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メカデザインの域を超えた挑戦「重神機パンドーラ」B.R.A.Iのデザイン:宮崎真一インタビュー

2018年06月28日 19:00配信
メカデザインの域を超えた挑戦「重神機パンドーラ」B.R.A.Iのデザイン:宮崎真一インタビュー

「重神機パンドーラ」より

(C)2017 Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media

「重神機パンドーラ」の世界で人類を脅かす存在となる特異進化生物B.R.A.I。リアクター暴走事故「翔龍クライシス」によって急激に進化し、メカを取り込んだ生物ははたしてどのようにデザインされたのでしょうか。B.R.A.Iのデザインを担当した宮崎真一さんに、そのデザインができあがるまでの経緯をうかがいました。

――宮崎さんは、この「重神機パンドーラ」のどんなところに興味を抱いていらっしゃいますか?

宮崎:私は、サテライトさんが制作されている他の作品のメカデザインにも関わらせていただいていまして、その経緯で今回お話を頂いたのだと思います。そこで、パンドーラの舞台は「人類が追い詰められている近未来」だと伺いまして、当初はかなりハードでピリピリとした作品なのかなと思っていたんです。ところが、話を聞いたところ、そんな世界の中でも人間はたくましく生きていて、人類を脅かしている敵のB.R.A.Iまでも食べている(笑)。B.R.A.Iという存在も異物ではなく、人間の生活の一部になっていて、重く暗くなりすぎないところがおもしろいなと思いましたね。

――そういう世界観の重さや明るさは、デザインに反映するものなんでしょうか。

宮崎:いわゆるロボットや兵器はわりと人間の心理が反映されたデザインになるんです。ただ、今回登場するB.R.A.Iは自然発生している生き物なので、基本的には自然物として考えています。(総監督の)河森(正治)さんからは「ハイパードライブとダークドライブというものがあって、そのエネルギーで無理やり急激に進化した生物」という基本的な設定をお話ししていただいて。そこからデザインを進めていきました。

――今回「挑戦」されたことはどんなことですか?

宮崎:生き物をモチーフにしたメカはよくありますが、B.R.A.Iは生物がメカっぽくなったという存在なので「生き物7割、メカ3割ぐらいのバランスでデザインしてほしい」というオーダーをいただきまして、正直これはどうしようと。生物でありながら、メカに匹敵する能力を獲得し、しかもB.R.A.I同士が争いながら生存圏をつくっている。こういった生態系にまつわる考え方は、当然ながらいわゆる普通のメカデザインにはあてはまりません。ですから、その生態系で生き残っているものは、何かの強みを持っているんだろうなと考えました。同時に、急激に進化しすぎて細かいところが追い付いていない感じを入れていきたいと。その具体的なバランスはシナリオに合わせて考えています。

――さまざまなB.R.A.Iをデザインするうえで、共通のデザイン的なルールはありましたか?

宮崎:生物は原則として同じ部分ありません。カニとハヤブサは共通点がないですよね。同じところが多いとメカのようになってしまうんです。ですが、生物のように多様性がありつつも、一方ですべてB.R.A.Iとして見えないといけない。そこで、ハイパードライブやダークドライブで急激に進化しても「伝達系」は進化に追い付いていないと考えて、血管のようなパーツが外にはみ出しているデザインを共通して入れさせていただきました。スタッフの間では「B.R.A.Iケーブル」とか「B.R.A.I血管」と呼んでいます。第1話は夜にB.R.A.Iが登場するシーンがありましたので、ケーブルを光らせようと。これは、メカっぽさの表現になれば良いなと思ってのことです。

――「蟹B.R.A.I(第1、2話)」は、どんなところにこだわりましたか?

宮崎:「合体する」と河森さんに聞いて、びっくりしましたね(笑)。蟹は、当然自然に生きている生物ですので、料理のノウハウが通用する――つまり、間接に刃物を入れるとバラすことができる――という弱点が脚本にありました。どこまで大きくなっても蟹は蟹。また、蟹の目は印象的なので、目の数を増やしてみたり。蟹が、そのまま大きくなることでグロテスクさを出せればいいなと。あとは便利さを追求するあまりに、足が全部ハサミになっている。そういう独自の進化に行きついちゃった蟹なんだろうと考えていました。

――「クジラB.R.A.I」(第4話)はどこがポイントでしたか?

