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2022年3月5日、2021年度に最も活躍した声優を讃える第十六回声優アワードの受賞者が発表されました。本稿では、新人女優賞を受賞した稗田寧々さんのオフィシャルインタビューをお届けします。
――まず、受賞を知ったときのお気持ちをお聞かせください。
稗田 今もふわふわとした気持ちというか、あまり実感がなくて。すごくびっくりしたんですけど、声優アワードは数々の先輩方が受賞されていますし、自分が声優として活動するなかでのひとつの目標でもあったので、選んでいただけて本当に光栄だし、うれしかったです。
――稗田さんが初めてTVアニメのメインキャラクターを担当されたのが、2018年の「ガンダムビルドダイバーズ」ヤシロ・モモカ役でしたね。
稗田 たしかこの「ガンダムビルドダイバーズ」のオーディションに受かったのが事務所に所属して2年目の終わりくらいで、まだアニメ作品のオーディションに受かったこともなかったし、アフレコ経験も片手で数えるくらいしかなかった時期だったんですね。この仕事をあきらめようとは全然思っていなかったんですけど、やっぱり焦りが強くて不安も多かった時期にモモカと巡り会えたので、受かったときは泣くほどうれしくて。同時に「私にこんな大きな役が務まるのかな?」という不安も大きかったのを覚えています。でも、2クールあったので役と向き合う時間も多かったですし、何度も何度もミスしたり、思うようにできなかったりしたところもいっぱいあったんですけど、音響監督さんも粘って付き合ってくださったり、周りの先輩方もマイクワークとかを優しく教えてくださったりして、すごく温かい現場でした。いまだに「ガンダムビルドダイバーズ」でいっしょだった先輩方に現場で会うとホッとするし、うれしくなるんですよね。人間関係もそうですし、キャリア的にも原点になった作品という認識が自分のなかでもすごくあります。
――2020年10月からは「戦翼のシグルドリーヴァ」(以下「シグルリ」)六車・宮古役、2021年1月からは「弱キャラ友崎くん」泉優鈴役を演じられました。
稗田 「ビルドダイバーズ」の後、1年くらいアニメのオーディションに全然受からなくて、「やっぱり私、この仕事に向いていないのかな?」と不安だった時に決まったのが「シグルリ」の六車宮古でした。今だから言えるというのもありますけど、テープオーディションのときから宮古というキャラクターには運命みたいなものを感じていて、受かったときはすごくうれしかったし、宮古に救ってもらったなという感謝の思いもありました。放送が終わった今も「『シグルリ』の宮古で稗田さんのことを知りました」という方がすごく多くて、それくらい印象的なキャラクターだったんだなと思います。アフレコは最初みんなで録れていたんですけど、途中から分散収録になってしまって。そのなかでもメインの4人ではいっしょに録らせてもらえていて、ほかの3人の方から学べる部分がたくさんあった作品だったなと思います。「友崎くん」の優鈴は宮古とはまた全然違ったキャラクターで、どちらかというと等身大に近いというか、今どきの女子高生という感じ。原作を読んでから作品に挑んだんですけど、優鈴が自分の立ち回りとかで苦悩する話は私自身も学生時代に感じていたことでもあったし、自分が経験してわかるからこそ、優鈴の気持ちをちゃんとアニメーションを通して見ている皆さんにうまく伝えたいなという気持ちが強くて、いろいろ考えて演じていたなという記憶がありますね。「友崎くん」の現場は、それこそいっしょに収録できなかった人もいるんですけど、キャリア的にも年齢的にも同世代の方がメインにいらっしゃったので、たくさん刺激を受けた作品でもあったなという感じがします。
――2019年からは声優ユニット「DIALOGUE+」のメンバーとしても活動されています。
稗田 私自身、女性声優さんのユニットが好きで、あこがれもありましたけど、まさか自分がやるとは思っていなくて。しかもDIALOGUE+はいっぱい踊るし、歌も難しいし、練習もすごく大変なんです。そういう「歌って踊って」は演技とは関係ないようにも見えますけど、体力面や発声の面でお芝居にいきるところもあるし、自分が役として出ているだけじゃないところでの作品とのご縁があったりとか、あとはユニット活動をしていなかったら出会えなかった人たちとの出会いもあったりして。もちろん私のなかで声のお仕事をいちばんの軸として頑張っていきたいという気持ちはずっとあるし、それは変わらないんですけど、この3年くらいDIALOGUE+をやってきて、もはや家族みたいな感じなんですよ。メンバーもスタッフさんもすごく仲がよくて、大好きな現場だし、ライブも本当に楽しいので、自分が置かれている今の恵まれた環境を大切にしていきたいという気持ちで頑張っています。
――これから演じてみたい役柄や、出演してみたい作品はありますか?
稗田 いっぱいありますけど、自分が子供のときに見ていたような朝の作品でメインをやってみたいなという気持ちはずっとありますね。あと、私は年間200本以上見るくらい映画が好きなので、吹替えのお仕事も徐々にやっていけたらなと思っています。でも本当に、どんな作品、どんな役柄でもいいから挑戦したいというのが正直なところで、どんな形であれ私はできるだけこの声優という仕事を続けていきたいなと思っています。
【撮影:田上富実子/取材・文:仲上佳克】