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「アニスタ」開催直前連載企画【第二回】WIT STUDIO 中武哲也×浅野恭司

2019年01月01日 00:00配信
「アニスタ」開催直前連載企画【第二回】WIT STUDIO 中武哲也×浅野恭司

WIT STUDIOの中武哲也さん(左)と浅野恭司さん

1月27日(日)、2月9日(土)&10日(日)の3日間にわたって開催されるイベント「アニメスタジオミーティング(アニスタ)」。このイベントはアニメ業界を代表するスタジオが複数参加し、昨今のアニメ業界、そしてアニメの制作現場がいかに変化してきたかをアニメファンたちへ向けてダイレクトに発信するものです。さらに業界を夢見る者たちにとってのリクルートイベントにもなっており、会社説明会なども行われます。

そこで、このコーナーでは毎回「アニスタ」に参加するスタジオから複数のスタッフの方にご登場いただき、自身がアニメ業界を目指したきっかけや就職活動の思い出を語ってもらいます。アニメ業界を志す読者には参考になるかも……!? 第2回に登場していただくのは「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」などで知られるWIT STUDIOのプロデューサー・中武哲也さんとアニメーター・浅野恭司さんです。

――クリエイティブな仕事に就きたいと思われた、きっかけをお聞かせください。

浅野:小さい頃から絵を描くのが好きだったので、絵を描く仕事に就きたいなと思っていました。それで、中学生の頃にアニメーターという職業があることを知り、漠然とアニメーターになりたいと思うようになりました。クリエイティブな仕事というよりは単純にアニメの絵を描きたかっただけです(笑)。高校に入ってからも大学に行く気はまったくなかったので、代々木アニメーション学院(代アニ)に入ってアニメの絵の勉強をすることにしました。

――その当時に好きだったアニメ作品とか、影響を受けた作品はありますか?

浅野:中高生のときはサンライズさんの全盛期で、「Vガンダム」とか「Gガンダム」とか勇者シリーズが流行っていて、そういう作品を観ていたので、その影響は受けているかもしれないですね。あとは「パトレイバー」の影響も大きいかもしれないですね。

中武:僕は当時、不思議と「パトレイバー」には出会えてないんですよね。僕は「(NG騎士)ラムネ&40」や「無責任艦長タイラー」が好きでした。その頃はスタッフさんの名前とかには全然注目してなかったんですが、今振り返ると、すごくかっこいいと思っていた「無責任艦長タイラー」のエンディングの原画が松本憲生さんだったりして、「どうりでいいわけだ」と大人になってからびっくりすることが多いですね(笑)。それで、今の職業に就いたきっかけでいうと、自分は茨城の出身なんですが、どうにか環境を変えるために東京に出たいと思っていたんです。小中学生の頃は「信長の野望」や「ファイヤーエンブレム」といったゲームにどハマりして、シミュレーションゲームを作れたら面白そうじゃないかと思い、東京の専門学校に入ることにしました。そこで卒業に向けて自主制作を作ったんですが、友達も少なかったし仲間も見つけるのも面倒だから、一人で実写の映像制作をやったんですよ。そうしたらそれがすごく面白くて、就職先でも映像作りを勉強できたらいいなと思うようになりました。そんなとき、学校にちょうど「薄桜鬼」の監督のヤマサキ(オサム)さんがいらして、「お前、なんかアニメの制作向いているぞ」と言われたんです。アニメの制作なんてどんなものか全然知らなかったんですが、学校にプロダクション I.Gから募集が来ていたので、IGを受けて合格し、就職が決まったんですね。

――浅野さんは代アニからどういう経緯で就職されたんでしょうか?

浅野:代アニで初めてデッサンとかも本格的に勉強した後、いざ就職活動するときに先生からいくつかのスタジオを勧められたんです。最初はサンライズに行きたいって言っていたんですけど、その年にサンライズが募集自体をしていなかったんですよ。それで、勧められた中にプロダクションI.Gがあり、I.Gを受けたら合格したんですね。入社当時は「エヴァンゲリオン」ブームの真っただ中で、押井さんの「攻殻機動隊」も公開されたばかりの頃でした。アニメの話題作が次々と出ていた時期で、その第一線だったI.Gに入れたというのが嬉しいなと思っていました。そうしたらすぐに「エヴァ」の劇場をやりますという話になって、すごく刺激に満ちた日々でした。いきなり飛び込んだスタジオに神山(健治)さんとか西尾(鉄也)さんとか沖浦(啓之)さんとか、巨匠たちがぞろぞろいらっしゃるので、なんかもう麻痺していたのかもしれないです(笑)。

――同じスタジオの中で、初めて仕事をご一緒されたのはどのくらいの時期でしたか?

