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好評放送中のTVアニメ「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら」(以下「フルダイブ」)。土日月さんによる小説を原作とした本作は、リアルを極めたおかげでとんでもないクソゲーとなってしまったフルダイブRPG「極・クエスト」(以下「キワクエ」)の世界で、男子高校生の結城宏ことヒロが悪戦苦闘し続けるコメディ作品です。WebNewtypeではそんなアニメに出演するキャストにリレーインタビューを実施。第3回は、兄のマーチンを殺したヒロを執拗に付け狙うアリシア役のファイルーズあいさんの登場です。
――ファイルーズさんはアリシアを演じるにあたってどんなことに気をつけていますか?
ファイルーズ かわいらしいアリシアと、豹変したあとのアリシアの落差です。第1話の収録前に、現場にいらしてくれた作者の土日月先生から「(オーディションで)アリシアが豹変したときの演技で、ファイルーズさんはかわいさを完全に消して思い切りやっていたのがすごく良かったので、あの感じでお願いします」と言っていただけたので、完全にかわいさは忘れてやりきりました。
――オーディションの段階から、意図的にそこまで振り切れようと考えていたのでしょうか。
ファイルーズ 土日先生の作品ってロクな女性キャラが出てこないので(笑)、絶対にセーブしないほうがいいと思っていました。私はこういう二面性のあるキャラクターは大好きで「絶対にやりたい!」と思っていたし、ヒャッハー系のキャラクターもできるのをみなさんに見せたかったので、オーディションに受かったときはうれしかったです。
――アリシアも見た目や序盤は正統派の幼なじみヒロインなので、ビジュアルだけ見たときは「ファイルーズさんはこういう普通のかわいい路線もやるんだ」と思ったのですが……。
ファイルーズ 作品のことを何も知らない友達に「フルダイブ」のキービジュアルを見せて「どれが私のキャラでしょう?」と聞いたら、みんなミザリサと答えていました(笑)。
――見た目的にはそうですよね。それが1話で早々にあんな豹変をするとは。
ファイルーズ 現場で初めてアリシアを演じたときは、みなさん「そう来るか」とウケていました。ヒロ役の山下大輝さんは「喉大丈夫?」と心配してくださって。
――アリシアはかなりテンションが高いですが、収録は大変だったのでは?
ファイルーズ 消費カロリーは本当に激しかったし、それだけに楽しかったです。でも毎回、喉スプレーはたくさん現場に持って行きました。あと叫ぶときはつい体を動かしたくなってしまうんですけど、マイクにノイズが乗ってしまうので、体を動かさないように気をつけなくてはいけなくて。だから地獄の果物ナイフ使い(ヘルズフルーツスライサー)のアリシアをやるときなんて、拳をグッと握り過ぎて毎回手のひらに爪の跡が残るくらいでした。それとアリシアは大体叫んでいるので、このご時世、同じ現場にいるのにほぼみなさんと別録りだったのは悲しかったです(笑)。
――まるでファイルーズさんが、アリシアみたいな危険人物かのようですね。続いて、原作や台本を読まれた際に本作の魅力はどこにあると感じましたか?
ファイルーズ 期待を裏切るところです。キービジュアルだけ見たらかわいい女の子に囲まれてキャッキャウフフする作品だと思われたかたもいるかもしれませんが、原作が土日先生の時点でそんなわけがない(笑)。女性キャラだからかわいく見せようとか、男性キャラだからイケメンだなんて都合のいいことは絶対にないですから。本当にタイトル通り「現実よりもクソゲー」感があるんですよね。
――ファイルーズさんも出演されていた、同じ土日月先生の「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」と比べて、どんな違いを感じますか?
ファイルーズ 「慎重勇者」は主人公がわりとクールで周りがワーワーしてる感じでした。でも「フルダイブ」は周りのキャラクターが賑やかなだけでなく主人公のヒロもわりとギャグ要素が強くて、もうキャラが大渋滞している感じですね。救いは楓だけ(笑)。
――ではこれまで放送された5話までで、演じていて印象的だったシーンは?
ファイルーズ 2話で、アリシアが見えないレオナさんに目を攻撃されるシーンです。そのときのアリシアが「ヴェ、ヴォ」とかすごく汚い声でリアクションするんですけど、私が途中でむせちゃったんです。でもそれが採用されちゃって(笑)。そういうアドリブも対応してくださる、ノリのいいスタッフさんたちで楽しかったです。
――5話ではアリシアがヒロに迫り、そのピンチにミザリサが駆けつけました。初対面となった2人の今後の絡みも楽しみです。
ファイルーズ 今後のネタバレはできませんが、ミザリサもアリシアもどちらも強いキャラクターじゃないですか。ここから異種格闘技みたいな展開で楽しいので、ぜひそこも注目して観てほしいです。
――ミザリサも強烈なキャラクターですよね。
ファイルーズ 私、井澤詩織さんが大好きなんですよ。いつもフレンドリーに優しく接してくれてお洒落で……って、井澤さんのことを喋ってしまいましたけど(笑)。ミザリサの声は井澤さんが担当されると聞いたときから脳内で再生されていたんですけど、現場に行ったら本当にイメージ通りで耳馴染みがよくて感動しました!
――ファイルーズさんが井澤さんとミザリサを好きなのが伝わりました。エンディングテーマ「キスイダ!」ではそのミザリサとも一緒に歌われました。
ファイルーズ 2番のミザリサの「解体ショーの始まりっすよ!」がいいんですよ。井澤さんのミザリサは、特に語尾の伸ばしかたがこう、ネチッとさせてる感じでいいんです。
――その「キスイダ!」はアリシアが本編同様に大暴れしています。
ファイルーズ 4人で歌うサビとかはアリシアのかわいいほうの声で歌うのかなと思っていたんですけど、叫ぶ方の声で歌うことになって。だから声が浮かないかなと思っていたんですが、優秀なミキサーさんがみなさんのかわいい声に上手く潜り込ませてすごく素敵に仕上げていただきました。
――この曲も歌うのは大変だったのでは?
