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SELECTION PROJECTを辞退し、“9-tie”として新たなスタートを切った鈴音たち9人。路上ライブを中心に地道な活動を続ける彼女たちの目の前に開けた道には、プロデビューに向けてのラストチャンスが待っていた!? クライマックスに向けてさらに怒涛の展開が続くなか、今回は美山鈴音役・矢野妃菜喜さんと天沢灯役・早見沙織さんの特別対談を実施! なんと対談当日が初対面だったというお二人は何を語るのでしょうか?
――アニメ「SELECTION PROJECT」もクライマックスが近づいてきましたが、ここまでの収録を振り返ってのお気持ちをお聞かせください。
矢野 どの話数も思った以上に起承転結が激しくて、それにびっくりしました。
早見 私は途中の話数に参加していなかったりしたので、台本を開くたびに「この間の回と全然違う!」ということになっていて(笑)。衝撃の事実が突然明かされたりしますし、ドラマチックな作品ですよね。
――衝撃の事実といえば、やはり灯の心臓が鈴音に移植されていたという……。
早見 そこが一番びっくりしました!
矢野 それが明かされる回の、ひとつ前くらいの台本でト書きにしれっと書いてあって。心臓の手術のシーンで「隣に灯」とか書かれていたから「あれ? まさか?」となって、ネタバレをくらった感じでした(笑)。
早見 そうなんだ⁉
矢野 なので、知ってはいけないことを知ってしまった気分になっちゃって……。
――それを知ってからは鈴音を演じるうえでも意識は変わりましたか?
矢野 もともと鈴音は灯ちゃんに通ずるものがあるという描写はあったので、そういうところでつながっていたんだなというので驚きというか、うれしさもありつつで。
早見 私としても、ちょっと他人とは思えないなという気持ちになりますね。
――実際にお二人がアフレコ現場でいっしょになったことは?
矢野 いや、今日がはじめましてなんです。(※この対談は2021年8月下旬に行われました)なので「ようやくお会いできた!」という感じです。
早見 よろしくお願いします(笑)。
矢野 個人的に早見さんのお声が本当に好きで、ずっとお会いしたかったんです。
早見 ありがとうございます。うれしい!(笑)。
――せっかくなので、お互いの印象をお聞かせいただけますか?
早見 矢野さんはひたむきな感じが鈴音に通ずるなって、私は勝手に思いました。
矢野 うれしいです! それこそ鈴音にとっての灯ちゃんみたいに私にとっては早見さんがあこがれの存在なので、「本当に存在していたんだな」って(笑)。
早見 そんなふうに言っていただけるというのも、不思議な気持ちですね。それだけ時が流れたんだなって(笑)。
矢野 それこそキャスト発表のときに「共演できるんだ!」というのがすごくうれしくて、今日こうやって対談できて本当にうれしいです。
早見 メインキャストの皆さんのうち何人かとはたまにアフレコ現場で私の収録が終わった後に入れ違いでお会いすることもあったんですけど、本当にそれくらいで。あとは小野(大輔)さんくらいでしたね、現場でお会いしたのは(笑)。
――早見さんはアフレコ現場でも灯のように天国から見守っている感じだった?
早見 その感じはありました。なかなかこういうご時世なので、みんなと会っていっしょに収録できる機会がなかったんですけど、みんなを影ながら応援する気持ちというか、「頑張れ!」みたいに台本を読むたび思っていました。
――心臓移植のほかにも衝撃的だったシーンはありますか?
矢野 みんながSELECTION PROJECTを辞退してしまうというのは、やっぱり衝撃的でした。この9人で歌いたいんだという気持ちはわかるんですけど、SELECTION PROJECTというのはすごく大きな舞台で、それを捨ててまでみんなでやりたいというのはすごい決意だなって思いましたね。
早見 私は11話の台本を読んでいて、後半でウルっとなってきちゃって。この作品、すぐ泣けちゃうんですよ(笑)。ひたむきに向き合い続けた彼女たちの熱い思いを知ると、みんな愛おしいと思える存在になっていきますね。
矢野 9人の絆もすごいですよね。
早見 キャストの皆さんに対しても私は見守るような気持ちがあるんですね。最初にAJ(「AnimeJapan 2021」)のステージに登壇されていて、私は映像コメントでしか参加できなかったんですけど、あのときの気持ちとかを自分に置き換えて考えたら、緊張もあったし、プレッシャーもあったんだろうなって。そう思うと皆さんを応援したくなっちゃったんですよね。しかも、矢野さんは主人公だから……。
矢野 そうなんですよね。「作品を背負わなきゃ」じゃないですけど、また違った緊張感はありました。
――この作品ではアフレコ以外の活動もされていますが、そのなかでご自身が成長したなと思う部分はありますか?
矢野 (対談収録時の)1~2か月くらい前にレッスンが始まったんですけど、そこでは9人で振りをそろえるとかやっていて。なので、私が頑張らなきゃというよりも、みんなでいっしょに成長している感はありますね。
早見 「Only one yell」も振りをつけて歌うの?
