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現在、好評放送中のTVアニメ「盾の勇者の成り上がり」。その放送を記念して、スタッフ&キャストによるリレー連載をお届けします。
第6回は、EDテーマ「きみの名前」を担当する藤川千愛さんが登場。自身初のアニメーションタイアップとなる楽曲に、どう向き合ったのか。制作の裏側についてうかがいました。
――藤川さんにとって「盾の勇者」のEDテーマは初のアニメーションタイアップですね。このお話を聞いたときの心境は覚えていますか?
藤川 ソロ活動を始めて間もない時期にお話をいただいて、純粋にすごく嬉しかったです。今回のタイアップをいただくまで、あまりアニメや漫画、ラノベに詳しくなかったので、最初にタイトルを聞いたときは、変わったタイトルだな?と思いました。勇者なのに剣とか槍ではなく「盾」なところや「成り上がり」という言葉が気になってしまって(笑)。アニメ好きのスタッフさんから「この作品はかなり面白いよ」って教えていただいたので、実際に作品を読ませていただいたら本当に面白くて、私も制作を頑張るぞって思いました。
――ストーリーの印象についてはいかがでしたか?
藤川 裏切り、裏切り、裏切りから始まるストーリーが、私の知っている冒険もののアニメや漫画とは異なっていたので、最初はびっくりしました。特に感情移入したのは裏切られ続ける主人公の尚文です。アニメの主人公って最初から強かったり、いい仲間に囲まれていたりすることが多いと思っていたのですが、尚文はそういう主人公像よりもリアルで感情移入しやすくて、いろんな感情が揺さぶられます。私も怒ったり泣いたりの連続で、いつの間にかのめり込んでしまいました。
――とにかく尚文がひどい目に遭いますからね。
藤川 ツイッターでは「胸糞悪い始まり」なんて書かれていましたが、確かに尚文視点で見ていると本当に「地獄に落ちればいいのに!」と思わせるキャラクターも出てきますよね(笑)。マインとか本当にひどい……テレビの前で怒りながら見ていました(笑)。でも、逆に見ているだけで癒される、救いのようなキャラクターもいて。私は特にフィーロのかわいさに癒されています。フィーロ、大好きです!
――楽曲制作にあたって、アニメの制作サイドから何かリクエストはありましたか?
藤川 あまり恋愛に寄せすぎないで、尚文視点でラフタリアの心情を想うイメージというリクエストがありました。
――楽曲のデモがあがってきたとき、どんな印象を受けましたか?
藤川 優しく美しいメロディだなって思いました。いただいた曲を、いつもお世話になっているElements Gardenの藤永(龍太郎)さんにアレンジしていただいて、アニメのイメージに合うように曲の速さも調整してもらったりしました。制作期間は、楽曲が仕上がっていくにつれてこの曲がアニメの世界の一部になるんだなと思い、すごくワクワクしました。
――こちらの楽曲は藤川さんが作詞を担当されています。作詞をされる上で作品からインスパイアされたことはありますか?
藤川 「裏切られ、すべてを失った中から、見つけた光」というものをテーマにして、私の考える尚文がラフタリアを想う気持ちを歌にしています。尚文になった気持ちで、ラフタリアとの出会いが自分を救ってくれた、変えてくれたって思ったら、一緒に冒険をしているような気持ちになってスラスラ書けました。
――作詞をする上で大変だったことなどはありますか?
藤川 難しかった部分については、強いて言うならばあまり怖い言葉や汚い言葉を使わないようにしたことですね。普段、作詞するときはあえて尖ったワードや刺激の強い言葉を使うことが多くて……。今回は10代のアニメファンもたくさん見ると思いましたし、優しい詞にすることを心がけました。登場人物に感情移入しながら詞を書くのも初めてだったのですが、いつもと違う楽しさがあってよかったです。
――レコーディングの感想についても聞かせてください。
藤川 普段のレコーディングスタジオと異なりレコーディングブースが丸見えで、またアニメ関係者さんやレーベルの方など、普段よりギャラリーも多くて緊張してしまって。実は最初の2時間は何も進みませんでした。迷惑をかけているって考えたらどんどん集中できなくなってしまい、申し訳なかったです。結局、最後は毛布を使った即席のカーテンで壁を作ってもらい、一人引きこもって歌いました(笑)。
――アニメのED映像をご覧になっての感想はいかがですか?
藤川 作詞をしていたときになんとなくイメージしていた雰囲気と本当にぴったりの映像だったので、高まりました。尚文とラフタリアの絆を感じる温かい映像だなと思います。色合いも温かくてホッとしますし、特にラフタリアのあの笑顔が最高です! かわいい! これから話が進むにつれて、どんどん思い入れが深くなるんだろうなと思います。
――アニメファンの方の反応やご自身の手応えはいかがでしたか?
藤川 アニメや「きみの名前」という楽曲をきっかけに、私を知ってくれる方がいること本当に感謝しています。YouTubeやツイッターのメッセージ欄には日本語だけでなく、海外の言葉でも感想や応援メッセージをいただいており、改めて作品のパワーを実感しました。逆に私や「きみの名前」をきっかけにアニメを見たという人を増やして作品に恩返しできるように頑張ります。
――5月7日には初のフルアルバム「ライカ」がリリースされます。アーティストとしての今後の抱負を教えていただけますでしょうか。
藤川 月並みですが、私の歌で救われたとか、少しでも誰かの何かのきっかけになるような歌を唄えたらいいなって思います。あとは、ライブ会場に足を運んでくれる方に、「ライブってすごい! 楽しい!」って思ってもらえるようなライブをしたいですね。
――最後に、「盾の勇者」のファンにメッセージをお願いします。
藤川 同じ音楽でも、音源には音源のよさ、ライブにはライブのよさがあると思います。アニメのエンディングを見て、あるいはミュージックビデオを見て、「きみの名前」きっかけでライブに来ていただいた方に、いい意味で衝撃を与えるようなライブをするので、ぜひライブ会場にも足を運んでみてください。
【取材・文:岩倉大輔】