「SELECTION PROJECT」TVアニメ完走記念 濱栗広海役　南雲希美インタビュー！ 「9-tieにとって大切なターニングポイントだったと感じます」

第７回「SELECTION PROJECT」本選全員脱落後の“セルフアイドルプロジェクト”から誕生した「9-tie」が起こした奇跡――。彼女たちの軌跡をキャストとともに振り返る。濱栗広海役南雲希美はあのとき何を思っていたのか？

――涙と汗を流し、ぶつかり合いつつも９人で乗り越えてきた本選オーディションを振り返って、一次審査と二次審査はどのように厳しかったですか？

南雲　一次審査はグループということで、個人戦のオーディションだけれどチームで臨むということに緊張が走りました。自分が勝ちたい気持ちだけではチームはまとまらないし、むしろ突っ走ることで軋轢が生まれてしまう、とはいえ何も意見を言わなければ埋もれてしまう……多くのチアーズに見られながらそれを乗り越えなければならないという、今思うと初っぱなから鬼仕様ですね(笑)。思春期の彼女たちだからこそ、不器用な部分があったり、それゆえにすれ違ったり、ぶつかり合いを経て結束していく姿は、今見ても涙が出ます。しかもみんないい子で、それぞれの気持ちがわかるから余計に感情が追い付かなくなるんです……！　

広海は元来のリーダーシップゆえに、チームをまとめて勝利に導かなければ、完璧なパフォーマンスをしなければって思い詰めてた部分があったと思うんです。だから焦って周りが見えなくなって、メンバーのことを振り返る余裕がなかった。「自分らしさ」もわからないまま突き進むことに迷いを覚えても、どうしたらいいかわからなくて、余計焦って……広海の行動全部、痛いくらい共感していました。正解がないものへの答えを出すのって難しいし、焦ると周りを見ず突っ走っちゃうことが自分自身も多いので、自然に広海の思いと寄り添っていましたね。

Splasoda°結成の屋上のシーンはセリフを諳んじられるくらい思い入れがあって、４人が自分の素直な気持ちを言い合えたことでまとまったあの瞬間、私のなかでも気持ちがはじけました。個性豊かなSplasoda°、この４人でしか出せない絶妙なバランスが大好きです。最終的には凪咲の台本で一次審査を突破できたので、感謝するとともに、広海にはあざとさも学んでいってほしいですね(笑)。二次審査の時点で広海は「チーム」をより意識し始めていて、だからこそ鈴音と玲那のようすがおかしいことが気がかりで、モヤモヤを解決してみんなで頑張ろうとしていたんですよね。思わぬ方向に転がってしまって広海自身とてもショックを受けていたと思います。それでもメンバーを信じて、全員で二次審査に臨むつもりだった、と公言した広海の真っすぐさと優しさに心打たれました。

全体を通して言えることですが、みんなのことばや心づかいが本当にあたたかくて……ひと言ひと言噛みしめながら見ていましたね。それと「Naked Blue」を初めてTVで見たときの衝撃は今でも忘れられません。お洒落でステキなMVにみんなの笑顔が輝く、最高のサマーソングでした！

――三次審査の内容とその結果９人が下した判断について、ご自身の考えをお聞かせください。

南雲　「このパンダは何を言ってるんだ？」と真顔になりました。二次審査であれだけチームがまとまって、みんなが10万エールをクリアするほどステキなパフォーマンスを魅せてくれたのに、２人を選んで落とせなんて、できるわけないです。広海もずっと葛藤してたんだと思います。けれど時間が経つにつれて「自分は残ると信じる」から「このなかの誰かが欠けて、それでもステージで笑うなんて無理」という思いが固まった。たとえ自分が残っても笑顔で歌うことはできない、ならばもうこの場所に留まることはできないと思い、自分の名前を書いたのだと思います。投票用紙をぶん投げたシーンは大好きです。私でもそうします(笑)。ライバルが仲間になっていって、みんなが心の面で大きく成長していく姿を近くで感じられて……もう親の気持ちで見守ってしまいますね。辞退という異例の結果にはなったけれど、みんなの気持ちがひとつになった瞬間で、9-tieにとって大切なターニングポイントだったと感じます。ひとりひとり自分の名前を書いた理由はさまざまだと思いますが、根っこの部分にあるものは似てるんじゃないかな、と想像しました。演じていても見ていてもつらかったけれど、三次審査を通してみんなのことがよりいとしくなりました。

――改めて９人そろって路上から再出発したメンバーたちに送りたい「エール」は？

南雲　「SELECTION PROJECT」という大きな後ろ盾がなく、まっさらの状態から作曲、衣装、ダンス、すべてを自分たちの手で始めることは、並大抵のことではないですよね。そのうえみんな学校に通ってバイトもしながら、関東に集まって練習してるんです。それだけ本気で全員が頑張ってる、けれど、現実はそう甘くなく、世間の無関心が心に深く刺さるシーンもありました。気持ちがわかる分、とても胸が痛かったです。こんなにステキな女の子たちなのに知ってもらえない、リアルな厳しさに歯がゆい気持ちが収まりませんでした。けれど、そんなときも彼女たちを支えてくれたのはメンバーの存在だったんだと思います。不安に心が折れてしまいそうになっても、みんながいたから進んでこられた。誰かのことばが別の誰かを励まして、それが全員に、そしてエールをくれる人たちへ伝わっていく……最高にエモい展開ですよね。もう泣きそうです。そんな姿、応援するしかありません……！　この９人なら、どんなことがあっても乗り越えていけるって、どこか安心している自分がいます。みんなに負けないよう、私も頑張ります。そして、最愛の9-tieへ、これからもエールを送りつづけます！

――「SELECTION PROJECT」という作品に参加した感想、またリアルライブ出演への期待を含め、ファンへメッセージをお願いします。

南雲　私がこの作品にかかわらせていただけたことは、本当にこれまで生きてきた分の運を全部使ったと思うくらいの奇跡だと感じています。冗談でも大げさでもなく、「セレプロ」に出会えて人生が変わりました。毎話衝撃的な展開にドキドキヒヤヒヤしながらも、キャラクターといっしょに自分も成長していく感覚があって、それがうれしくて尊くて、幸せでした。作中では苦しくてせつない出来事もあったり、不安になるときもありましたが、ひとつ何かを乗り越えるたび、みんながどんどん好きになっていって……ずっと心が忙しかったです(笑)。改めて、「SELECTION PROJECT」という愛あふれる作品に、広海としてかかわらせていただけたこと、心から感謝します。作品にかかわる皆さま、ご覧くださった皆さま、本当にありがとうございます。9-tie初のワンマンライブも開催ということで、広海と、9-tieのみんなといっしょに、全力のパフォーマンスをお見せします！　自分自身初めての経験だらけではありますが、みんなでたくさん準備や練習を重ねてきました。応援していただけることのありがたさ、うれしさ、「セレプロ」を通して感じた感謝の気持ちを乗せて、チアーズの皆さまに届けます。ぜひ見守っていただけたらうれしいです！　これからも「SELECTION PROJECT」、9-tie、そして広海の応援、よろしくお願いいたします！