緒にいたいと強く願っていたはずなんです。でも、それは叶わなかった……。そうやって大きく傷つき、開いてしまった心の穴を、埋めてくれたのがオーナーだったのだなとあらためて実感しました。

――第4話の終盤では、墜落するサンライズの被害を最小限にするために、自らを犠牲にしました。その一方で、避難する乗客を落ち着かせるために、宇宙から見た地球の様子をやさしくガイドしました。どのような気持ちで演じられましたか。

日笠 エステラが、どんな状況でも乗客のことを思っているのは、ひとえに「お客様が大切」だという気持ちから。そして、その思いは、エステラ本人が独自に育てたものではなく、オーナーの意志を継いだものなんです。その使命をまっとうできたことは、エステラにとって幸せなことだと思って演じました。

――オーナーは、エステラにとって大きな存在だったのですね。

日笠 そう思います。エステラとオーナーの関係については、Blu-ray&DVDの第2巻完全生産限定版特典に付属するドラマCDを聞いていただけるとよくわかります。物語は、サンライズの誕生にまつわる日々を綴っています。演じていて思ったのは、エステラの“欠陥”をオーナーが個性として受け入れ、それ以外のいい部分にも目を向けてくれたからこそ、アニメのエステラがいるのだなということでした。

――本作のAIは、よくも悪くも変化します。

日笠 そういうところが、人間っぽいなと感じています。演じたり、完成した映像を見たりしながら、不思議に思ったことがあるんです。AIの思考は結局プログラムですが、壊れたときにその記憶やデータはどうなるんだろうなって。命をかけて人的被害を回避したエステラが、お空でオーナーと会えていなかったら悲しいなと心配したりして。でも、AIにも魂が宿っていて、ボディが動かなくなっても、魂はどこかにあり続けると思うんです。ぬいぐるみや人形にも魂が宿るとしたら、「Vivy」の世界のAIもそうであってほしいなと思います。

――アフレコで印象に残っていることを教えてください。

日笠 コロナ禍のアフレコでは、ブースに入れる人数が限られています。その関係で、第4話のアフレコでは、参加者のなかで私だけ小部屋のようなブースに入っていました。そのときに、すごく寂しくなってしまって。休憩のたびに、みんなに会いに行っていました(笑)。声は聞こえるけれど、相手の姿が見えない境遇は、エステラが誕生して実験施設にいたときと同じです。でも、実験施設のエステラは、そんなに寂しくなかったのではないかと思うんです。なぜなら、エステラは、誰かと一緒にいる幸福をしらなかったからです。でも、それから時が経ったアニメのエステラは、また最初の研究施設にいたら寂しく思うはず。それはオーナーやルクレール、ヴィヴィと出会ってぬくもりを知ってしまったから。アフレコの小部屋では、そんなエステラの思いの変化にも心を馳せていました。

――ヴィヴィ役の種﨑敦美さんや、マツモト役の福山潤さんのお芝居をどう感じていますか。

日笠 ヴィヴィは、とても繊細なキャラクターです。第7話からのオフィーリア編では、ヴィヴィとは一見性格が真逆な明るい“ディーヴァ”を演じていましたが、やっぱり軸の部分ではその繊細さが表現されていて。種﨑敦美ちゃんらしい、すばらしい演技だったなと思います。マツモトは、福山さんへの当て書きのようなぴったりのキャラクーですね(笑)。休憩中にヴィヴィのことを聞くと、福山さんはマツモトが乗り移ったかのように機関銃のように語り出すんです(笑)。その滑らかさはまるでAI。本番でも、その本領をいかんなく発揮していて、その技術に同じ役者として悔しさを感じるほどでした(笑)。

マツモト
マツモト(C)Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO


――物語はクライマックスに向かっています。これまでの放送を見た感想を教えてください。

日笠 エピソードそれぞれで別世界を見ているような感覚を楽しめるオムニバス形式の本作ですが、通して見る中で共通したテーマを感じます。それは心の問題。AIの感情や思い、意志は、どこからくるものなのだろうと考えるようになりました。そして、個人的に思い当たったのは、AIも人も誰かと関わることで、心をつくっていくんだなと思っています。同時に、“ふれあい”もひとつのキーワードです。第2話でヴィヴィとマツモトが握手をするシーンがありました。同じように、第4話では、墜落するサンライズの中でエステラとベスが手を繋いでいました。ふれあうことで、言葉だけでは距離があって気付きあえない関係性が芽生えるのだなと思っています。

――ヴィヴィは、「心を込める」とはどういうことかを聞いていました。日笠さんはどう思われますか。

日笠 やはり、誰かと関わることだと思います。ひとりでいることで生まれる感情もありますが、そのバリエーションには限りがあると思うんです。誰かと関わることで、相手のことを知ることができ、相手のために何かをしてあげたいという感情も生まれる。「心を込める」というのは愛情を込めるだけでなくて、そうやって相手に対して感情を動かすことなのかなと思いました。うまく言葉にできませんが、そうやって考えることがこの作品のおもしろさなんだと思います。

――クライマックスに向けてメッセージをお願いします。

日笠 この先のお話を私は知らないので、視聴者の皆さんと同じ目線で結末を楽しみにしています。ヴィヴィの旅を見ていると、人生とは旅そのものなんだなと思います。その旅を続ける人には、みんなに正義があります。ヴィヴィやマツモト、トァク、AI――。それぞれの正義がどんな結末を迎えるか、一緒に驚いたり、発見をしたりしながら、エステラのように皆さんのお供をしたいと思っています。最後まで、よろしくお願いいたします。

【取材・文:星政明】

■Vivy
毎週土曜日23:30~ TOKYO MXほかにて放送中
毎週土曜日0:00~ バンダイチャンネルほかにて配信中

Blu-ray&DVD第1巻
発売:2021年6月30日
価格:Blu-ray7700円(税込)、DVD6600円(税込)

リンク:「VIVY」公式サイト
    公式Twitter・@vivy_portal