宮崎:「メロン体が進化していて、超音波で地盤を砕いて掘り進む」「最初はクジラだとわからないデザインで」という依頼をいただいて、さあどうしようかと。本編中では見えにくいんですが、実は下のほうに口がついていて、岩盤から有機物を濾し取っているという捕食しているという設定を考えました。海が減ったのか、巨大化したことでカロリーが必要になったのか。岩盤を破壊して進んでいるんです。また、アルキメディアン・スクリューというドリルで砕きながら前に進むというかたちにさせていただきました。音で周囲を見ながらも、人間を襲っているつもりはほとんどない。「クジラB.R.A.I」はあくまで生き延びようとしているだけなんですね。おそらくMr.ゴールドは人間のいる方向に、クジラB.R.A.Iを向かわせただけなんだと思います。

――「カメレオンB.R.A.I」(第9話)はまた従来とは違うタイプのB.R.A.Iですね。

宮崎:カメレオンは、体の色調を変化させるほかは舌を伸ばす以外の武器がありません。ですが、現実には強みがなかったからこそ知能が上がった生物も存在しますよね。このカメレオンB.R.A.Iは、知能が上がったゆえに手が使えるようになり、であれば必然的に銃器も扱うだろうと。だから、Mr.ゴールドは武器を与えたんでしょう。ちなみに、カメレオンB.R.A.Iが使っているライフルも、カメレオンB.R.A.Iの手の形にあわせたものをデザインしています。

――「ハヤブサのB.R.A.I(第5、6話)」はいかがでしたか?

宮崎:実はハヤブサB.R.A.Iについては、進化によって全身が大きくなりすぎて羽ばたきでは揚力が得られなくなっているだろうから、航空機のように飛んでいるというデザインのつもりだったんです。可変翼ぐらいのノリかなと思っていたら、CGでバッサバッサと羽ばたかせていただいていまして嬉しかったです(笑)。それと、ジェットエンジンを取り込むと伺っていたので、羽でエンジンを抱え込んでいるようなニュアンスでデザインにさせていただきました。結果的に「B.R.A.Iケーブル」をエンジンに絡ませるという表現ができてよかったなと。おそらくハヤブサのB.R.A.Iはジェット燃料を食べていて、それを燃焼させて飛んでいると考えています。

――「蜂B.R.A.I(第10話)」は「B.R.A.Iケーブル」を使って放熱しますね。

宮崎:あれは、羽根ではなく紐状の細いフレームになっていてイオノクラフトのようなかたちで電磁気的な力場を使って飛んでいるということにしています。あと「B.R.A.Iケーブル」を積極的に器官として使っていて。「B.R.A.Iケーブル」を広げて、熱の伝導させている種も現れているということです。

――宮崎さんは大型のB.R.A.Iだけでなく、小型のB.R.A.Iもデザインされているのでしょうか?

宮崎:そうですね。少しだけ出てくる「鹿のようなB.R.A.I」「熊のようなB.R.A.I」も担当させていただきました。他にも、第一話の冒頭に出てくる「トカゲのB.R.A.I」「ネズミのB.R.A.I」のように捕食される側のB.R.A.Iもデザインしています。担当したB.R.A.Iだけで20数体……あとは銃やMOEVのコックピットまわりのデザインも担当させていただいています。

――今回、「パンドーラ」に関わられた感想をお聞かせください。

宮崎:今回、河森さんや(監督の)佐藤(英一)さんが量子力学やB.R.A.Iの生態系など、絵に起こしにくいものを題材にしているのがとてもおもしろいと思いました。サテライトさんのお仕事は、毎回おもしろいオーダーが多いので、いつも刺激的ですね。

取材・文:志田英邦

■テレビアニメ「重神機パンドーラ」

放送:TOKYO MX…毎週水曜23:30~

WOWOW…毎週金曜21:30〜

BS11…毎週金曜23:30~

    MBS…毎週土曜27:38〜

配信:Netflixにて日本先行独占配信/全世界展開決定

スタッフ:原作、総監督、重神機デザイン…河森正治/監督…佐藤英一/シリーズ構成…根元歳三/キャラクター原案…江端里沙/キャラクターデザイン…安彦英二/B.R.A.Iデザイン…宮崎真一/アニメーション制作…サテライト

キャスト:レオン・ラウ…前野智昭/クイニー・ヨウ…花澤香菜/ダグ・ホーバット…津田健次郎/クロエ・ラウ…東山奈央/グレン・ディン…内田雄馬/ケイン・イブラヒーム・ハサン…石塚運昇/ジェイ・ユン…梅原裕一郎/セシル・スー…茅野愛衣/ジーク…中村悠一/ワン…近藤孝行/フォー…石川界人/ロン・ウー…石田彰

リンク:「重神機パンドーラ」公式サイト

    公式Twitterアカウント・@unit_pandora

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