約400人が参加したオーディションから選ばれた、声優7人によるボーカルユニット・Kleissis(クレイ・シス)。2018年7月のデビューから、彼女たちは2枚のシングルリリースやイベント出演、動画配信などの活動を重ね、独自の世界観を確立してきました。今回は2ndシングルの発売を記念して、7人のメンバーから茜カスミ役の田中有紀さん、林堂アキラ役の富田美憂さん、麻木ユン役の髙橋麻里さん、橘ミオ役の元吉有希子さんの4人に同シングルとこれまでの活動、そして今後について伺ってみました。
――10月31日に発売した2ndマキシシングル「Another Sky Resonance」(以下「ASR」)について、まず表題曲がどんな曲か教えてください。
田中 Kleissisは歌詞に重きを置いているので、「ASR」もぜひ歌詞を観ながら聴いていただきたいです。特に聴いてほしいのは落ちサビの部分。「はっ」の口で「ふっ」と発音して歌うようにディレクションを受けて……すごく頑張ってレコーディングしました。
髙橋 「Kleissisは曲が強い」とよく言われるんですけど、「ASR」もそれがわかる1曲だと思います。個人的には1stシングル「Kleissis Chaos」より7人の歌声に一体感が出てきたと思いますし、それぞれの成長も感じられました。
富田 「Kleissis Chaos」は自分の心情を歌っている曲でした。しかし「ASR」は歌詞に「君」とあるように、誰かに向けて歌っている曲です。ですので、レコーディング時はファンの皆さんのことを意識して歌いました。
元吉 カップリング曲と合わせて2ndシングル自体の話ですが、「ASR」がみなさんにまっすぐ届く地上の音楽だとすれば、「逆さまの世界にて」は天上から降り注ぐような音楽というイメージがあります。
――「ASR」はラスサビ前の英語の歌詞の部分が印象的でした。あのパートはどなたが歌っているのでしょうか?
元吉 私です。英語を喋るのは全然なんですけど、歌割りが早々に決まっていて。頑張りました。
髙橋 私の前に収録していたのがもっちゃん(元吉さん)だったので、もっちゃんが歌ったものを聴かせてもらったんです。その時にスタッフが「英語は元吉さんだね」と仰っていて。超かっこよかった~!
元吉 イベントでもファンの方から「あのパートが強い」と言ってもらえて、嬉しかったです。
――元吉さん以外の3人もソロバージョン用に歌われたと思いますが、いかがでしたか?
田中・髙橋・富田 難しかったです!
富田 私はわりとレコーディングが早く終わるタイプなんですけど、今回は苦労しました。英語の部分はほかのメンバーの歌を参考にして臨もうと聴かせてもらったんですけど、やっぱりもっちゃんのが上手すぎて。そこだけ外国のアーティストの方が歌っているのかと思って「誰ですか?」と聞いちゃいましたよ。
元吉 でも最近はそこをモノマネとかしてイジられてるんですよ。
田中 愛されてるんだよね。
――(笑)。その元吉さんが天上の音楽と表現されていた「逆さまの世界にて」はどんな楽曲ですか?
田中 先ほどはKleissisは歌詞が重要と言いましたが、「逆さまの世界にて」は壮大なイントロから始まって、もう最初からずっとクライマックス。私たちの歌もそうですし、インストバージョンもじっくり聴いてほしいです。
富田 リリースイベントではハモリをアカペラで披露した際に、Kleissisは7人で活動していると改めて実感したんです。特に「逆さまの世界にて」はそれぞれの声の個性が喧嘩せず、ひとつのハーモニーになってみなさんに届けられたのではと思います。
髙橋 切なさや後ろめたさが込められた歌詞なので、私たちの女性らしい部分が乗っていますね。あとダンスの面でもチャレンジした楽曲なので、ライブを観ていただければ魅力が何倍にもなるはずです。
――冒頭の各自がポーズを取るところは、それぞれが考えられたそうですね。続いて今回の新衣装のお気に入りポイントを教えてください。
富田 白い生地全体に刺繍が入っていて、どこから見てもキラキラするんです。すごくライブ映えしますね。
髙橋 くるりんとした時、スカートがふわりんとするところが好きです!
田中 1stシングル時の衣装は前に“あみあみ”があったんですけど、今回は後ろに、しかも色付きであって。そこがお気に入りポイントです。
元吉 「ASR」でバッとみんなが後ろを向くダンスがあるんですけど、そのときにバッとみんなの色が見えるのがかっこいいです。
――ここからは2ndシングルから離れた話を伺います。ほかのユニットやソロで歌われているメンバーもいますが、Kleissisとしてパフォーマンスする際に意識していることはありますか?