浅野:僕は’96年入社だから。

中武:僕は’00年入社ですね。最初は僕が現場を持たせてもらった「お伽草子」の第7話で、浅野さんが金太郎のカットを描いてくれたんですよ。それから「ツバサ・クロニクル」というCLAMP原作の短編映画があって、その作品で浅野さんが作画監督を一緒にやってくれることになりました。そこから今も一緒に仕事をしてくれている人たちとどんどん出会っていったという感じですね。だから本格的に一緒にお仕事をし始めたのは’05年からになると思います。

――その頃からの印象を通して、中武さんの中で浅野さんはどういうクリエイターだと思っていますか?

中武:速い、うまい、その上、いい人です。あんまりいないと思います。若手のアニメーターたちからも好ましく思われている人だから、チームも組みやすいんですよね。新しく入ってきた人も馴染みやすいし、浅野さんと仕事したいという人がどんどん増えていくわけです。我々の作品の象徴ともいえる、作画のリーダーだったと思いますね。

浅野:昔からそうだったかな? 自分ではよく覚えていないけど、もともと僕は後藤(隆幸)さんがチーフの1スタ(第1スタジオ)にいて、神山さんの「攻殻機動隊 S.A.C.」とかをやっていたんですよ。それが終わったとき、かなり大変な作品だったので疲れていたこともあって、「フリーになって自分が好きな作品をやるのはどうかな」と思ったりもしていたんですよ。そのときにのちに中武さんのいる6スタ(第6スタジオ)と呼ばれるところから声をかけてもらったんです。そこで「ツバサ・クロニクル」を作り、次の作品もそこでやっていくうちに、どんどん繋がりが大きくなっていった感じですかね。

――そういった中で、浅野さんから見た中武さんの印象というのは?

浅野:クリエイターやアニメーターとよくしゃべるんですよ。それこそ大ベテランの方とかにも、グイグイ話しかけに行っていたイメージがあるんですよね。こちらとしても興味を持ってくれれば好印象を受けるので、どんどん話せるようになってくる。なんかそういうキャラクターだったのが、良かったんじゃないかなと思いますね。あとはノリもよかったんですよ。面白いことをやろうとしていると、すぐに乗ってくれるので(笑)。

――そのI.Gの6スタのメンバーが中心となって、現在のWIT STUDIOが設立されるわけですが、その経緯についても教えていただけますか?

中武:6スタで「戦国BASARA」とか「君に届け」とか「ギルティクラウン」とかを回すうちに、メインで関わってくれているクリエイターさんが結構レギュラー化していったんですね。そうすると自分たちはクリエイターさんたちに毎回契約更新の話をするんですよ。でも、そのことに疑問を覚え始めたんですね。アニメーターさんを社員化することはできないのかと。それは社内の一課のプロデューサーでは無理なので、スタジオを作ろうと思い始めたんですよね。メインで一緒にやっているクリエイターさんたちを社員化して一緒にやっていけないかと。そこで最初に浅野さんと千葉(崇明)さんに声をかけたんですよ。我々のどの作品を見ても浅野さんと千葉さんが屋台骨ですから、この二人がいなくてはスタジオ自体が絶対に立ち行かないんです。

浅野:別の会社を作りたいという話は飲んだりしたときにちょこちょこ聞いてはいたんですよ。それなら、そのときは僕も一緒に出るかなとは考えていたんですね。たしか「ギルティクラウン」をやっている最中にWITを立ち上げるみたいな話を聞いて、それで「進撃の巨人」というタイトルが次に決まっていて、キャラデザのコンペがあるという話を振ってくれたんですよ。それで新スタジオの第1回目のテレビシリーズのタイトルはぜひ自分が中心でやりたいと思い、コンペ用にたくさん描いて出した記憶があります。

中武:そうですね。50枚くらい。黄色い紙がいっぱいありました(笑)。

浅野:それで「進撃」のコンペが通ったんですが、同時期に「PSYCHO-PASS サイコパス」のキャラデザもやることになって、えらいことになりました(笑)。

――そうして設立されたWIT STUDIOのいいところは、どんなところですか?

