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セカンドEP「おやすみ おはよ」をリリースするGothic×Luckインタビュー

セカンドEP「おやすみ おはよ」をリリースするGothic×Luckインタビュー
セカンドEP「おやすみ おはよ」をリリースするGothic×Luckインタビュー

『けものフレンズ2』に登場するカタカケフウチョウ役の八木ましろ、カンザシフウチョウ役の菅まどかによる声優デュオユニット、Gothic×Luck(ゴシックラック)。6月30日には全6曲を収録したセカンドEP「おやすみ おはよ」がリリースされます。

デビューから約2年半、ここまで2人はどんな光景を見てきたのか。思い出を振り返るとともに、セカンドEPに込めた気持ち、人気漫画家・森下suuによる描き下ろしジャケット実現の経緯など、さまざまな話を聞きました。

――デビューしたのが2019年、『けものフレンズ2』の舞台公演。それから2年半が経ちます。振り返ってみて、特に印象に残っている思い出はありますか?

菅:思い出はありすぎて困るんですけど、強いて1つ挙げるなら、お台場ヴィーナスフォートでのファーストEPリリースイベント(2019年3月17日開催)が印象深いです。広場の奥のほうまでたくさんのお客さんで埋まって、ステージから見えるのはとても幸せな光景でした。じつはそのとき、家族と親戚たちも見に来てくれていたんです。私、親の反対を押し切ってこの道に進んだので、姿を見つけた瞬間は感情がぐっと込み上げてきて泣きそうになってしまいました。

――両親は芸能を目指すことに反対だったのですか?

菅:そうなんです。でも、私はどうしてもこの世界に入りたくて、その夢を捨てたくなかったんです。母の母校でもある小中高一貫の女子校に通っていたんですが、親に敷かれたレールを生きているような感じがイヤだったのと、芸能活動禁止でもあったのでその高校を中退して。そのあと芸能系を応援してくれる高校に入り直し、そこで『けものフレンズ2』のオーディションに合格したんです。そんな反抗してばかりだった私のリリイベに来てくれたのは本当に嬉しかったです。

――八木さんはどうですか?

八木:私の一番の思い出は『けものフレンズ2』の前前夜祭(2019年1月12日開催)。ここでGothic×Luckとして初めて皆さんの前に出たんですよね。けものフレンズファンの前に何の告知もなくサプライズで現れるというものだったので、どういう反応をされるのか、ライブなんかして受け入れてもらえるのかって、すごく緊張していました。でも、出た瞬間、皆さんが青と黄色……サイリウムを私たちの担当カラーに変えてくれて、そのときの光景は今でも鮮明に覚えています。ライブを終えて袖に履けたとき、それまで鬼のように厳しくて怖かったマネージャーさんが「良かったよぅ〜」って泣きながら駆け寄ってきて、もう3人で大号泣でした(笑)。

菅:ああ、それ私もよく覚えてる(笑)。3人とも涙が止まらなくなっちゃたんだよね。

八木:それからファーストEPをリリースして、去年3月には初のワンマンライブを。セカンドEPはそこでサプライズ発表されたんですよね。本当はその秋口のリリースでしたが、世の中の状況的に延びに延びて、私たちも歌いたい気持ちをくすぶらせながらずっとあたためてきたんです。もちろん延期になった期間中は歌唱力、表現力を磨き、菅ちゃんともお互いの理解を深め合ってきました。去年出せなかったのは残念でしたけど、そこからの今があるからこそだと胸を張れる作品になっています。

――そのセカンドEPについて。「おやすみ おはよ」というタイトルの意味、どんなトラック構成なのかを教えていただけますか。

八木:タイトルから伺える通り、「夢」がテーマになっている作品です。全6曲を、Gothic×Luckが夢の案内人になって歌い繋いでいくようなEPになっています。1曲目は夢が見つかる前や、夢を見つけた瞬間を描いた楽曲だったり、6曲目は一度諦めかけた夢をもう一度目指す楽曲だったりと、「夢」の時間軸にも寄り添って曲順を考えました。

菅:1曲1曲でも素晴らしい曲なんですが、全部通して聴いたときのストーリー性こそ一番感じてほしいところです。

八木:前回は初めてのことばかりでディレクターさんの指示で歌っている部分がありましたけど、今回は私たちの「届けたい」という気持ちも高まっていたので、2人の意見で表現できた部分も多いと思います。

――6曲の中で、特に好きな曲を挙げるとしたらどれになりますか?

