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'19年10月から放送されている「七つの大罪」のTVアニメ最新シリーズ「七つの大罪 神々の逆鱗」。〈七つの大罪〉と〈十戒〉との戦いを中心に描かれる今シーズンも、いよいよ来年1月からの第2クールで佳境へと突入します。そこでWebNewtypeではメリオダス役の梶裕貴さんとゴウセル役の髙木裕平さんへのインタビューを2回に分けて公開。前編は第1クールの印象やアフレコ現場のようすについて語ってもらいました。
――「七つの大罪 神々の逆鱗」第1クールを振り返っての感想をお願いします。
梶 最初のシリーズでは「七つの大罪」の世界観やキャラクターの魅力という“陽”の面で楽しんでいただき、次のシリーズでは、それぞれの過去だったりキャラクター同士の関係性が見えてきて。そして今回のシリーズではそこをもっと深く掘り下げる“陰”の面を見せている内容だと感じています。自分が演じているキャラクターだと、メリオダスからはこれまでなかった表情がどんどんと見えてきている気がしますし、ゼルドリスもただの敵キャラというわけではなく、理想や信念をもって動いているというのが見え始めていますし。
髙木 1クール目はこれまでの伏線、それこそゴウセルの過去だったり女神族と魔神族の争いだったりといった謎が解けてきて、より世界観として厚みを増しましたよね。そんななかで1クール目の終盤からメリオダスが怖くなり、しかもそれに拍車がかかっていきそうで。
梶 心が抉られる展開が続いて、見ているほうとしてはしんどいよね。
髙木 やってるほうもしんどいですか?
梶 そうね。でも今回はメリオダスが感情を吐露したり、過去が明らかになったりするのが新鮮で、いよいよ本当の意味で彼にかかわって演じられている感覚もあって。ただ視聴者の皆さんもそうだと思いますけど、僕も初期のメリオダスが好きなので、そういった面を演じる機会が減っているのが寂しいです。
――そういったシーンがたまにあるとうれしいですか?
梶 はい。なのでゲームやCMでいつものメリオダスを演じると「帰ってきたな」という感じがします。アニメの最新シリーズはちょっと出張に行っているというか(笑)。
髙木 僕は今のアニメのメリオダスも好きですよ。エリザベスへの愛情を隠さず、すべての行動の根底に彼女への思いがあるというのがカッコいい。
梶 すべてを犠牲にしてでも、彼女のために行動しているからね。
髙木 それくらい人を好きになってみたいですね。シビレます。
――1巻のころはセクハラばかりしてたのに。
梶 それも愛なんですよ(笑)。思いは変わらず、どう伝えるかが違うだけで。でもいつかまた、あの頃に戻ってほしいです。
髙木 セクハラをしたいと。
梶 そういうシーンを演じたい、かな(笑)。
――ゴウセルとしての演技を振り返って髙木さんいかがですか?
髙木 ゴウセルはだいぶ転機がありましたね。おかげでこれまでのシリーズとは違った演技に挑戦していて、たとえば振り向くアクションがあったときに、これまでだとゴウセルはただ振り向くだけだったのが、そこに感情や意味を乗せるようになった。そうしたカラーバリエーションが増えたゴウセルを演じられて楽しかったです。
――なるほど。
髙木 元々ゴウセルは白がイメージカラーだったそうです。確かに言われてみればゴウセルは真っ白で何にも染まってないのがピッタリだなと思っていたけど、今回のシリーズで色がついてきた。ここまで想定してイメージカラーなどを設定していたと考えると、改めてすごい作品だと思います。
梶 鈴木央先生のなかでは、当然全体的なプランがあって設定しているだろうけど、僕たちは連載が進むたびに少しずつその理由を知っていくから驚くことが多いよね。本当に読者、視聴者の皆さんといっしょにここまで歩んできました。
――皆さんは原作をどう追ってるんですか?
梶 コミックス派、連載派と人それぞれですけど……最新の展開は現場でも話題になるので嫌でも先に知っちゃうことも多いんですよね。
髙木 最近だと(バン役の鈴木)達央さんが「メリオダス、すごいことになってるね」とか言って。
梶 匂わせてくるんだよね(笑)。今の連載だとメリオダスもそうだし、ゼルドリスの印象もかなり変わっている。この状態を知っていたら、もしかしたらゼルドリスの演技の入り口も違っていたかもしれないな、なんてと思いますけど(笑)、ここからどう変えていくか……気が早いですが、もし「七つの大罪 神々の逆鱗」の次のアニメがあるなら、そこに挑戦していくことになるんでしょうね。
――共演者との印象的なエピソードを教えてください。
髙木 梶さんはいらっしゃらない回でしたけどゴウセルのガッツリした過去話をする第8話「人形は愛を乞う」で、達央さんから恋人役のキャストさんとの現場での距離感についてアドバイスをいただいたんですよ。「この空間でだけは俺の女だ」くらいに近づくという心意気を教えてくださって。「さすが、素敵だな」と思ったんですけど、その話をしたのが収録後で(笑)。
梶 確かに達央さんからは「俺の女だ」オーラを感じますね。役者のタイプによっていろんなやり方があるとは思うけど、そういうアプローチも素敵かもしれませんね。
髙木 僕は人見知りなので現場で心の距離を縮めるのが苦手で……そう言えば僕と(ナージャ役の)麻倉ももさんが遠くに座っていたので、達央さんが「こっちに来いよ」と僕を誘ってくださったんですけど、それも「いやいやいや」と断っちゃって。
梶 まあまあ、その気持ちはわかるよ。でもコミュニケーションは確かに取ったほうがいいかもね。
髙木 梶さんはコミュニケーション能力がすごいじゃないですか。もう息を吸って吐くようにコミュニケーションする。「さすが団長!」という。
梶 髙木君の目には僕がそんなふうに映ってたの?(笑)
髙木 現場の端っこにいる人がポソっと言ったひと言もちゃんとリアクションする。あのアンテナの広さは半端じゃないですよ。
梶 それは、もしかしたら座長がどうという前に性格もあると思うし、僕自身が、みんなが居やすい空間がいいと思うからなんだよね。自分が新人だった頃とか、今でもゲストでお邪魔したときに緊張するタイプだから、逆にそういう人たちが少しでも楽に現場にいられるにはどうしたらいいのかは、どうしても考えちゃうんだよね。
髙木 今回、現場の空気がいつもと少し違うことが多かったですけど、そのときも空気をよくしようと頑張ってくださって。
梶 今回のシリーズでは、〈七つの大罪〉のメンバーが集まる機会が少なく、新キャラクターを演じられる役者さんが多かったからか、毎回違う現場かのような緊張感があったね。だからこそ、〈七つの大罪〉全員が集結する回なんかは、「帰ってきたな」という安心感があった。みんなが自然といつもの調子にしてくれるし、僕をイジってもくれるし(笑)。エピソード的には、対立したり離れたりすることも多かったけど、やっぱり〈七つの大罪〉メンバーが揃うと、僕自身過ごしやすい空間なんだなと改めて感じました。
【取材・文:はるのおと】