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【SELECTION PROJECT】スタッフ座談会「新しい形のアイドルコンテンツを構築した」

2021年12月10日 20:23配信
teaser
teaser(C)SELECTION PROJECT PARTNERS

物語も佳境へと突入し、今後の展開からますます目が離せない「SELECTION PROJECT」。“アイドル×オーディション×リアリティーショー”をテーマに掲げるオリジナルアイドルアニメはどのようにして誕生したのか? 企画の発端から関わり、エグゼクティブプロデューサーとして名を連ねる田中翔さん、石倉正啓さん、土屋慎一さん、音楽プロデューサーの木皿陽平さんのプロデューサー4名による座談会で、作品のルーツに迫ります。

――まず「SELECTION PROJECT」の企画が動き出した時期と経緯を教えてください。

土屋 最初に石倉さんと木皿さんが「アイドルという素材で何か面白いことができないか」というお話をされていて、そこに私と翔さんが呼ばれて入っていったのが始まりだったと思います。

木皿 それが2018年ですから、今から3年前くらいですね。

田中 いろいろ話し合った結果「アイドルをテーマにしたアニメーションを作りましょうか」という着地点に落ち着いて、そこから「どういう座組みで作りますか?」という話を具体的に進めていった感じです。で、自分が当時お仕事をさせていただいていた動画工房さんに全力で「やります!」と言っていただけたので、制作にINしていったという流れになるのですが、そもそものオーディションというアイデアは石倉さんが最初に「おニャン子クラブみたいなのをやりたい」とおっしゃったところから始まったと思っていて。

石倉 おニャン子クラブもそうですし、僕らの若いころに放送されていた「ASAYAN」というオーディション番組がとてもドラマがあったんですね。そこからアニメでオーディションをテーマにしたコンテンツはないんじゃないかなと思って、さらにいろいろなことをミックスしていくと新しい形のアイドルコンテンツが構築できるのではないかなと、みんなで話し合っていきました。

木皿 なので、「SELECTION PROJECT」というタイトルがつく前は「PROJECT NYANCO」と呼んでいました(笑)。僕の中で「SELECTION PROJECT」というタイトルが最初のうちはなじんでいなくて「ああ、PROJECT NYANCOのことか」と。

石倉 当初は毎週のようにみんなで集まって、いろんな要素を検討しながら原作開発を少しずつ進めていきました。今の形に落ち着くまでは「スポーツと掛け合わせるのも新しいんじゃないか?」というアイデアもありましたね。

――「SELECTION PROJECT」というタイトルに決まった理由は?

田中 自分が最初に出したメモの中にあったんですよ、たしか。

土屋 ひとつのアイドルだけじゃなくて、たくさんアイドルを輩出していけるようなプラットフォームにしたいというようなお話があって、「SELECTION PROJECT」という作中の番組自体をタイトルにすることが決まっていった流れだったと思います。

石倉 「セレプロ」というふうにも略せますし、結果的になじみのよいタイトルに落ち着いたとは思います。

田中 それにしても石倉さんの「オーディションでいきましょうよ」というアイデアは先見の明というか、その後で虹プロ(Nizi Project)が始まったりしましたからね。われわれパクリのように見えるんですけど(笑)、2018年から企画を進めていたので誰も何も知らないし、まったく情報を得ていなかった。つまり「これからまたオーディションブームの到来やで!」というのを石倉さんは見抜いていたということになります。

土屋 むしろアイドルオーディション番組というよりは「テラスハウス」みたいなリアリティーショーのほうが最初のヒントになっていましたよね。

石倉 アニメを視聴するお客さんに一生涯楽しんでもらえるような、普遍的なコンテンツって何だろう?というところで考えると、やっぱり王道なものをテーマにしつつ、普遍性があって、かつ、ドラマが見えるようなものになるのかなと。それこそリアリティーショーのように、より親近感だったり共感性だったりを高めたものが心に残って、長い期間愛してもらえるようなものになればいいなというのは当時考えていたことですかね。

ビジュアルボードより
ビジュアルボードより(C)SELECTION PROJECT PARTNERS


――ただ、あまりリアリティーショー路線を突き詰めていくと、アニメが好きな視聴者からは引かれてしまうというような懸念もあったのではないでしょうか?