八木:すごく悩むんですけど、私はやっぱり、大好きな森下suu先生に作詞していただいた「棘かくし」です。詩的な歌詞で、より深い表現力にチャレンジした曲でもあるんです。レコーディングはとても大変でしたが、その分、思い入れが強いです。先生の絵が入ったリリックビデオもありますので、こちらも見てほしいです。

菅:私は「天国の踊り場」です。思い入れが強いというか、一番感情を込めて歌えた曲になります。私自身もですが、聴いてくださった方の大切な思い出を蘇らせるような、1つ1つの思い出にそっと寄り添えるような曲になっていてほしいと歌った曲です。悲しい思い出、辛い思い出もあると思いますけど、それも大切な宝物ですよね。私はレコーディング中、思わず涙が止まらなくなってしまったんですが、最後にはちゃんと背中を押してくれる曲なので、この思いが皆さんに伝わるよう願っています。

――森下suu先生は「棘かくし」の作詞だけでなく、ジャケットイラストも描き下ろしてくれています。これはどういう経緯で実現したのでしょうか?

八木:私が先生の大ファンで、その話をスタッフさんに話したら、「ダメ元で頼んでみよう」とコンタクトを取ってくださったんです。まさかお受けしていただけるとは思ってもいななかったので、「ウソでしょ!?」って、最初はとても信じられなかったです。もう飛び上がって喜んでしまいました(笑)。

――本当に嬉しそうですね。

八木:はい!森下suu先生へ描いて頂ける事も「夢」の1つでしたので、私自身もこの作品を通して聞いて頂ける皆さんの夢を叶えていきたいと思っています。

――ジャケットはイラストバージョン(通常盤)と、イラストを再現した2人の実写バージョン(初回限定盤)があります。撮影時のエピソードをお話いただけますか。

菅:実写バージョンは、届いたイラストを見たディレクターさんが、「このイラストを完全再現しよう!」と宣言したのが始まりです。めちゃくちゃ頑張ったよね。

八木:うん。イラストで描いてくださった衣装を作るところから始めて、当日の撮影は半日ぐらいかかりました。撮影時に、実写ジャケットのカットだけでなく、イラストと全く同じ構図のカットも撮影したんですが、絵と、実際に人が取れる関節の角度って違うじゃないですか。指の組み方、肘の角度、脇の開き方とか、それをカメラマンさんに見てもらいながら直していって、ホントに数センチ単位でポーズを作っていったんです。菅ちゃんの髪の毛も苦労したよね。

菅:そう! イラストと同じようになびかせたくて、途中から風を吹かせていただきました。

八木:髪って少し違うだけで印象が違ってしまうと思って、私は前髪の横がちょっと長かったので、イラストと同じになるようにその場でチョッキンしちゃいました。

菅:カメラマンさん、メイクさん、スタイリストさん、全員でこだわり抜いて撮影しました。今回のEPは、曲にもジャケットにも、私たちのたくさんの思いを詰め込ませていただきました。

――EPには昨年12月に行った無観客オンラインライブ「Gothic×Luck online LIVE ~オリオンの輝き~」を収録したDVDも付いています。こちらの見どころを教えてください。

菅:このときは緊急事態宣言明け、溜まりに溜まっていたパワーをすべてぶつける気持ちでのライブでした。無観客だからこその盛り上げ方、見せ方を考えて、客席まで全部使ったパフォーマンスで画面の向こうと一体感を共有しようと挑戦したステージです。

八木:会場すべてを自由に動き回って、それをめっちゃ近くでカメラマンさんに追い掛けてもらったり、無観客をポジティブに捉えて、普段できないパフォーマンスを全編に収めた映像になっています。ダンスなしの、スタンドマイクを使ったコーナーもその1つです。ダンスをしながらであればハンドマイクが便利ですが、無観客だったら真っ直ぐ定位置でカメラを見て、私たちの歌だけの表現を見てもらいたいと思ったんです。

菅:当日見ていただいた方も、また改めて楽しんでいただけると思います。

――7月31日からは大阪、仙台、東京を巡る初のライブツアー「ユメノナカノセカイLIVE TOUR 2021」が始まります。今から楽しみにしていることはありますか?

