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2018年1月9日(水)より放送がスタートするTVアニメ「盾の勇者の成り上がり」。その放送を記念して、スタッフ&キャストによるリレー連載をお届けします。
第3回は、主人公・岩谷尚文役の石川界人さんが前後編にわたって登場。前編では、尚文というキャラクターをどうとらえ、どう演じているのかについて語っていただきました。
――本作のシナリオを読まれての感想はいかがでしたか?
石川 昨今、流行っている「異世界転生作品」と呼ばれるジャンルに分類されるのかなと感じたんですが、想像していたよりも主人公の能力が強くなくて、「こういう作品もあるんだな」って新鮮な印象を受けました。
――確かに「異世界転生作品」には、主人公が強い能力を授かって、その力で敵をなぎ倒していくというイメージがありますよね。
石川 僕自身、「異世界転生作品」にそれほど多く関わってきたわけでも、たくさん読んでいるわけでもないので、探せばきっと主人公がそれほど強くなく、しかもどんどん追い詰められていくという作品もあるのかもしれませんが、僕にとっては新しく感じられました。主人公の尚文にダークヒーロー的な側面があるのも面白かったですね。
――細かい設定もありますが、作品には入り込みやすかったですか?
石川 ゲームのような世界観がベースにあるので、とても入り込みやすかったです。この世界の仕組みがどうなっているのか、自分でロジカルに考えなくても感覚的にわかるように描かれているので。
――では、尚文の第一印象についても聞かせてください。
石川 最初は、ごくごく普通の大学生だなと。本人も言っていますが、尚文ってただのオタク大学生なんです。そのオタク大学生が、大好きなアニメを再現したかのような世界に召喚されて、夢と希望を持って冒険をしようとする。それはもう、ワクワクしますよね。そのワクワクしている姿が、年相応の若者っぽくていいなって思いました。
尚文のダークヒーロー感は、もともとそういう気質があったのか、それとも裏切られたことによってそういう気質が突然生まれてしまったのか。実際どっちなのかはぜひ本編を見ていただきたいのですが、それぐらい性格の変化がはっきりしているなと感じました。
――尚文のような「普通の大学生」は演じやすいものなのでしょうか?
石川 等身大で演じられるぶん、掴みやすい気はします。僕は25歳なので20歳の尚文よりは年上ですが、けっして年齢が離れているわけではないので、彼の振る舞いも違和感なく受け入れられましたし、変に役を作り込むこともありませんでした。
――アフレコではどんなことを意識しましたか?
石川 早い段階に尚文の性格がはっきり変わるので、そういう布石は打っておいたほうがいいのかなと思い、普通の大学生の状態のときにもその後の性格を意識したお芝居を入れたんです。ですが、音響監督から「別のキャラクターになってしまうくらい、がらりと変えて構わないです」というディレクションをいただいて。最初は普通の大学生、その後はその後というふうにはっきりとわけるようにしました。
――短いスパンの中で性格が変化するキャラクターを演じるのはやはり難しいものですか?
石川 そうですね。「自分が主人公だ!」という気持ちで役に入り込むと、特に(笑)。主人公の変化って、話数を重ねていくごとにいろんな経験を経て、徐々に徐々に新たな覚悟が生まれたり、成長したりするものだと思っていたんですが、この作品はそうではないんです。言ってしまえば第1話の後半でがらりと変わってしまう。最初はその変化を表現するのは難しいなと感じましたが、その変化こそが尚文の魅力でもあるので、一生懸命やらせていただきました。
――実際に尚文を演じられて、新たに気付いた魅力はどんなところでしょうか?
石川 脅迫……ですかね。
――脅迫、ですか!?
石川 この作品において、脅迫、恫喝、暴力というのはかなり大事な要素で。それが覚悟の決まった尚文らしさをあらわしているんですが、その脅迫の仕方が思いのほかかわいいんです。悪いことでもなんでもやってやると決意しつつも、もとの尚文らしさがふいに出てしまうところがあって、それも尚文のよさだなと思いました。ぜひ、脅迫シーンに注目してみてください。
――アフレコ現場の様子はいかがですか?
石川 この作品のアフレコ現場は気心の知れた顔なじみの役者さんがが多いんです。誰がどういうお芝居をされるのかある程度想定できる部分も多かったので、僕自身も奇をてらうことなくストレートに演じることができました。居心地のいい空間で、ほどよい緊張感と安心感の中、アフレコに臨めました。
――石川さんは本作では座長的な立ち位置でもありますが、役者陣をまとめるようなことはあったのでしょうか?
石川 座長って本来、現場の雰囲気づくりをするような立ち位置だと思うんですが、皆さんに何かしたかというと、たぶん何もできてないような気がします(笑)。ただ、ゲストでいらっしゃった役者さんが変に緊張することなく、伸び伸びとお芝居できる環境づくりができればいいなとは普段から考えていて。意識的にゲストの方と話すようにしていますし、スタッフさんとの会話から「この作品ではこういうディスカッションをしています」という作品づくりの方向性を示せるようにしています。
――ところで、もし石川さんが四聖勇者の一人になるとしたら、どの武器を装備してみたいですか?
石川 全部、いらないですね! 戦いたくないです。戦うと、ほら、叫ぶじゃないですか。喉に負担がかかるんです。それはやっぱり避けたいですね(笑)。結局、四聖勇者の武器の違いって戦闘スタイルの違いがほとんどで、どの武器も戦うことが前提になるので。それでも強いて挙げるなら……守ることに徹する盾でしょうか。
――とはいえ、盾の勇者も攻撃を受けながらたくさん叫ぶイメージがあります。
石川 叫びますね。うん、叫びました。でも、いろんな叫び方があるのは面白かったです。復讐心から出てくる怒りによって腹の底から叫ぶこともありますし、戦闘で目の前の危機を切り抜けるために叫ぶこともありますね。
――喉への負担も大きかったのでは?
石川 大きかったですね(笑)。でも、やりがいはありました。
――さて、まもなく第1話の放送がスタートします。石川さんはすでに第1話をご覧になられているんですよね?
石川 先に見させていただいたんですが、とにかく映像が綺麗です。キネマシトラスさんの画の力、こだわりが感じられて、これがより激しい戦闘シーンになったら、もっとすごいことになりそうだなと期待が高まりました。
――第1話は1時間スペシャルです。
石川 通常のアニメでいう2話分あるので、尚文が異世界に召喚され、盾の勇者になり、なぜ裏切られ、なぜ成り上がろうとするのか、その一連の流れがしっかり1話の中に収まっています。絶対に続きを見たくなる第1話なので、期待していただきたいです。
――放送を楽しみにしています!
石川 PV第1弾で尚文が語っていますが、信頼、金、名誉、勇者としての尊厳、すべてを失った尚文が、いかにそれらを取り戻してくかという物語でもあるので、彼が最終的にどこへ行き着くのか最後まで見守っていてください。
【取材・文:岩倉大輔】