土屋 そこは翔さんが毎回言っていましたけど、リアリティーショーだからといってギスギスするというよりは、この子たちが前向きでかわいいよね?というところに毎話しっかり落としていくことでフラストレーションをためずに見ていけるものにしようと、シナリオの段階でも意識して作られていたような気がします。

石倉 ほかに気をつけたことで言うと、初期のキャラクターを決めていく段階で、9人の女の子たちそれぞれに魅力を出すにはどうするか。お客さんが感情移入するのが9人のなかのどの子になるかわからないので、どの子もアイドルになるための理由だったりとか、目標だったりとか、バックボーンになるようなものはちゃんと伝わるように作っていったんじゃないかなと思います。

――9人の女の子がそれぞれ全国9つの地区の代表という地域性をもっていることで、キャラクターの個性がよりわかりやすく伝わっているのではないかと思います。

田中 もともとは「いずれ全都道府県からひとりずつ代表を出したい」という自分の展望を入れ込んだというだけなんですけどね。アイドルがもっと増えていったらいいなという欲望です(笑)。あとはおっしゃっていただいたように、キャラクター性が地域によってわかりやすく見られるというのも面白いなということと、それぞれのキャラクターが持っているバックボーンの描きやすさもあったので、若干ロジカルにはやっています。

――実際に視聴者からの反響はありましたか?

石倉 書き込みとか見ていると、だいぶ大宮駅が話題になっていますね(笑)。

木皿 まこの博多弁も好評でした。

石倉 方言は声優の皆さんが苦労されているかもしれないですけど、地元の言葉が出てくることで先ほどお話ししたような共感性も出てくると思うので。

――先ほどのお話では共感性のほかにドラマという言葉も出てきましたが、本作のドラマ部分を大きく担っているのは鈴音と玲那、そして天沢灯の関係性ですよね。

田中 それはたぶん自分が最初に出したメモで「韓流ドラマみたいなジェットコースターものがやりたい」と書いていたのが採用された感じです。

――心臓移植に関してもドラマ性を高めるために?

木皿 心臓移植のくだりは最初からあったと思います。そこが物語の核になるところなので、ほかはあまり記憶に残っていないですけど、これだけは覚えています。

田中 トンデモ設定が面白いかなと思ったので……。

ビジュアルボードより
ビジュアルボードより(C)SELECTION PROJECT PARTNERS

ビジュアルボードより
ビジュアルボードより(C)SELECTION PROJECT PARTNERS


――ここまでのお話を聞いて、おニャン子クラブから「ASAYAN」、リアリティーショー、そして韓国ドラマと、アイデアの源流はいろいろなところにあるのだなと思いました。

石倉 やはりアイドルアニメとしては後発になりますし、テーマとしてもスポ根ものみたいな、女の子たちが一生懸命汗かいて頑張っているシーンがかっこよく見えるようなものを描きたいなというのが当初からあったような気がします。そのなかで韓流要素だったり、それこそおニャン子だったり「ASAYAN」だったりという、僕らが幼少期に体験したものを大人になって具現化したいみたいなところで、自分たちが影響を受けてきたものを今の技術や表現の仕方でもう一度出すことで新しいものに生まれ変わるんじゃないかなと。そういう意味で、いろいろな要素を入れているような気がします。

――今おっしゃったようにアイドルアニメとしては後発になる本作ですが、ほかにも多くのアイドル作品が今も作られ続けています。これはつまり、どれだけ後発になろうとも作りたくなるような魅力がアイドルアニメにはあるということなのでしょうか?

石倉 何歳になってもかわいくて頑張っている女の子はみんな好きですよね(笑)。それだけは何があっても変わらないんじゃないかという感じがします。

土屋 あと、アイドルものは作り手とファンの皆さんが、わりと近い位置でいっしょに盛り上げていけるという感覚があります。ファンと演者と作り手が長期的にひとつのコンテンツを作り続けていけるというのは、作り手側としても魅力があります。

ビジュアルボードより
ビジュアルボードより(C)SELECTION PROJECT PARTNERS


――ここまで男性プロデューサー陣によるお話をうかがってきましたが、同席されている根本侑果プロデューサーに女性目線から見た本作の魅力をぜひうかがえればと思います。

根本 この作品の女の子は、オーディションに挑むだけあって、自分を大切にしていて、自立しているなと思っていて。誰かのためではなくまず自分自身がアイドルになりたいという気持ちを第一に努力し、自分を磨いているのがいい。セレプロは配信番組なので目の前にいるファンにファンサービスをすることはないんですよね。重要なのは、ステージのクオリティ、自分自身の魅せ方、実力に対する評価。番組内のパフォーマンスは、自分自身やライバルと「戦う」ためのステージなんです。だからこそ「自分のために」「自分らしく」パフォーマンスする姿が最高にかっこいいと思っています。

ビジュアルボードより
ビジュアルボードより(C)SELECTION PROJECT PARTNERS


――「みんなの笑顔のために頑張ります」というタイプのアイドルではない?