ライブツアービジュアル
ライブツアービジュアル


菅:私たちはまだ関東でしかライブをしたことがないので、大阪・仙台に行けること自体が楽しみでしかたありません。ツアーはGothic×Luckの夢の1つでしたし、それを「夢」のコンセプトで作ったセカンドEPと同時に叶えられたというのはとても嬉しいです。

八木:ツイッターやファンレターで「関東以外にも来てほしい」という声が届いていたので、今回のツアーでやっとそういう遠くから応援してくれているファンの方々へ会いに行けると思うと本当に嬉しいです。Gothic×Luckを結成した間もないときに、「いつか東京ドームでワンマンライブ」という大きな夢を掲げたんですが、その途方もない夢にも、こういう形で一歩一歩近づいていければいいなと思います。

――大阪、仙台はプライベートでも初めてですか?

八木:大阪は家族旅行で一度だけ。仙台は初めてなので、時間があったら観光もしたいです!

菅:牛タン!! 牛タン!!(笑)

八木:大阪は本場のたこ焼き、串カツが食べたい!

――仙台だと牛タンは分厚いステーキですからね。東京の牛タンしか知らないとビックリしますよ。

菅・八木:ええ~! 食べた~い! 皆さん、美味しいご飯のお店、ツイッターで教えてください!

――最後に、今後実現していきたい夢を教えてください。

八木:東京ドームは一番大きな夢として、次は何を実現したいかな……?

菅:まずはツアーの回数を増やしていこう! 「ミチシルベ」はMV(ミュージックビデオ)も撮影していて、そういうのをきっかけに「Gothic×Luckっていいな」と好きになってくださる方もきっといると思います。そうやって少しずつでもいいからファンを増やしていって、ツアーに繋げて私たちの音楽世界をもっとたくさんの人に届けていきたいです。

八木:この記事を読んで、初めてGothic×Luckを知ったというあなたも! ツイッターやYouTubeに飛んで、ぜひ私たちの歌を聴いていただけると嬉しいです。

――4月からはラジオ番組「Gothic×LuckのGothic×Radio」(文化放送 超!A&G+・毎週日曜16時から)も始まっているので、そちらも聴いてほしいですね。

八木:あっ、そうですね! 文化放送超!A&G+で放送中です!

――ラジオパーソナリティー、やられてみてどうですか?

八木:最初は心臓バクバクだったんですけど、緊張が解けるのも早かったよね?

菅:うん!

八木:スタッフさんが「ありのままで楽しくね!」と場を作ってくださって、すぐに2人の素を出せるようになりました。

菅:これからもどんどんレベルアップして、もっともっと面白いラジオにしていきたいです。

――ツアーはMCも楽しみですね。レベルアップしたトーク力に期待しています(笑)。
菅・八木:頑張ります!

2nd EP チェーン店別オリジナル特典
2nd EP チェーン店別オリジナル特典


【各曲コメント】
「小さな予感」作詞:Cocoro. 作曲:堤功太 編曲:佐藤厚仁
菅:夢を見つけに行くキラキラした曲になっていて、私は夢に挑戦したオーディションのときの気持ちを思い出しながら歌いました。私は両親に反対されていたのもあって、この世界に飛び込むのに大きな勇気が必要だったんです。今は飛び込んで良かったと思えるし、曲の歌詞では「さあ行こう!」「つかもう!」という後押しの言葉が印象的でした。

「ユメゴコチ進展系!」作詞/作曲:田淵智也 編曲:Akki
八木:アップテンポで、今までの楽曲の中で一番テンション感の高い楽曲だと思います。夢の中って突拍子もない目まぐるしい展開があったりするもので、その様子が歌詞とメロディのテンポ、歌の掛け合いで表現されています。節々にキャッチーな言葉が入っていて、「手と手をぎゅむっとつないで」はお気に入りの歌詞です。特に感情を込めて、セリフチックに歌わせていただきました。

