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あてもなく、気ままに諸国を旅する少女・イレイナ。行く先々でさまざまな文化や慣習に触れ、幾多の人と出会いを果たしますが、旅人である彼女は決して一か所に留まることはなく、再び旅の途へと戻っていきます。これはまだ若き魔女の、出会いと別れの物語――。 2020年10月から12月にかけて放送された「魔女の旅々(魔女旅)」は、原作・白石定規さん、イラスト・あずーるさんによる同名の連作短編式ファンタジーノベルを原作としたTVアニメです。WebNewtypeではそんな本作の魅力を掘り下げるべく、スタッフやキャスト陣へのリレーインタビューをお届けしてきました。最終回となる連載第14回は、前回に続きイレイナ役の本渡楓さんとフラン役の花澤香菜さんにお話をうかがいました。 ――花澤さんは本作でどのエピソードが印象に残りましたか? 花澤 やっぱり第1話ですね。まさかフランがイレイナにあんなに厳しかったとは……。真相を話してから、2人の間に確かな絆が生まれ、育まれたのもよかったです。ドラマCDは番外編的にコミカルなやりとりが多く、あそこまで真剣に自分の気持ちを伝えるシーンはなかなかありませんので、そういう意味でも演じられてよかったなと思います。ずっとイレイナと会いたかったでしょうに、旅を続ける彼女を笑顔で送り出す第5話も印象的でした。 本渡 ドラマCDではフランとずっとかけあいをしていましたので、アニメ第2話以降のアフレコで「あぁ、フラン先生がそばにいてくれない!」と旅のリアルさを感じました。 花澤 レギュラーといえるキャラクターは、イレイナだけだもんね。
――第1話のフランといいますと、イレイナに向かって鼻歌まじりに「じゃあ、パンで結構です」と言っているシーンを見て「パン好きの花澤さんがフランのキャラに漏れ出ている」と楽しんでいるファンもいたようです。 本渡 「これは花澤さんのアドリブかな?」って(笑)。 花澤 そうなんです、実はアドリブを入れたら採用されて……というわけではありませんからね! あのセリフは脚本通りです! パンは大好きですが混同しちゃダメですよ!(笑) ――「魔女旅」にちなんだ花澤さんご自身のお話もうかがえればと思います。イレイナのように旅や旅行をするなら行きたいところはありますか? 花澤 以前、一度だけお仕事でスイスに行ったことがあるのですが、朝起きたときにホテルの窓から見える一面の雪山が本当にすばらしくて! あの景色はいつかもう一度見たいなと思っています。山歩きが好きで小さい頃から高尾山によく登っていましたので、スイスで自然に囲まれながら山歩きできたらいいですね! ――本渡さんには以前単独でお話をうかがったときに「香辛料の豊富な国に行きたい」とのお答えをいただきましたが、花澤さんと一緒に行ってみたいところなどはありますか? 本渡 そうですね……江の島なんてどうでしょうか! 江の島シーキャンドル(展望灯台)に行くときの海を渡る長い橋がすごく好きなんです。あと、江の島にはおいしいカレー屋さんが多いんですよね。 ――本当に辛いものがお好きなんですね! お二人が演じるイレイナとフランは師弟関係にありますが、本渡さんから花澤さんに聞いてみたいことなどはありますか? 本渡 たくさんあるはずなのに、あらためて聞かれると迷ってしまいますね。私が学生の頃からすでにご活躍されていた方ですし、お芝居の極意……とか? 花澤 極意といえるかは分からないけれど、私がラジオ番組を持っていた頃に、当時同じようにラジオ番組を持っていらした地井武男さんから番組50回達成のお祝いにボイスコメントをいただけたの。 本渡 地井さんはなんとおっしゃられたんですか? 花澤 「役者はいつまで経っても勉強です」というお言葉をいただけて、それがずっと心に残っていて。「地井さんほどの方がそうおっしゃられるのなら、私なんかはまだまだ勉強している身分でいいんだ」って。とても励みになったし、同時に戒めにもなっているかな。 本渡 なるほど……! 私も、そのお言葉を胸に刻んでおきます! ――2009年に、ラジオ番組の「花澤香菜のひとりでできるかな?」を持っておられたときのお話ですね。イレイナにとってのニケの冒険譚のように、幼いころに夢中になっていた本はありましたか? 花澤 詩を読むのが好きで、まど・みちおさんの詩集をよく読んでいました。読みながら、これはどんな景色なんだろうと想像するのが楽しかったですね。高校生になってからは村上春樹さんの小説に夢中になり、「海辺のカフカ」を読んで私も1人で旅をしてみたいなと思ったり。 そして本ではないのですが、最近は韓国ドラマにはまってしまいました。1人で黙々と見つつ「推しがいる生活って、こういうことなのね!」と(笑)。 本渡 推しまでできちゃったんですね! キラキラですね! 花澤 そう、キラキラ! 推しがいる生活って、とっても楽しいね!(笑) ――予想だにしなかったワードが出てきました(笑)。これは本渡さんにもお聞きしたいのですが、イレイナが1人旅をするという目標を持って魔女になったように、お二人がパッと思い浮かぶ願いや目標はなんですか? 本渡 実は、昔からずっと平屋に憧れがありまして。幼い頃は、将来は平屋に住んで、たくさんの飼い犬がいて、なんなら運命の人もいっしょにいてくれて……などという夢を持っていたのですが、いざ社会に出てお仕事をする年齢になってみると、あまり現実的ではないですね、平屋って……(笑)。 花澤 今のうちにがんばって貯金して建てよう!(笑) 私は、もっと目先のささやかな目標ですが、早くいろいろな人と気軽にご飯を食べに行けるようになればよいなと思います。相手の好きな食べ物を聞いて、お店の候補を決めて、予約して……。私、そういうプランを立てるのが好きなんです。趣味のひとつと言ってもいいくらいです。本渡ちゃんは辛いものが好きなの? 本渡 はい! あ、でも辛くないものも大好きです! ただ「辛いものが好き」と伝えると「このお店は辛くないけど、いい?」とセッティングしてくれる人に気を使わせてしまうこともありますので……(笑)。 ――ありがとうございます。それでは最後に、アニメ最終話まで見終えたファンへのメッセージをいただけますか。 本渡 最後まで見てくださり、ありがとうございました! 残酷なお話がある一方で、第7話の「ぶどう踏みの少女」のように笑いにあふれるお話もあったりと、いい意味でみなさんを振り回す作品になったのではと思います。 私が原作であるGAノベルのPVのナレーションとしてイレイナと出会ったのはもう4年以上前ですので、こうしてTVアニメ化まではたし、それを最後まで演じられたことがとても感慨深いです。イレイナの旅路が、みなさんの心の中にずっと残ってくれればいいなと思います。
花澤 フランが登場しない回もイレイナのことが心配でたまらなくて、彼女はどんな旅を続けるのかしらと、まるで一緒に旅をしているような気分に浸れる作品でした。原作ノベルの特装版に付属しているドラマCDでは、イレイナやフランたちのアニメとはひと違った一面が見られると思いますので、まだ聞かれたことがない方はドラマCDもチェックしていただけたらうれしいです!
【カメラマン:広瀬誠】
イレイナを演じる本渡楓さん(右)と、フランを演じる花澤香菜さん (C)白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会