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あてもなく、気ままに諸国を旅する少女・イレイナ。行く先々でさまざまな文化や慣習に触れ、幾多の人と出会いを果たしますが、旅人である彼女は決して一か所に留まることはなく、再び旅の途へと戻っていきます。これはまだ若き魔女の、出会いと別れの物語――。
好評放送中の「魔女の旅々(魔女旅)」は、原作・白石定規さん、イラスト・あずーるさんによる同名の連作短編式ファンタジーノベルを原作としたTVアニメです。WebNewtypeではそんな本作の魅力を掘り下げるべく、スタッフやキャスト陣へのリレーインタビューをお届けしています。連載第13回は、イレイナ役の本渡楓さんとフラン役の花澤香菜さんにお話をうかがいました。
――TVアニメよりも前に展開されていたドラマCDからフランを演じていますが、フランの印象はどのようなものでしたか?
花澤 フランは独特な口調をしていますので、それをどのようにお芝居しようかと考えをめぐらせるのは、楽しいひと時でした。私はこういう先生ポジションのキャラクターを演じられる機会があまりありませんでしたので、フランはすごく思い入れのある人になりました。自由奔放でイレイナを振り回してばかりですが。そんなところも含めて好きですね。
本渡 花澤さんのフランのお芝居に触れていると、私もついつい楽しくなってしまって。でも、イレイナはある程度冷静でいなければならないので、大変でした(笑)。
花澤 ドラマCDのイレイナとフランは、もう成熟した関係だよね。アニメでは時系列がさかのぼって2人の出会いからが描かれていますので、アニメのアフレコ現場では「この当時のフランは、ミステリアスさを残した感じでお願いします」とディレクションをいただき、それを心がけて演じました。
本渡 「あぁ、フラン先生とこんなにも距離感がある……」と、最初はさみしかったです!
花澤 私も第1話で「え、こんなにイジめるんだ!?」とビックリしてたよ(笑)。
――ドラマCDの頃は、演じる際にどのようなことに気を付けられましたか?
花澤 一つ目は「その時のフランが本当に言いたいことを理解しておく」ということです。ここをきちんと押さえておかないと"回りくどいことを言っているだけの人"になってしまいかねませんので。
二つ目は、フランというよりドラマCDというメディアの特徴のお話になるのですが、眼で文字を読んで理解できることと、耳で聞いて理解できることはまったく同じではありませんので、収録前に実際に声に出してみて、しっくりくる言い方を探しておくことに気を使いました。今回のTVアニメでは、イレイナにちょっかいをかけたくなる気持ちを抑えて、彼女に自分から動いたり、考えたりするきっかけを与えられればと。
――アニメから本作に入ると、真意が読みづらいキャラクターですよね。イレイナをいじめているかと思えばそれは両親に頼まれたことだといい、両親から依頼されるシーンでは「お金に釣られるわけでは……」と言いつつ報酬が入った袋にちゃっかり手が伸びていたり(笑)。
花澤 そうなんですよね。アニメより前にドラマCDでフランを演じられてよかったなと思っています。もしアニメで初めて演じていたら、私自身、どれが本当のフランなのかつかみそこねてしまっていたかもしれません。
――花澤さんは、イレイナのどういうところに魅力を感じますか?
花澤 第1話のとてもいじらしいところはすごく印象に残っています。ドラマCDでのイレイナは、こちらから打てばなんでも返してくる、漫才でいう頼れるツッコミ役みたいな子ですので。例えるなら、ナイツの土屋伸之さんでしょうか。ボケに対してツッコミをスパーンと返してくるのではなく、流しながらさばいていくと言いますか……(笑)。
本渡 例えが具体的すぎる(笑)。
花澤 でも、そんなイレイナにも自分のことすらよく分からない時期があったんだなあと感慨深くなりました。そして、それを踏まえてあらためてドラマCDのイレイナを見てみると「あの頃から比べると、自由になれたんだね」と一層愛らしく感じます。イレイナは見ていて応援したくなる女の子ですね。
――それでは、本渡さんから見たフランはどのような印象でしたか。
本渡 アニメを通して改めて思うのは、フラン先生は思いやりを素直に見せるのを照れくさく思ってしまうタイプなのかな、ということです。最初は私も手が届かない上空を飛んでいる蝶のようなつかみどころのなさを感じていましたが、アニメで若い頃のエピソードを見て、より身近に感じられるようになりました。
花澤 フランはヴィクトリカさん(魔女ニケ)へのリスペクトがすごいよね。こんなにマネばかりしているとは(笑)。
本渡 髪の色にちなんだ魔女名を付けるところもそうですよね。本当に大好きなんだなと。
――第10話では、若かりし頃のフランを演じられました。
花澤 なんだかイレイナに似ているかも、と本渡ちゃんのことを思い浮かべて「こんな時は、イレイナだったらどういう反応をするのかな」というのもまじえながら演じました。ただ、若いときからシーラという競争相手が身近にいてくれたことは大きな違いですね。第10話のあとは、きっとシーラとよい関係性を築けたのでしょう。彼女から多くのことを学び、少しずつ肩の力も抜けていったのだろうと思っています。
――シーラ役の日笠陽子さんとのかけあいはいかがでしたか。
花澤 お互いに10代の頃から知っていて、当時からずっといっしょにお芝居をしてきた仲ですので、とてもやりやすかったです。プライベートでもいっしょにご飯に行ったりしていますので、相棒のように感じることもありますし、遠慮なく感情をぶつけ合える関係だとも思っています。フランとシーラの関係にも通ずるものがあって、うまくシンクロしていたかなと思います。
――先日、日笠さんにもお話をうかがったのですが、お笑い好きの花澤さんはボケもツッコミも本当に鋭いので、話すときはいつも緊張感が走ると……。
花澤 うそうそ、そんなことないですよ! 緊張感なんてないですから! そんなプレッシャーをかけないでほしい!(笑)
本渡 私も、いつか花澤さんからスマッシュのように鋭いツッコミをいただけるようになりたいです!
花澤 本渡ちゃんはイレイナくらいに澄ましてくれていればいいよ! 「花澤さん、ちょっと今調子に乗ってますよ」っていなしてくれた方が私はうれしい(笑)。
本渡 それは難しそう……(笑)。でも、心にとめておきます! 私は学生の頃は演劇部に所属していましたが、部活の仲間たちにはアニメ好きが多くて、その子たちからよく花澤さんのお名前も聞いていました。今、それほどの方とごいっしょにお芝居できているのだと思うと、あらためて感慨深くなってしまいますね。
次回で「魔女の旅々」リレーインタビューもついに最終回! 引き続き、本渡楓さんと花澤香菜さんにお話をうかがいます!
【カメラマン:広瀬誠】