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2021年3月5日、2021年度に最も活躍した声優を讃える第十六回声優アワードの受賞者が発表されました。本稿では、新人女優賞を受賞した矢野妃菜喜さんへのオフィシャルインタビューをお届けします。
――新人女優賞の受賞、おめでとうございます。今のお気持ちは?
矢野 いやもうビックリしました。声のお仕事は数年前からやらせてもらっていますが、私のようなペーペー中のペーペーにこんなすてきな賞をいただけるなんて!(笑)
――とくに「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」(以下「ニジガク」)と「ワンダーエッグ・プライオリティ」(以下「WEP」)が評価された形ですが、ご自身ではどんな1年でしたか?
矢野 このようなネームバリューのある作品に出演させていただくことができて光栄だなと思いつつも、こればかりは巡り合わせなので、幸運だったとも感じています。いずれにしろ、2021年はいろいろなことを体験させていただけて、とても濃い1年になりました。
――矢野さんは子役時代から芸能界で活躍されています。声優に転向したきっかけはなんだったんですか?
矢野 高校3年生のときに事務所のマネージャーさんから声をかけていただいて、そこで初めて声優さんという職業があることに意識が向きました。それまで実写での演技経験はあったんですけど、やってみたら声だけでお芝居をするのはすごく難しかったんですね。それが悔しくて、もっとできるようになりたいという一心で勉強するようになりました。私は身長が低いので、舞台や実写だと演じられる役柄が限られるんですが、アニメではそれがないですし、何なら人間以外のキャラクターも演じることができるのは新鮮で、そこにいちばんの魅力を感じました。
――声優として転機となった作品はありますか?
矢野 2019年に「キャノン・バスターズ」という作品でレギュラー出演させていただいたんですが、周りの先輩がみなさんそうそうたる顔ぶれで、そこでいろいろなことを吸収できたのは大きかったと思います。ワークショップの先生から「上手くなったね。何をしたの?」って聞かれて、その時に「現場に出たからだ!」って気づきました。
――その翌年には「ニジガク」で高咲侑を演じています。すでに出来上がっているメンバー内に、TVアニメから参加するのは不安もあったかと思います。
矢野 そうですね。ニジガクのメンバーはみんな本当に仲がいいので、最初はうまくなじめるかなっていう不安もありましたし、侑ちゃんは主人公だけどスクールアイドルではないというのもまた難しくて、そこはスタッフさんと入念に相談しながら役作りをしていきました。
――メンバーにうまくなじむことはできましたか?
矢野 できたと思います。侑ちゃんはゲームで言うところのプレイヤー目線なので、とにかく「メンバーみんなのことを知らないと」と思って、ゲームはもちろん過去の活動もできる限り遡ってチェックしたんです。もともとアイドル好きなので、すぐにみんなのことが好きになりましたし、そういう状態でアフレコに臨むことができて、それがよかったのかなと思います。
――「ニジガク」での矢野さんと言えば、生放送での「ヒトリダケナンテエラベナイヨー」というセリフでも有名ですよね。
矢野 あれはもともと生放送の台本に書かれてあったセリフを私なりに自由に発しただけで、狙っていたわけではないんです。話題になるなんてまったく思っていなくて、私がいちばんビックリしてます(笑)。
――翌2021年に放送された「WEP」では、メインキャラクターのひとりである沢木桃恵を演じられました。
矢野 それまで桃恵のような中世的なキャラクターを演じる機会がなかったので、オーディションに受かったときは喜びよりも不安のほうが大きかったです。ただ「WEP」はアフレコの前に読み合わせの場が設けられていて、そこでかなり丁寧にキャラクターを掘り下げることができて、そのおかげで桃恵をグッとつかまえることができた気がします。
――世界観もキャラクターも重層的で、難解で個性的な作品に仕上がっていますよね。
矢野 そうですね。台本をもらっても理解が追いつかず、現場では最初にみんなで集まって「これはどういうこと?」ってすり合わせるのが恒例行事で(笑)。アフレコもひとつひとつのセリフに徹底的にこだわっていて、かなり長い時間をかけて収録したんですけど、最後まで「難しい」と感じながら演じていましたね。
――「WEP」を通じて成長した部分はありますか?
矢野 桃恵のような役柄が初めてで、「私ってこんなに低い声も出せるんだ」という発見をはじめ、いろいろな一面を引き出していただけた現場だと思います。とても刺激になりました。
――今後、演じてみたいキャラクターはありますか?
矢野 いろいろとあるんですけど、侑ちゃんや桃恵のお芝居を通じて、自分の声ってわりとボーイッシュに聞こえるんだということを再確認できたので、少年役に挑戦してみたいです。
――では最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。
矢野 私ひとりの力ではなくて、いつも支えてくださるスタッフさんやファンのみなさんあっての受賞だと思っていて、改めて感謝の気持ちが高まりました。これからも精進していきますので、ぜひ今後とも応援していただけたらうれしいです。よろしくお願いします!
【取材・文:岡本大介】