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新人警察官の川合麻依は、パワハラで刑事課から飛ばされてきた巡査部長の藤聖子と出会ってから人生が激変! 仕事はできるが理不尽な藤、取り調べは天才だけど他はてんでダメの源誠二など、愉快(?)な先輩や同僚に振り回される日々を送ることになり……!?
警察官たちのリアルな日常を描いたコミック「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」(以下「ハコヅメ」)のTVアニメが好評放送中。今回は、源や山田が所属する捜査一係の紅一点・牧高美和を演じる花澤香菜さんに、演じるキャラクターや作品の魅力について前後編でうかがいます。
――「ハコヅメ」という作品に最初にふれたときの感想を教えてください。
花澤 これまでの出演作品で警察官を演じることは何度かありましたが、そのなかでも「ハコヅメ」は警察官や警察という仕事そのものを特に身近に感じられる作品です。かっこよく事件を解決する姿ではなく、普段の地味な日常をしっかりと描いているうえに、長時間かつ地味な勤務の実態も明らかにされていて。軽快なギャグと、時にシリアスなエピソードを織り交ぜながらバランスよく描かれる日常がおもしろくて、夢中になって読みました。
――今までにはない、警察ものとしての視点ですね。
花澤 キャラクターが個性的なのも魅力です。アニメでは、キャストの演技によって、その魅力を存分に引き出せています。オーディションでは、牧高のほかに(川合)麻依ちゃんと藤部長も受けたのですが、麻依ちゃんについてはどうしてもイメージがつかめなかったんです。後日、収録で(若山)詩音ちゃんの演技を聞いた時には、「これが麻依ちゃんだったんだ」とすごく腑に落ちました。
――牧高はどんなキャラクターだと思いますか?
花澤 司馬遼太郎オタクで、新撰組と仕事内容が似ていそうだからという理由で警察を仕事にした不思議な女の子です。ただ、ふだんの牧高については、なかなかつかみどころがないなとも思っています。表情は困っているようにも見えて、喜怒哀楽を表に出しません。また、司馬遼太郎に関する部分以外では、自分のことともあまり語らないので、原作をよく読んで丁寧に牧高にアプローチしました。
――藤や川合ともうまく距離感をキープしているように感じられます。
花澤 そうですね。あまり表だって感情を表現していませんが、藤と川合には数少ない女子警察官として心を開いているんだなという場面もたくさんありますし、彼女たちが仲間でよかったなと思います。男性警察官は意外と優しいのですが、男性が苦手な牧高にとっては、なかなか辛い環境だなと思いますし。
――趣味である歴史小説を語るシーンは、どのように感情移入をしましたか?
花澤 何かに没頭する牧高の気持ちもよくわかりますし、何か機会があったら語りたくなる気持ちに共感します。私も、マニアといっていいほどパンが好きだからです。声優になっていなければ、きっとパン屋になっていたんだろうなというほど。オススメのパン屋を尋ねられると、その店の特徴をはじめ、系譜や歴史まで語って止まらなくなってしまうすんです。それを聞いてくる人もあまりいなくて。まさに牧高と同じ状態ですね(笑)。
――そんな牧高にとって、藤や川合はどんな存在でしょうか?
花澤 頼りになる同僚ですね。藤は先輩として牧高のことを支えてくれ、これからのエピソードでも描かれますが、牧高のことを優しく守ろうとしてくれます。そんな二人のためなら、牧高も喜んで一肌脱ぐと思います。
――川合はいかがですか?
花澤 麻依ちゃんは牧高のことをよく気遣ってくれるやさしい後輩です。警察官としてはふだんはポンコツ気味ですが、麻依ちゃんのふと思いついたひと言や言動が核心を突いていることがよくあるんです。発想力が優れているんだなと思います。ふだんは「この子、大丈夫かな」と心配をしてしまうような麻依ちゃんですが、警察官としての伸びしろを感じますね。
――牧高は、何だかんだと同僚に恵まれていますね。
花澤 そう思います。ただ、職場は本当に大変そうですけどね。みんなだいたいいつも疲れていて、休憩なしで犯人の張り込みをしたり、防犯カメラを精査したりととても過酷です。同僚や先輩警察官は愉快なメンバーが揃っていると思いますけが、自分が仕事としてできるかと言われると疑問ですね。声優になっていなかったらパン屋になっていたかもと先ほど言いましたが、警察官になるとは冗談でも言えないです(笑)。そんな警察官の皆さんが、私たちの生活の安全を支えてくれていると考えると、本当に頭が下がります。
【取材・文:星政明】