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大人組の切ない恋を描く! 「映画 ギヴン」中澤まさとも、江口拓也、浅沼晋太郎インタビュー

2020年08月22日 12:00配信

“ノイタミナ”初のBLコミック原作アニメということで注目を集めた「ギヴン」。蓋を開けて見れば、バンドメンバーたちの成長をていねいに描いた、老若男女問わず楽しめる青春群像劇だった。TVアニメでは、佐藤真冬と上ノ山立夏という高校生キャラクターがメインで、十代らしい熱さと爽やかさが魅力だったが、映画では中山春樹と梶秋彦、そしてヴァイオリニストの村田雨月らがメイン。TVアニメにはなかったオトナの関係性が描かれる。今回、中山春樹役中澤まさとも、梶秋彦役江口拓也、村田雨月役浅沼晋太郎の3人に映画ならではの魅力を語ってもらった。

「映画 ギヴン」8月22日(土)公開
「映画 ギヴン」8月22日(土)公開
(C) キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

――映画化が決まり、3人がメインになると知ったときのお気持ちを教えてください。

中澤 うれしさと驚きでした。アニメは1クールと伺っていたので、最初のライブのシーンで終わりかなぁと想像し、じゃあ3人の物語は原作でお楽しみくださいなのかなと思っていたところにいただいたお話だったので。うれしかったですし、ということは、あのシーンをやるんだなぁ(照れ)と思いながら、聞いていました。

中澤まさともさんが演じる中山春樹
中澤まさともさんが演じる中山春樹
(C) キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

江口 TVシリーズでは、本当の姿というか、等身大の部分は演じられなかったので、その先を演じられることが、単純にうれしかったです。

江口拓也さんが演じる梶秋彦
江口拓也さんが演じる梶秋彦
(C) キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

浅沼 僕はTVシリーズに参加させていただく直前に、このキャラクターが映画で活躍するらしいよ、と聞いていたので、それを見据えた演技を考えないと、と気持ちが引き締まった記憶があります。劇的に何かを変えるということはなかったんですけど、音響や画面のサイズ感も全然違う、家で見るのとはまた別の環境で見ることになると思ったので、それも合わせて考えていかなければ、と意識しました。

浅沼晋太郎さんが演じる村田雨月
浅沼晋太郎さんが演じる村田雨月
(C) キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

――秋彦と雨月の関係性について、印象を教えてください。

中澤 秋彦は、音楽に本気になっていたところに天才が現われて打ち砕かれたのと、恋をしたタイミングがいっしょだった。雨月にとっても、恋を知った瞬間と、愛する音楽にもっと集中したい思ったタイミングがいっしょだった、というのがこじれの始まりだったんだろうな、と。そこが始まりというのはきついだろうなぁと思いながら見てました。

江口 秋彦と雨月は、大人だなぁというか、歪だなぁというか。好きな人なのに付き合ってないし、その先の未来もわからないけど、とりあえずいっしょに住んで日常を送る……とんでもないというか、逆に器用というか(笑)。それでもいっしょにいたい気持ちって何なんだろう、というのが複雑ですよね。でも僕はそこに情緒を感じてしまって、好きなんです。壊れやすそうな、ガラスの日々、という感じで。

浅沼 僕はこの作品のことを、勝手に「薄玻璃(うすはり)」と呼んでるんです。持ち方を気をつけないと壊れてしまいそうな……。よく言われてることだから今更言うの恥ずかしいんですけど、「恋はするものじゃなく落ちるもの」ということばがありますよね。2人はまさにそんな関係な気がして、そこにこれと言ってしっくりくる理由なんかなくて、2人はずっと、お互いに惹かれ合った理由も、離れなければいけない理由も探している気がするんです。でも「これだ」と思っても、その理由は後付けだし……やっぱりきっと、「落ちちゃった」んでしょうね。

――春樹と秋彦についてはいかがですか?

中澤 春樹が秋彦のことを特別視していたのが障害になっていたのかな、と思います。秋彦も、「春樹に見られたら嫌われるだろうな」という部分を知ってか知らずか隠しているし。つながりが切れてしまったら戻れないという怖さがあったんだろうな、と。相手のことを特別に思うが故の進まない恋愛、という印象です。

江口 僕はもう……「春樹、大変だな」って思ってました。

中澤 (爆笑)

江口 秋彦は整理がつかない恋愛を抱えつつ、おそらく春樹が自分に好意をもってくれている雰囲気も察していて、そこが心地よさになって甘えているんだと思うんです。それがずるい部分ではあるんですけど、春樹はそれも受け入れてくれる……バンドメンバーとしての関係だったらいいと思うんですけど、恋愛が入ってくるから難しくなる。秋彦は秋彦で一所懸命なだけなんですけど、春樹目線で見るともどかしさもあるし、人間にはいろんな面があるから、より複雑に絡み合ってしまうんだろうな、と。

浅沼 春樹と秋彦のシーンのなかで、「あ、自分もそこにいたかったな」と思うシーンがあるんです。切なくて、ときには激しくて、壊れてしまいそうな物語のなかで、春樹と秋彦のそのシーンはどこか救いになりました。あと、春樹が「ほっといて」と言った場合は、実は放っておいてほしくないときで、雨月が「ほっといて」と言った場合は本当に放っておいてほしいときなんだろうなって感じて(笑)。真逆な2人がおもしろいと思いました。

――自分から告白した真冬や、気持ちをずっと隠している春樹など、5人のキャラクターはそれぞれ恋のタイプが違います。一番共感するキャラクターは?

