新作&おすすめアニメのすべてがわかる!
「月刊ニュータイプ」公式サイト
昨年は2枚のミニアルバムをリリースし、年明けには和モノライブを開催するなど精力的な活動が続く石川智晶さん。今回はそんな石川さんに、9月16日(水)にリリースされるアルバム「物語の最初と最後はいらない」と、11月に控える2Daysライブへの想いを語ってもらいました。
――フルアルバムとしては3年半ぶりのリリースとなります。
石川:でも、ミニアルバムは去年2枚つくっているので、それを考えるとすごくハイペースなんです。ただ、そこに特段の理由はなくて、とにかく今は詰め込もう、と。だから今は「終わっちゃったので、もう“次だ”と思ってる」しかないですね。今回はアルバムを繊細にはつくりながらも、雑だったり乱暴な部分も残しているんですよ。大人って、どんどん「これだけできるぞ!」って難しくやりがちなんですけど、それって目上の人が後輩に説教してるみたいになっちゃうので、どれだけさり気なくシンプルにできるのか?っていう方向のほうがかっこいいと思って。
――特に前半6曲に関しては、以前の石川さんの楽曲から洗練されて引き算されていった印象がありました。
石川:どうでしょうかね?(笑) 逆に、特にあまり「こうしよう、ああしよう」と考えるのが苦手で。今回のアルバムも制作した時系列に楽曲を並べていってるくらいなんですよね。しかも歌詞も込み入っているので、サウンドやメロディを難しくし過ぎると、ずっとは聴けなくなっちゃうと思って、シンプルなリズムの上にアグレッシブで人間的な感じや少し具合の悪そうな感受性のあるものを乗せている感じですね。それに、あまり難しくし過ぎると自分で自分に飽きてしまうので(笑)。
――そして今回は、その6曲と後半の「戦国BASARA」楽曲4曲との二段構えのようにもなっています。その後半、とりわけリアレンジ3曲もある種シンプルに聴こえるようなリアレンジでしたが。
石川:でも引いてはいなくて、細かい音はむしろものすごく増えています。まず舞台「戦国BASARA」で俳優さんが動くためのアレンジをして、その次に1月に時代モノのライブ向けにアレンジをしたんです。そこでのお客さんの反応を踏まえて、さらに変えたのが今回収録したバージョン。なので、いいバランスで足されている状態にはなっているんです。ただ「BASARA」の世界って過剰にやるといなたくなってしまうので、ライブに持っていった時にすごくなるようなバランスにしているというのもあって、そう聴こえるのかもしれないですね。
――たしかに、三味線やコーラスは結構足されていました。
石川:そうなんですよ。和楽器の生音ってすごくて、歌と同じくらいの存在感があるんですよ。だから要所要所でその人だけにライトを当ててあげないとお互いの長所を殺してしまうし、やり過ぎると「すごいな」とは思うけど何度も聴けない。そのちょっと手前に留めるのは、すごく難しい作業でした。
――そのライブなんですが、11月に行われる前の東名阪でのミニ・ライブもファンにはうれしいところだと思います。
石川:去年までは店頭での握手会やサイン会だったんですけど、ふと「これを続けても私らしいのかしら?」と思っちゃって。なので、ミニライブを気軽に見に来ていただいて、そこで「石川さんってこういう人なんだ」と思ってまたライブに来ていただければ、そこでまた違う感じをお見せできると思うので。
――そしてそれを経て、11月には2Daysのライブがあります。
石川:そうなんです。特に大事なんですよこれ!(笑)
――ライブあってのアルバムということは、やはりやりたいことも結構固まってきているんでしょうか?
石川:というか実は、もう準備が始まってるんです。
――え!? ライブまで、まだ3か月くらいあるじゃないですか?
石川:そもそもトラック数も多いですし、私はライブによってコーラスアレンジを全部変えるんですよ。なので、準備する側としてはあらゆる意味で体力勝負なんです(笑)。
――それでなおかつ、それぞれの日のコンセプトも違いますし。
石川:そうなんです。大変なので来年はもう2Daysは難しいかも、とは思ってるんですけど、今年までは精一杯やろうかな、と。やっぱり、あくまでも自分がとにかく楽しそうだなって思うものをやりたいので。
――でも、ご自身から「やりたい!」というところに飛び込んだほうが、おのずと結果としていいものができる気もします。
石川:私はやっぱり自分のレーベルや事務所を持ってやっているので、大変さはあるんですけど、その分楽しくはできますね。そうやって自由にやれるんだから、何も今まで通りにやる必要性はなくて。旧来の縛りみたいなものを無視して、聴いてくれる方に感謝しながら、やりたいことをやっていきたいと思っています。