ファイルーズ はい、いっぱい叫びました。まず先にかわいい声で録って、その後にずっと叫んで。スタッフさんも私にもう1テイクさせるのは心苦しそうだったので、私から「もう1回やらせてください!」と言いました(笑)。アリシアという素晴らしい役で、これだけ素晴らしい楽曲を歌えるなら妥協したくなかったので。
――素晴らしい楽曲という話がありましたが、曲を作られているのが……。
ファイルーズ そうなんですよ、烏屋茶房さんと篠崎あやとさんが関わられていて。最初にデモ音源を聴いたときは本当にポップで、ノリノリになれて、耳から離れないなと思っていたんですけど、歌詞カードを見たら「なるほどな」と。
――橘亮祐さんと共に「キスイダ!」を作られた烏屋茶房さんと篠崎あやとさんは、別名義でファイルーズさんの初主演作「ダンベル何キロ持てる?」の主題歌も作られていました。少し運命めいたものを感じます。
ファイルーズ 後味というんでしょうか、先生方にしか出せない、どんな曲調であっても溢れ出てくる魅力も感じました。
――先ほどミザリサのパートが好きと仰っていましたが、ほかに好きなフレーズはありますか?
ファイルーズ やっぱり4人がセリフを畳みかけるところです。アリシアが殿(しんがり)になって盛り上げなきゃいけないことが多いんですけど、「今からヒロを殺すからね!」とか叫べて楽しかったですね。早くカラオケで友達と一緒に歌いたいです。ほかの3人を誰がやってくれるかわかりませんが……。
――いつかどこかのステージで、キャスト4人で歌われるのを期待します。それでは本編から離れた話を伺います。ファイルーズさんはゲームをプレイしてきましたか?
ファイルーズ 中高生のときはすごくやっていました。特に「戦国BASARA」シリーズが大好きで、本当にずっとやっていました。当時から真田幸村と鶴姫がずっと好きです。あとホラーゲームの「零」シリーズもよくプレイしていました。ただ大人になるにつれて三半規管が弱くなったのか、ゲーム酔いがひどくなってきたんです。だから最近はあまり激しい動きのない麻雀とかソリティアとかばかりです。あと自分が出させてもらったのをきっかけに始めたリズムゲームも遊んでます。
――次に最近「クソゲー」と感じた出来事を教えてください。
ファイルーズ 最近は本当に周りの人や仕事に恵まれ過ぎていて、クソだなんてとても思えないです。でも何かあったか日記を見返すので、しばしお待ちを……あ、先日美容室でありました。美容師さんがポーチにアニメのアクリルキーホルダーを付けていたんです。アクキー付けてるなんて100%オタクじゃないですか。だから「同士見っけ!」と思って思い切りオタク口調で話しかけたら「え、これかわいいから付けててー」ですって。本当に「ちくしょー!」ですよ(笑)。べつに「オタクじゃない人がアクキー付けないで」とか言わないですけど、「期待させないでよ」っていう。
――それはつらいですね。では最後に、「キワクエ」における「親友殺し(ベストフレンド・キラー)」のような称号に関するリレー質問です。まず前回登場した竹達彩奈さんからいただいた称号「元気な小悪魔」についてコメントをください。
ファイルーズ え、小悪魔ですか?
――「ファイちゃんは人懐っこくて素晴らしいと思うけど、その愛が自分だけじゃなくて他の人にも平等だから小悪魔と感じる」そうです。
ファイルーズ 私は人間を愛してるんです。どんな人も自分にないものを持っているから、その人しか持ってない魅力や知識を聞きたくてなるんですよ。だから誰にでも話しかけてしまうんです。
――それが竹達さんの中にある男心を「あ、俺だけじゃないんだ……」と刺激したそうです。
ファイルーズ なるほど(笑)。今後は特別感を出せるようにします!
――続いてインタビューが公開されるマーチン役の石谷春貴さんに称号を与えてください。
ファイルーズ 石谷さんとは昨日もTwitterクソリプし合った仲ですからね!
――ではクソリパーとかそういう……?
ファイルーズ いえ、今回は「徳高き指導者」でお願いします。石谷さんは本当に徳が高くて、私は令和のマザー・テレサだと思っているくらいで。後輩に対してすごく優しく教えてくださるんです。それにみんなから愛されていて、いろんな現場で「石谷君がいると現場が暖かくなる」という話を聞くし、実際に「フルダイブ」の現場でもそうでした。ただ、優しすぎて後輩に拝み倒されたら連帯保証人とかになってしまうんじゃないかと勝手に心配してしまいますけど(笑)。
――優しいというのはファイルーズさんに対しても?
ファイルーズ はい。私が養成所時代に生まれて初めていただいた声優の仕事がドラマCDだったんですが、その主人公役が石谷さんでした。私は初めての現場だから何もわからない状態でしたが、いろいろ優しく教えてくださって。だから雛鳥の刷り込み効果じゃないですけど、初めて先輩として認識した石谷さんは私にとって永遠に指導者なんです。
――石谷さんに、ファイルーズさんの初現場での話を聞くのが楽しみです。
ファイルーズ 当時の私はすごく下手だったし、恥ずかしいですね。そもそも覚えてるかな……?
【取材・文:はるのおと】