浅沼 自分はこれにしかなれないな、というのは春樹です。コンプレックスを感じて、白旗を早めに上げちゃうタイプ(笑)。共感ということで言えば、全員に共感できる部分がありますけど。

中澤 (頷きながら)この作品、ありえないことがないんですよね。恋の仕方や苦しさがリアルで、どの恋も幸せになってほしいし、苦しまなくていいよ、と言いたいし……。そのなかでも個人的に共感できるのは、春樹なのかなぁ。でも、雨月の最後に何かが残ればいいという気持ちもわかるし、秋彦の壊したくなる衝動もわかるし、一概に言えないのが「ギヴン」の特徴だと思います。

江口 僕は秋彦でありたい。秋彦も結局は「人を求めている」というところに行き着いているから、素敵だと思うんです。人を求めることで何かしらの真実を見いだそうとしているから葛藤があって、ずるいと思われる身の守り方で許してもらって……いいなぁって(笑)。

浅沼 一番人間くさいのは誰かってなると、おそらく秋彦ですよね。

――公開を待っていたファンの方々にメッセージをお願いします。

浅沼 先程「薄玻璃」と表現しましたが、それくらい繊細で危うくて、壊れてしまったときには鋭くて、でも美しくて、いつまでも眺めていたいような、そんな作品です。恋愛をフィクションで描くとき、大きなドラマがあったり、とてつもなくショッキングなことが起こったりしがちですが、この作品は身近にあってもおかしくないものであふれていて、でも、そのなかに、感情の細かいところまで描かれたシーンがたくさんあるんです。彼らが奏でる音楽とともに、深く愛していただけたらと思います。

中澤 TVアニメのなかで大人組と呼ばれる3人それぞれ、秋彦は「兄貴分」、春彦は「いい人」、雨月は「天才」または「ミステリアスな人」と言われていました。それが映画になると、秋彦は兄貴分らしい態度を取る人、春樹はいい人の言動をする人、雨月は腹の内に音楽に対する凶暴な愛情を持った人、というのが見えてくる。高校生組から見た大人としての一面が、大人たちはそれを選択してやっているというのがリアルだな、と。TVアニメと映画になったときの見え方の違いを楽しんでいただけたらと思います。

江口 いいものをつくったので、ぜひ見ていただきたい、という気持ちでいっぱいです。絵ができていない状態でもグッと来るシーンが数々あったので。恋愛面だけじゃなく、人間として心を動かされる部分があると思います。自分はどの部分で心が動くのか……作品は自分を映す鏡だと思うんです。「ギヴン」はそういう意味で鏡がとても多い作品です。

浅沼 …………(江口さんにこそこそと耳打ち)

江口 季節は4つだけじゃない。感情も4つだけじゃない。いろんな感情があるということを思わせてくれるような……(笑)。

浅沼 僕が言いたいことを全部言ってくれた!(笑) 春夏秋冬に梅雨が加わりました。それと同様に、喜怒哀楽だけではない感情がいっぱい描かれています。

中澤 湿度の高いものがね。映画って本当にいいですね(笑)。

江口 ぜひ劇場でご覧ください!

【取材・文:垳田はるよ】

■映画 ギヴン

8月22日(土)「BLUE LYNX」にて公開

スタッフ:原作…「ギヴン」キヅナツキ(新書館「シェリプラス」連載中)/監督…山口ひかる/脚本…綾奈ゆにこ/キャラクターデザイン…大沢美奈/総作画監督…永田陽菜、二宮奈那子/美術設定…綱頭瑛子/美術監督…岡本綾乃、大西達朗/色彩設計…加口大朗/撮影監督…芹澤直樹/CG監督…水野朋也/編集…伊藤利恵/音響監督…菊田浩巳/音楽…未知瑠/アニメーションプロデューサー…比嘉勇二、秋田信人/アニメーション制作…Lerche/主題歌…センチミリメンタル/配給…アニプレックス

キャスト:佐藤真冬…矢野奨吾/上ノ山立夏…内田雄馬/中山春樹…中澤まさとも/梶秋彦…江口拓也/村田雨月…浅沼晋太郎

リンク:「映画 ギヴン」公式サイト

    公式Twitter・@given_anime