根本 この後また本当の意味でファンの存在に気づいていくんですけど、それが「アイドル」になる過程のなかで描かれます。今までは実は「アイドルアニメ」ではなく「アイドルオーディションアニメ」でした。9人はまだ素人で、自然体で、応援してくれている実感があるのは身近な人だけ。それが躓いて、苦労して、ファンに支えられている実感をもってようやく「みんなの笑顔のために頑張ります」となれるんだと思います。その流れを全話通して本当に丁寧に描いているので、感じていただきたいです。

あと、女性目線で好き!と感じるのはやはりデザインまわりです。「Naked Blue」が特に顕著でしたが、曲によってキャラのメイクや髪型や衣装がかわり、印象も大きく変わる。リアルアイドルでは当たり前ですが、アニメでは珍しいのではないかと思います。こうした柔軟な変更は、キャラの描きわけに依存するわけですから、キャラデの平山さんのデザイン力がベースにあってこそ実現できているなと。私服も可愛いですよね。アイドルになりたい女の子だもんね……そりゃあ毎日メイクも髪も服装も一生懸命研究してるよね!…なんて、キャラの頑張りを感じて愛おしくなったりします。

TVアニメ「SELECTION PROJECT」より
TVアニメ「SELECTION PROJECT」より(C)SELECTION PROJECT PARTNERS


アイドルオーディション番組でよく感じる「練習中は普通の子にみえたのに、ステージに立ったら豹変した!」というあの衝撃を、このデザイン力と丁寧に作られたライブシーンが支えていると思います。

TVアニメ「SELECTION PROJECT」より
TVアニメ「SELECTION PROJECT」より(C)SELECTION PROJECT PARTNERS


――TVアニメはいよいよ終わりを迎えますが、2022年1月には1stライブが控えています。

木皿 挿入歌もいっぱい作っていて、それをどうステージで再現するかというのを含めて、キャストの皆さんが打ち込んでくださっています。1月のライブはかなり期待できると、勝手にハードルを上げていますけど、メンバーの皆さんの作品にかける思いには熱いものを感じるので、本編を見て、ライブを見ていただいたら、1個の完成形になるんじゃないかと思います。それはちょっとプレッシャーではありますけど、頑張らせてもらいます。

土屋 アニメ本編でも今まで描けていないところとか、ファンの皆さんが気になるキャラクターとかにもスポットを当てていけるように、続きが見たいなと僕も思うので、ぜひ皆さんにも応援していただいて、作り手側もそこにこたえていけるようなシリーズになるといいなと個人的には思っております。

【取材・文:仲上佳克】

■TVアニメ「SELECTION PROJECT」
放送:AT-X…毎週金曜22:00~
   TOKYO MX…毎週金曜22:30~
   KBS京都、サンテレビ…毎週金曜24:00~
   テレビ愛知…毎週金曜27:05~
   BS11…毎週金曜23:00~
配信:dアニメストア毎週金曜 22:30~ ※単独最速配信
   その他、各配信サイトで順次配信

スタッフ:原作…SELECTION PROJECT/監督…平牧大輔/シリーズ構成・脚本…高橋悠也/キャラクターデザイン…平山寛菜/音楽プロデューサー…木皿陽平(Stray Cats)/CG制作…ダンデライオン/アニメーション制作…動画工房

キャスト:美山鈴音…矢野妃菜喜/花野井玲那…水野朔/濱栗広海…南雲希美/今鵜凪咲…荒井瑠里/八木野土香…羊宮妃那/淀川逢生…岩橋由佳/小泉詩…白河みずな/山鹿栞…花井美春/当麻まこ…下地紫野/来栖セイラ…大西沙織/スミパンダ…小野大輔/天沢 灯…早見沙織

リンク:TVアニメ「SELECTION PROJECT」公式サイト
    公式Twitter・@pj_selection
    
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