矢野 そっちのレッスンはまだですね。私も振りがつくのが楽しみです。
(※10月30日のメインテーマCD発売記念イベントで披露されました)
――やはり早見さんとしては「Only one yell」が気になりますか?
早見 皆さんが歌ったバージョンを、自分がレコーディングするときに先に聴かせていただいているので。
――作中では灯が先に歌った楽曲ですけど、そこは逆だったんですね。
矢野 だから私は聴いたことないんです、灯ちゃんの「Only one yell」。むしろレコーディングしてからアフレコが始まったので「灯ちゃんの曲だったんだ!」くらいの感覚で。
早見 でも、すごく素敵な曲ですよね。私はレコーディングのときに「優しく歌ってください」と言われまして。
矢野 私も言われた記憶があります。
早見 楽曲的にも応援している気持ちを歌った曲で。
矢野 この曲は灯ちゃんの曲だから、もちろん鈴音にとって特別な曲ではあると思うんですけど、オーディションの最終予選で歌った曲でもあり、落ちた後にこの曲を歌いながら、泣きながら帰る第1話……。それもあって鈴音としても思い出深いというか、いろんな感情が詰まった曲だと思うので、最後まで見返してから「Only one yell」を聴いたら、また違った感じになるのかなと思います。
早見 きっとエモいと思います!(笑)。
――ほかに印象に残った楽曲はありますか?
矢野 ユニット曲がそもそも全部、王道のアイドル感じゃなくて、バンドのロックっぽいものがあったり、ダンスミュージックっぽいものがあったり、Suzu☆Renaはおしとやかに、きれいな感じだったり。こんなに違うグループができるんだっていうのがすごくて、最初びっくりしました。それも「SELECTION PROJECT」の面白さのひとつかなと思います。
――各ユニットのライブシーンのクオリティーもすごかったですからね。
矢野 かわいいし、きれいでしたし。
早見 もしかしてこれから、皆さんも実際に踊る……?
矢野 もう練習しています。ヒーヒー言いながら(笑)。「SELECTION PROJECT」はダンスがちょっと難しいというか、みんなで苦戦していて。
早見 でも、今って皆さん素養があるじゃないですか。私はダンスもてんやわんやしながらやっていたんですけど、今は皆さん覚えるのも早かったりするでしょうし、慣れていらっしゃるかなと思うので、すごく尊敬しています。
――早見さんは役柄としては伝説のアイドルということで、その辺りで意識されたことはありましたか?
早見 いや、めちゃめちゃ緊張しますよね。最初に「伝説」とかついちゃうと、否が応でも意識せざるをえないというか(笑)。でも、灯本人も別に伝説になろうと意識して伝説になったわけではないですよね。彼女自身は人前に立つときもそこまで自分を作り込んでいないというか、もちろんアイドルとして役目をしっかり果たすんですけど、あまり嘘をついていない感じ。一生懸命、自分らしくやっていたというところがあると思うので、私もマイクの前で演じるときはそこまで気負わずに……肩書には気負ったんですけど(笑)、とても自然体で楽しんで演じられました。
――先ほど鈴音と矢野さんで通ずる部分があるともおっしゃっていましたが……。
早見 ご本人的にはどうなんですか?
矢野 どうなんでしょう?(笑)。でも、好きなものにまっすぐなところは鈴音と似ているのかなとは思います。
――矢野さんにとって、早見さんたち先輩方はアフレコ現場でどんな存在ですか?
矢野 めちゃめちゃ心強いですね。1話のときに、小野さんに褒めていただいて。それがすごくありがたかったですし、モチベーションにもなったので。でもやっぱり、いっしょにアフレコして、生の声が聴けたらよかったなとは思います。絶対に吸収できるものがあるので。
早見 私もみんなの掛け合いをやっている姿を生で見たいと思っていました。ブースで聴くのと、また全然違いますからね。
――やっぱり違いがあるものなんですね。
早見 みんなで同じ現場で収録すると、それこそ小野さんみたいに現場の空気を素敵に作ってくださる先輩たちがいらっしゃるから、どんな感じになっていたんだろう?というのは思いますね。いつかどこかで、みんなが一堂に会する場所があったらいいなって。
――アフレコではまだまだ難しいでしょうから、イベント会場とかになりますかね?
早見 みんなが歌って踊っているところを見たら私は絶対泣くと思います(笑)。
――では、次回以降の放送に向けて、ファンの方へのメッセージをお願いします。
矢野 残り2話ですが、まだまだどんでん返しがございます。私も皆さんといっしょに9人の行く先を見守って、楽しみにしていけたらなと思うので、ぜひ最後まで見逃さずにいてくださるとうれしいです。
早見 灯としても、自分自身としても、エールを送る気持ちで参加させていただいた「SELECTION PROJECT」もついにラストが近づいてきたかと思うと、感慨深い気持ちです。自分的にも12話を楽しみにしていますので、最後の最後まで、1分1秒見逃さず、楽しんでいただければと思います。
【取材・文:仲上佳克】