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アニメに欠かせないサウンドを手掛けるMONACAに聞く、気鋭のサウンドクリエイター集団の過去から現在まで【MONACAインタビュー前編】

2016年04月18日 14:00配信
アニメに欠かせないサウンドを手掛けるMONACAに聞く、気鋭のサウンドクリエイター集団の過去から現在まで【MONACAインタビュー前編】

サウンドへのこだわりを語ってくれた神前暁さん(左)と岡部啓一さん(右)

アニメのスタッフクレジットを見ていると、よく目にするであろう「MONACA」の文字。これはアニメやゲームを中心に、さまざまな楽曲やサウンドを制作するクリエイター集団・MONACAを表しているものです。

そのMONACAが設立11年目にして、初挑戦となるライブイベント「MONACAフェス2016」を4月30日(土)に開催。これを記念して設立者の岡部啓一さん、そして所属作家の神前暁さんにインタビュー。まずはMONACAの“これまで”から聞きました。

――MONACAが設立された経緯を教えてください。

岡部:僕は、もともとナムコ(現バンダイナムコスタジオ)でゲーム音楽を作っていました。ただ、ほかの音楽もやりたくて独立したんですが、クリエイター個人がフリーで活動するのはいろいろと難しいことも多くて。それで法人化しようと2004年10月に立ち上げたのがMONACAなんです。だから、当初は人を増やすつもりはありませんでした。でも、ナムコ時代に後輩だった神前から「ゲーム音楽以外もしたい」という相談を受けて、「じゃあ一緒にやりますか」となって。それから、特に神前の仕事が回り始めて、ひとりで抱えるには大変になってきたので、若手を育てながらチームでやっていくという方向になり、今は9人の作家がいます。

神前:クオリティを保ちながら量産が効くということで、今ではチーム制にした恩恵を感じています。

――集団ならではの強みですね。MONACAならではの音楽的な特徴はどこにあると思いますか?

岡部:MONACAがアニメの仕事をたくさん手がけるきっかけになったのは「涼宮ハルヒの憂鬱」などで、神前の仕事が認められたおかげでした。あの頃は、メインメロディの主張したゲーム音楽的な劇伴は珍しかったので、その点が評価されたのかなと感じます。今やらせていただいている中だと、「アイカツ!」もいわゆる劇伴とは違ってポップな感じですよね。

神前:あとは、僕も岡部も若手も、劇伴も作るし歌ものも作るので、作品の音楽面を主題歌から劇伴までトータルでプロデュースできるのが強みだと思います。

――年間、何曲くらい作られるのでしょうか?

岡部:この3、4年は「アイカツ!」がずっと続いているので特に多くなっていますが…だいたい年300曲くらいでしょうか。正確には数えていませんが、それくらいはあると思います。

――途方もない数ですね。

神前:でも、9人で割りますから(笑)。「らき☆すた」(2007年)の頃はひとりで劇伴80曲と歌ものが20~30曲、年100曲とかだったので、それに比べるとまだ…。

岡部:その頃、神前が身を削っているのを間近で見てて、もう少し人として大事な何かを守らせてあげたいと思って(笑)。それでチームで作るようになりました。

神前:アニメ「STAR DRIVER 輝きのタクト」(2010-11年)の時に、初めて高田・帆足・石濱と本格的にチームを組んで、僕がトータルでディレクションしながら進める形をとりました。そこでみんなのいいところを出せて、手応えを感じたんです。ロボットアニメということで壮大な音楽をやらせていただいたのもあって、思い出深いです。

――11年間、アニメやゲームの音楽に携わっていて感じられる変化は?

岡部:ちょうど、スタジオに入らないとできないことが、PCでできるようになっていった時代でしたね。ゲーム業界はPCで作り始めるのが早かったので、僕らは違和感なくやれました。あとは単純にコンテンツビジネスのありかたが変わったのもありますよね。平たく言うと売れなくなった(笑)。

――特にCDは顕著ですよね。

岡部:そう、メディアコンテンツに対するユーザーの受け取りかたが変わりました。アニメはあまり変わっていないかもしれませんが、「ゲームや音楽は無料で楽しめるもの」という意識になってきて、それに対応するためにビジネスの座組も変わってきたなと。

神前:僕は作り手の群雄割拠が進んだと感じます。ニコニコ動画やボカロの影響で、個人レベルのクリエイターがプロになって。僕たちも、いわゆる音楽業界の王道を来た人間ではないので、その一端を担っていると思いますけど。

――MONACAさんの「アイドルマスター」や「ハルヒ」、「らき☆すた」などの楽曲も、ああいった動画サイト文化との相性がよかったですよね。

神前:その頃の受け手が今まさに作り手になっていますよね。たまに作曲家の飲み会に行くと「『ハルヒ』好きでした」みたいなことを言われて戸惑うこともあります(笑)。

――若手で注目している作家はいますか?

岡部:具体的にこの人というわけではありませんが、いろいろと聴いていると「僕は歳を取ったんだな」と感じさせられることがあります。クリエイターとして、作り方の部分から若い人とは根本的に違うんだなと。

神前:同感です(笑)。業界内にも好きな若手作家の方は大勢いるのですが、それ以上に何より身近な社内に腕利きの若手たちがいるので、彼らから受ける刺激が大きいです。気軽に情報交換もできますしね。

この後、インタブビューは、サウンド制作のポイントや「MONACAフェス2016」についても及びました。その様子は後編で!【取材・文=はるのおと】