「棘かくし」作詞:森下suu 作曲:中村”tono”僚, Pieru 編曲:Pieru
八木:大好きな森下suu先生に作詞をしていただいた曲です。文学的な表現でいろいろな解釈ができるので、どういった表現がふさわしいのかを菅ちゃんと話し合って、歌い方にもいろいろな思いを込めました。
菅:重めに歌ってみたり、あえてリズムを崩したり。それもあって、特に2人の声質が際立った曲に仕上がった様な気がしています。「棘かくし」はリリックビデオも作っていて、ここでも森下suu先生に協力してもらっているんです。曲の世界がすべて詰まっているので、ぜひ見ていただきたいです。

「夢の中のストーリー」作詞/作曲:井上トモノリ 編曲:大沢圭一
菅:曲調はすごく可愛いんですけど、急に音数が少なくなったり、感情の移り変わりが楽しい楽曲です。注目はお互いのソロパート。歌っているところに吐息を当てたり、裏でお喋りしているような声を入れたりしているので耳を凝らして聴いてみてください。夢の中という不思議な雰囲気を感じてほしいです。

「天国の踊り場」作詞/作曲/編曲:瀬名航
菅:何も包み隠さない、グサッと心に来るような歌詞です。きっと皆さんの中の思い出にも重なる部分があると思います。私はレコーディング中、涙が止まらなくなってしまい、それくらい感情を引っ張られてしまう曲でした。大人っぽくなりすぎず、少し可愛らしさも残しつつ、「頑張って向かっていくよ」という明るい情景が届くように歌った曲になります。

「ミチシルベ」作詞/作曲/編曲:玉木千尋
菅:今のGothic×Luckの場所を描いていて、ファンの方への気持ちも込められた曲になっています。これからまだまだ叶えたい夢はたくさんあって、その夢にはファンの方々と一緒に進んでいきたい。その夢の向こうにはどんな世界があるんだろうって、ポジティブな勢いを込めて、今の精一杯の全力で歌っています。
八木:私たちの未来を思い浮かべて歌いました。大切な人と何かを目指していこうという、奮い立つような曲でもあると思います。諦めてしまった夢、やりたいけどやれていないこと。そういうことに対しても、この曲を聴いて一歩踏み出せる勇気を持ってもらえたら嬉しいです。
 

「おやすみ、おはよう(通常盤)」
「おやすみ、おはよう(通常盤)」

 

「おやすみ、おはよう(初回限定盤)」
「おやすみ、おはよう(初回限定盤)」

【取材・文:鈴木康道】
 

6月24日にリリース特番『前前前前前前夜祭』を配信
6月24日にリリース特番『前前前前前前夜祭』を配信

 

「Gothic×Luck」2nd EP「おやすみ、おはよう(通常盤)」
発売:2021年6月30日
価格:2970円(税込)

「Gothic×Luck」2nd EP「おやすみ、おはよう(初回限定盤)」
発売:2021年6月30日
価格:4620円(税込)

リンク:「Gothic×Luck」公式サイト
    公式Twitter・@kannmadoka
    公式Twitter・@yagimashiro

【初のライブツアー開催!Gothic×Luck『ユメノナカノセカイ LIVE TOUR 2021』】
7 月の大阪公演を皮切りに、仙台、東京を周る初のライブツアー 「Gothic×Luck ユメノナカノセカイ LIVE TOUR 2021」の開催が決定!

【大阪】
日程:2021年7月31日(土) OPEN/16:30|START/17:00
会場:大阪府 心斎橋SUNHALL

【仙台】
日程:2021年8月7日(土) OPEN/16:00|START/17:00
会場:宮城県 仙台GIGS

【東京】
日程:2021年8月21日(土)
・昼公演OPEN/13:00|START/14:00
・夜公演OPEN/17:30|START/18:30
会場:東京都 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

【配信情報】
◆「ユメゴコチ進展系!」各配信サイトにて先行配信中!iTunes StoreにてIGTプレオーダー(予約注文)スタート!

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