中武:おそらくクリエーターさんたちがやりたいこととか、ご意見を結構聞いているスタジオだと思いますね。作画部にも無理に「この仕事を」とお願いしているわけじゃなくて、お話しした中で「これがやりたいです」と決めてもらっている感じがあります。

浅野:これまでは各アニメーターさんにそれぞれの制作進行がお仕事を持って行ったりしてたんですが、今では作画班のチーフとして自分が一度社内で動いているものを集約して、各アニメーターさんと個別に話しながら、できるだけ希望にあったものを振っていくようにしています。アニメーターさんたちと話す機会も多くなり、単純にコミュニケーションもより取れるようになったので、そこはWITのいいところかと思いますね。

――では、最後にアニメ業界を志す方へのメッセージを一言ずつお願いします。

中武:映像を作りたいと願っている人にとっては、アニメ業界は能力があればあっという間に有名になることが可能だと思います。アニメはきちんと名前を出してくれるものなので。その人を社会に知ってもらえる可能性が非常に強くあって、いい仕事ができればみんなにあなたのことを知ってもらえます。大変なこともたくさんあるけど、そこに関しては他の仕事ではできない自己ブランディングが可能だと思います。そんなチャレンジがしたい方はぜひアニメ業界を目指してみてください。

浅野:たとえ絵が描けなかったとしても制作としてアニメに関わることはできるし、原画を描くのが難しかったとしても、動画や美術など違った能力を持つ人をアニメ業界は常に欲しています。とりあえず興味を持った人は熱意を保ち続けたまま、まず一歩を踏み出して欲しい。絵が描けないとかアニメーターにはなれそうにないと諦めてしまうのはもったいないと思います。熱意をちゃんと持って入ってきてくれれば活躍の場は必ずあると思います。

アニメ業界で働いてみたい気持ちが、メラメラ燃え上がってきませんか?

現在、イベントのチケットはWIT STUDIOのアプリ「WITアプリ」で発売中。

各スタジオのファンや、アニメ業界を志す皆さんは、今すぐ申し込みを!

●中武哲也(なかたけ・てつや)/アニメーションプロデューサー。プロダクションIGを経て、WIT STUDIOを設立。共同創業者・取締役に就任。会社設立後、プロデューサーとして「進撃の巨人」、「甲鉄城のカバネリ」などを制作。

●浅野恭司(あさの・きょうじ)/アニメーター。プロダクションIGを経て、WIT STUDIOの設立に参加。取締役に就任。会社設立後、「進撃の巨人」のキャラクターデザイン・総作画監督、「甲鉄城のカバネリ」の総作画監督などを担当。

【取材・文:橋本学】

■「アニメーションスタジオミーティング2019」

【開催日・会場】

2019年1月27日(日) 茨城つくば【前夜上映祭】

MOVIXつくば(茨城県つくば市研究学園5-19 イーアスつくば3F)

2019年1月27日(日) 東京阿佐ヶ谷【アニスタ番外編】

阿佐ヶ谷ロフトA(東京都杉並区阿佐谷南1-36-16-B1)

2019年2月9日(土) 東京秋葉原【リクルートデー】

2019年2月10日(日) 東京秋葉原【ミーティングデー】

東京秋葉原メイン会場:秋葉原エンタス(東京都千代田区外神田1-2-7 オノデン本館5F) 

東京秋葉原サブ会場:ベルサール秋葉原(東京都千代田区外神田3-12-8住友不動産秋葉原ビルB1)

【チケット】

WITアプリにて販売中

(~1月8日までゴールド会員先行、1月12日より一般販売開始)

リンク:「アニメーションスタジオミーティング2019」公式サイト

    「WITアプリ」

    (~1月8日までゴールド会員先行、1月12日より一般販売開始)