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新人警察官の川合麻依は、パワハラで刑事課から飛ばされてきた巡査部長の藤聖子と出会ってから人生が激変! 仕事はできるが理不尽な藤、取り調べは天才だけど他はてんでだめの源誠二など、愉快(?)な先輩や同僚に振り回される日々を送ることになり……!?
警察官たちのリアルな日常を描いたコミック「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」(以下「ハコヅメ」)のTVアニメが、ついに2022年1月5日(水)から放送スタート。主人公の川合麻依を演じる若山詩音さんに、作品の魅力や演じるキャラクターのことについて前後編でうかがいます。
――若山さんは、原作の大ファンでもあるとのことですが、どんなところに魅力を感じましたか?
若山 まずはキャラクターたちのリアルな関係性に惹かれました。ひとくせあるけれど意外と面倒見のいい藤部長がいて、源部長や山田さんたち他部署の先輩たちも、なんだかんだいいながら丁寧に指導してくれます。実際、私たちの身の回りでありそうな関係性ですし、その関係性を構築するキャラクターたちも個性的で、ずっとやり取りを見ていたくなりました。さらに読み進めていくと、実はたくさんの伏線があって。情報量がとても豊富なのに、楽しくさらっと読める構成も巧みで、暇さえあればコミックを手にとってしまいます。
――そんな大好きな作品の主人公である川合を、どのようなキャラクターだと解釈して演じましたか?
若山 ポンコツです(笑)。ただ、そのポンコツさの中に、意外な鋭さもあるんです。基本的には空気が読めませんが、藤部長の言動に冷静に突っ込みを入れたり、捜査の現場で勘の良さを発揮したり。そういうギャップがおもしろい人物ですね。物語の序盤では、仕事ができるほうではありませんが、エピソードを重ねていくと、川合なりの成長も見えてきて、親目線で応援したくなります。そんな川合をキャラクターたちみんなが目にかけてくれているので、人を引きつける魅力があるのだなと思います。
――川合を演じる際に、気をつけていることはありますか?
若山 スマートにならないことですね(笑)。つねにポンコツに見えるように気をつけています。技術的な面では、口調がワンパターンにならないように意識しています。「ハコヅメ」は、キャラクターがボソッと発する言葉がすごく面白いので、その口調がワンパターンにならないように気を付けました。
――川合を演じるのは難しかったのでしょうか。
若山 いわゆる“役作り”は意識しなかったです。というのは、原作や台本を読んでいるうちに、自分の中に川合が現れたからです。オーディションの時もそうでした。前日の夜、原作を夢中で読んでいると、いつの間にか「私は川合麻依だ」と思いこんでしまったんです(笑)。何度もオーディションは受けていますが、こういう感覚は初めてでした。だからこそ川合を絶対に演じたいと思っていましたし、その願いが叶ってうれしかったです。そのときの感覚を忘れないようにアフレコに参加し、自由に演じました。
――ナチュラルに川合を演じたのですね。ちなみに、若山さんは、川合と藤ではどちらが自分に近いですか?
若山 圧倒的に川合ですね。川合がボソッと言う言葉も似ているんです。例えば、「マジか」とか。そういう意味では、素で似ているのかもしれません。
――そんな川合のペア長である藤部長の第一印象を教えてください。
若山 藤部長が交番勤務になったきっかけがパワハラですが、「こんなにきれいな人がパワハラするの!?」と衝撃でした。キリッとしていて、スマートで、仕事には厳しい一面もあります。でも、川合とのやり取りを見ているとおちゃめな一面もあるんですよね。寂しがり屋で川合の部屋にずっといたり、川合のボケに突っ込んだひと言が天然ボケだったりして。そういうところもリアルで人間っぽいなと思いました。
――ちなみに藤部長が部屋に常駐したらうれしいですか?
若山 私はうれしいです。あんなにすごい人が頼ってくれているんだなって。いくらでもお世話をしたいと思いますよ(笑)。ただ、川合の立場からすると、最初は怖かったでしょうね。積極的に警察官を目指したわけではないのに、直属の上司という怖い存在がずっとそこにいるなんて。
――結局、なじんでいますよね。
若山 それが川合のすごいところなんです。藤部長はもちろんですが、刑事課の強面たちや副所長などのいろいろな人の懐に飛び込んで、人間関係を構築できるんですよ。そういう意図しない人なつっこさが、川合のよさになっていると思います。
【取材・文:星政明】