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デザインをありえないところまで広げる発想「重神機パンドーラ」キャラクターデザイン:安彦英二インタビュー

2018年07月11日 20:04配信
デザインをありえないところまで広げる発想「重神機パンドーラ」キャラクターデザイン:安彦英二インタビュー

「重神機パンドーラ」ジェイ・設定画

(C)2017 Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media

特異進化生物B.R.A.Iと戦い、ネオ翔龍を守る特殊部隊パンドーラのメンバーたち。そしてダークドライブを使い、ネオ翔龍を目指す侵略者たち。TVアニメ「重神機パンドーラ」には様々な人種と文化が入り混じったキャラクターたちが存在します。そのキャラクターデザインを担当した安彦英二さんは、彼らのキャラクター像をどのようにして作り上げていったのでしょうか?安彦さんにお話を伺いました。

――「重神機パンドーラ」の企画を最初に聞いたときに、興味を持たれた部分は何でしたか?

安彦:河森さんの作品であることですね。世代的に「超時空要塞マクロス」を見ていたので、そこに興味がありました。河森さんにお会いしたら、とても穏やかな方で。自分が「こんなのはどうだろう?」と考えてきたものに、すごく良いリアクションをしてくださって、とても仕事がやりやすかったです。たとえばジェイのキャラクターデザインラフを描いたときに、ジェイの小物として扇子をラフで描いておいたんです。そうしたら河森さんが「これはいいね」と言ってくださって、「ただの扇子じゃなくて、携帯端末として使う」というアイデアへ発展していったんです。僕はそこまで考えていなかったんですけど、河森さんによって自分が出したものが、さらに上回るアイデアに仕立ててもらえたのは、すごくうれしかったです。

――今回「パンドーラ」に挑むにあたり、「挑戦」したことがあればお聞かせください。

安彦:自分はTVシリーズのキャラクターデザインをメインで務めるのが初めてだったので……アニメは自分がデザインした画(設定)にあわせて、多くの方がキャラクターを描くわけで。キャラクター原案の江端(里沙)さんの良いところを活かして、多くの方が描きやすい画を描くのは難しいなと思いました。あと、どうしても設定用の画の描き方と、本編中に描く画は変わってくるので。キャラクターによってはもっと設定画を描いておけば良かったなと思うキャラクターもいました。

――レオンやクロエは、江端さんのキャラクター原案を、安彦さんがアニメーションキャラクターデザインにリファインされています。レオンとクロエを描いてみていかがでしたか?

安彦:レオンは表情の幅がかなり大きくて、もっさりしているときもあれば、シーンによってはキリッとするときもあって。その差を描くのは楽しいです。クロエは江端さんの原案が多く残っています。

――安彦さんがキャラクターデザインを担当したキャラクターはどなたでしたか。

安彦:グレンやジェイですね。江端さんのデザインはすごくスタイリッシュで、ファッションモデルをモチーフにしているような、オシャレなデザインなんです。江端さんのキャラクターと並んでも見劣りしないように、今までにないデザインにできたらと思っていました。グレンは髪型にこだわりました。髪型はオーソドックスなものになりがちですし、顔とか目の変化だとほかの作品で出尽くしている感じがあったので。ヘアスタイルのカタログなどを参考にして、作品を見た人の印象にちょっとでも残ればいいなと思っていました。ジェイは、江端さんがキャラクター原案として男性のデザイン案をたくさん描いていて。それを河森さんと佐藤(英一)監督が「この顔とこの髪型を組み合わせて……」と構成したものを、自分がデザインしたんです。髪にメッシュが入っているのは、レオンの髪型に対応するように……。レオンとジェイは過去に関係がありますからね。髪に差し色を入れることで、印象に残るものになるんじゃないかと考えました。

――安彦さんがオリジナルのキャラクターを描くときに意識していたことはどんなことでしたか?

安彦:監督ふたりの話を聞いてイメージをふくらませつつ、それぞれキーワードをいただいたんですが、あまりそのまま描くと、ありがちなデザインになりがちなんです。なるべく、そこから外すように考えていました。

――ダークドライブを使うMr.ゴールドたちのデザインはどのように描いきましたか?

安彦:Mr.ゴールドは、いろいろなデザイン案を提出したのですが、そのなかで「一番ないだろう」と思っていたデザインが採用されました(笑)。モチーフは中国の武将です。成金でじゃらじゃらアクセサリーをつけているキャラクターから、打ち合わせを経て変化しました。武闘家のワンは、監督たちが中国にロケハンへ行ったときに、お茶屋さんにいた店員さんの顔を気に入ったらしくて(笑)。その店員の写真をもとにデザインしました。ちょっとカッコよくはしていますけどね。ジークは「美形」でと言われて……。漫画家の上條淳士さんのラインの美形をイメージしつつ、髪型にこだわりました。上條さんのキャラクターは髪型もオシャレで強い影響を受けています。フォーは「忍者」というキーワードがあったんですが、ベタベタの日本の忍者ではなく、SF的な解釈と最近の特撮のヒーローのイメージでデザインしました。

――ほかにデザインしていて印象に残っているものはありますか?

安彦:……猫のエミリアですね。恋人の名前がついているということで、かわいい猫……だと、普通だなと思って。ダメもとで猫の中でもエキゾチック・ショートヘアをもとにデザインしました。ちょっとブサかわの猫ですね。こうやってちょっと外したデザインをすると、打ち合わせのときに盛り上がるんですよね。「エミリアはきっと子猫のときはめっちゃかわいかったに違いない!」とか。どんどんアイデアがふくらんでいくんです。

――「パンドーラ」に参加して、刺激を受けたことや得られたものがあればお聞かせください。

安彦:オリジナル作品なのでキャラクターデザイン作業の段階では、どんなふうにキャラクターが動くのかがつかめなかったんです。本編の作業に入ることでやっとわかったところもあって。もうちょっと設定画をたくさん描けばよかったかなとか、いろいろな反省点がありました。キャラクターデザインの作業においても、いろいろと学ぶところがあって。ただキーワードから連想したものだけを描いていると、ほかの作品でもあるようなデザインになりがちだなと。あまり絞り込まずに、一度ありえないなと思えるところまでアイデアを広げておくと良いんだなと思いました。そうすることで、ほかの人がそのアイデアを見たときに、さらに広げてくれるかもしれない。そうやってオリジナルのものを作り出すこともできるんだなと今回感じました。

取材・文:志田英邦

■テレビアニメ「重神機パンドーラ」

放送:TOKYO MX…毎週水曜23:30~

WOWOW…毎週金曜21:30〜

BS11…毎週金曜23:30~

    MBS…毎週土曜27:38〜

配信:Netflixにて日本先行独占配信/全世界展開決定

スタッフ:原作、総監督、重神機デザイン…河森正治/監督…佐藤英一/シリーズ構成…根元歳三/キャラクター原案…江端里沙/キャラクターデザイン…安彦英二/B.R.A.Iデザイン…宮崎真一/アニメーション制作…サテライト

キャスト:レオン・ラウ…前野智昭/クイニー・ヨウ…花澤香菜/ダグ・ホーバット…津田健次郎/クロエ・ラウ…東山奈央/グレン・ディン…内田雄馬/ケイン・イブラヒーム・ハサン…石塚運昇/ジェイ・ユン…梅原裕一郎/セシル・スー…茅野愛衣/ジーク…中村悠一/ワン…近藤孝行/フォー…石川界人/ロン・ウー…石田彰

リンク:「重神機パンドーラ」公式サイト

    公式Twitterアカウント・@unit_pandora

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