富田 私はダンスが得意でないのもあって、当初は自分のパフォーマンスをすることでいっぱいいっぱいでした。でも私の声はマイク乗りがいいみたいで、最近は、ソロパートでは思い切って個性を出して、7人でユニゾンする時は少し弱めに歌うことを意識しています。
元吉 Kleissisで歌うとき、私は世界観を伝えることを一番に意識していました。でもイベントを続ける内に伝えるだけでなく、その世界観に引き込みたいという気持ちが強くなってきて。先日のイベントではそれができたという実感があったので、今後も頑張ってきたいです。
髙橋 ソロで歌う部分では、前に歌っていた人から次に歌う人へバトンをつなぐよう意識しています。全員が参加できないリリースイベントでも、私は頭の中で7人のことを想像しながら歌っていますね。
田中 楽曲の世界観を表現するため、フワフワというよりはキレキレに歌うことをレコーディングやライブで意識しています。
――デビューから4か月が経ちましたが、思い出に残ってるエピソードはありますか?
富田 私はサンシャインシティ噴水広場での「ASR」リリースイベントです。イベント後のレッスンにいたメンバーで「こういうライブをしていこう」とか「今回の反省を活かして、Kleissisをよりよくするために私達に何ができるか」など話し合って、そこで改めてスタートを切れた感じがあります。私は1stシングル時の噴水広場でのリリースイベントに出演できなかったので、なおさら思い出深いです。
元吉 私はソフマップでの「ASR」リリースイベントです。「贖いのアリア」を歌っているときに泣いてる方がいるのに気付いて、しかもほかの方も心震わせながら聴いているのが伝わる空気で。私達のパフォーマンスをもっと磨いて、よりたくさんの人の心を震わせたいと思えました。
髙橋 Animelo Summer Live2018のけやき広場のステージが印象的です。私は声優になる前からアニサマのステージに出ることに憧れていて、その夢への一歩を踏み出せたかな、と。またその前日から台風が来ていたんですけど、私たちがステージに出る頃には晴れて無事に歌えました。すごく思い出に残る1日になっています。
田中 「Kleissis Chaos」のジャケット撮影の際に私の誕生日を祝ってもらえたことが、嬉しかったですね。その次にお祝いしたのが動画番組「みて!みて?Kleissis」の公開収録で、とみー(富田さん)の誕生日でした。その日はファンの人とも一緒だったんですけど、今後もみんなでいろんな記念日を祝っていきたいです。
――一緒に活動してきて、印象的なメンバーはいますか?
元吉 ダンスの面ではずっと麻里ちゃん(髙橋さん)を先生だと思っています。レッスン動画も麻里ちゃんのことばかり観て。
田中 ターンとか滅茶苦茶きれいだよね。
元吉 そうそう。麻里ちゃんにはダンスとか、ステージ上での振る舞いとかいい影響を受けています。
髙橋 私はもっちゃんの歌です。私の歌い方や声質と正反対なので、「マネをすれば歌唱力が上がるんじゃないか」と思って練習しています。
元吉 でも麻里ちゃん、私の歌い方をすぐイジるよね(笑)。
髙橋 一時期、楽屋で流行ったよね、もっちゃんの歌マネ!(笑)
田中 私ももっちゃんの低音がすごく素敵だと思い、「そういう表現もできたらいいな」という憧れはあります。
富田 私は山ちゃん(山根綺さん)の表情がすごく好き。世界ができあがっているというか、表現方法のひとつとして学ばされます。あと、よく一緒にご飯に行きますね。最近だとしゃぶしゃぶとか。
田中・髙橋・元吉 いいなー。
――仲がいいんですね。それではKleissisとしての目標を教えてください。
田中 もっと大きなステージに羽ばたきたいです。そのためには歌もダンスもまだまだ成長しなければいけないので、メンバー間でもいろいろ話し合って、一歩ずつ前に進んでいきたいです。
――具体的に立ちたいステージはありますか? 最後は全員で一斉に答えて、息の合ったところを見せてください。
田中 夢は大きくいこうね。せーの。
田中・富田・元吉 武道館。
髙橋 さいたまスーパーアリーナ。
一同 (笑)。
元吉 やや(山根綺さん)が最初から「武道館に行きたい」と言っているので、それにみんな乗っかった形ですね。
田中 まずは武道館。そこからアリーナ、ドームとさらに大きなステージに挑みたいです。
インタビュー・文・撮影:はるのおと