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ついに放送がスタートしたTVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」。WebNewtypeでは、番組を盛り上げるためのリレーインタビューを連載中です。記念すべき第1話放送日にお届けするリレーインタビュー第3回は、は、「私」(蜘蛛子)を演じる悠木碧さんにお話を伺いました。第1話から膨大なセリフと格闘したという悠木さん。その苦労と楽しさについて語っていただきました。
――ついに第1話が放送されましたね。
悠木 アフレコしたときは完成前の映像だったので、最終的にどういう画面になるかわからない部分もあったのですが、完成版は思った以上に蜘蛛たちがうようよしていて、ちょっとびっくりしました! でも、蜘蛛子のコミカルな動きはかわいかったです。魔物が主人公で3DCGだとこういうアプローチができるのかと、新鮮な面白さがありました。
――見た目は蜘蛛ですが、動きはかわいらしいですよね。
悠木 自分を鑑定したあとに、レベルやスキルについていろいろ考え込むときのポーズがかわいかったです。まるで人間みたいな座り方で、「そうやって座るんだ!」って意表を突かれました。動きがかわいいと、蜘蛛の造形もだんだんかわいく見えてくるのが面白いです。最初は完全に蜘蛛として認識していたので見た目がちょっと怖かったんです。でも、今ではお尻の模様がドット柄に見えるようになって、「ポップでかわいい♪」って思います。
――魔物たちの動きもすごかったですね。
悠木 魔物の動きもそうですし、蜘蛛子の捕食シーンも容赦ないのが素敵です。私は、「人ならざるモノ」の造形が好きなので、その造形をちゃんと活かした表現を見ると嬉しくなります。「蜘蛛ですが、なにか?」は魔物の造形がしっかりしているだけではなく、「綺麗に、気持ち悪い部分を描いている」ところにワクワクするんです。3DCGの部分も、こういう描き方をするために使っているんだなと納得させられました。ただ、蜘蛛がうようよしているシーンは、みんな蜘蛛だから蜘蛛子と見分けが付かなくて、アフレコの時にすり合わせが大変だった記憶があります。人間だったらぼんやりと特徴がわかるのですが、みんな特徴が近いので、「蜘蛛子はどれだ?」と少し混乱しました(笑)。
――蜘蛛子パートで、何か印象に残ったシーンはありますか。
悠木 洞窟が舞台なので、どんな画作りになるのかまったく想像できなかったのですが、思った以上に鉱石がキラキラしていてファンタジックだなと思いました。暗くなりすぎないように、スタッフさんが光の演出に気を使われているのが伝わってきて嬉しかったです。私が「洞窟慣れ」してしまっただけかもしれませんが(笑)。
――また、蜘蛛子パートは悠木さんのセリフ量に驚かされました。
悠木 第1話から第3話は特にたくさん喋った記憶があります。この世界にやってきたばかりの蜘蛛子は周囲に翻弄されることが多いので、状況を整理しようと思考し続けるんです。だからセリフ量が自ずと増えるのですが、演じる身としては一人でずっと壁打ちをしているような感覚でした。でも、映像を見ると画に助けられているところがたくさんあったので、改めてスタッフさんに感謝したいです。
――どんなところが、「画に助けられている」と感じるのでしょう。
悠木 例えば第1話だったら、壁に向かって〈鑑定〉のスキルを使うシーンです。「壁」の文字がたくさん出ますよね? 「一人ギャグ」が続く蜘蛛子のパートは、それをいかにコメディとして表現するかが重要だと感じるので、笑いどころを画として見せてくださるのがすごくありがたいです。逆に言えば、一人でアフレコをしているので、私が頼れる相手は画しかないんだなと心の底から感じます。仮に私がスベっても画が面白ければなんとかなるし、画で表現するのが難しいところはなるべく私が面白くするという、まさにスタッフさんとの共同作業です。
――一人でのアフレコはだいぶ慣れましたか。
悠木 第3話ぐらいまでは心が折れかけていました。でも、それ以降はだんだんと蜘蛛子のリズムが掴めるようになり、ちょっとずつ遊び心を入れられるようになった気がします。第4話以降になると「うまくハマってきたのでは!?」と感じることが増えてきました。
――やはりセリフ量の多さが一番大変なところなのでしょうか。
悠木 それもありますし、どうやってこの作品と向き合ったらいいんだろうと考え込むことが多かったです。スタッフさんはいるけれど基本は一人でアフレコ、しかもキャラクターがずっと喋っている。モノローグが多いキャラクターを演じることはあっても、ここまで一人で喋り続けるキャラクターは初めてなので、この環境に慣れるまでが大変でした。
それから、もう一つ慣れるまでに苦労したのが、セリフの表情づけです。蜘蛛子のセリフって(台本の)一行ごとに変わるんじゃないかというくらい、ころころニュアンスが変わるんです。最初はヘコんでいたのに、急にテンションが上がりだして、いきなり悟り出す……と思ったら、「ないわー!」って転がり出す、みたいなことが頻繁にあるんです(笑)。情緒がジェットコースターなので、それをしっかり掴むのに3話ぐらいかかりました。
――監督から「バトルシーンはかっこよくしたい」と言われたそうですが(リレーインタビュー第1回参照)、それ以外で何かディレクションはあったのでしょうか。
悠木 とにかくポジティブにしてほしいとおっしゃっていました。過酷な環境で普通の人だったらへこたれてしまうかもしれないけれど、蜘蛛子はポジティブに乗り越えていくのが強みだし、それが彼女のキャラクター性なんです、と。実は、オーディションのときはもう少し気だるげな役作りをしていたんです。いわゆる「やれやれ系」ではないですが、もっと現代的で「はいはい、やりますよ」というニュアンスが乗ったお芝居で……。
――そうだったんですね!
悠木 はい、それもあって本番ではどれぐらいまでポジティブさを出そうか迷ったのですが、やっぱり台本を読んでみて、これは底抜けに明るい子にしないといけないと思ったんです。「蜘蛛ですが、なにか?」は、蜘蛛子が落ち込んで、復活して、テンションを上げて、また失敗して立ち上がる。この流れと勢いが面白い作品ですし、斜に構えた感じや気だるそうな雰囲気を出してしまうと、視聴者の方が鬱々としちゃうんじゃないかって。見ていて元気がもらえるキャラクターにしてほしいとのお話しもいただいたので、ハードではありますがとにかくテンションを上げて演じるようにしました。今ではちょっとした中毒性を感じています(笑)。
――それぐらい入り込んでいるんですね。
悠木 そうなんです。アフレコのときはアドレナリンが出まくっているので、見ている方にもそれが伝わっていたら嬉しいです。機会があったら、ぜひ蜘蛛子をやってみてください(笑)。嫌なことやつらいことがあったときに、蜘蛛子の真似をするときっと楽しい気分になれますよ!
――第2話以降も、蜘蛛子パートは「悠木さん劇場」とみてよろしいですか。
悠木 あははは(笑)。そうですね。「悠木はうるさい」と思っていただけるんじゃないでしょうか。むしろ「悠木はうるさい」が褒め言葉になりそうなぐらい、映像とセリフがうまくハマっているので楽しみにしていただきたいです。
――ところで、シュンたちのパートについてはいかがでしたか。
悠木 映像が綺麗でびっくりしました。「蜘蛛ですが、なにか?」なのに、蜘蛛子のパートより料理がおいしそうなのがずるい!
――片や鶏の丸焼き、片や生のカエルですからね(笑)。
悠木 蜘蛛子の食事は本当にひどいものばかりで……。食事は蜘蛛子にとって重要な要素でもあるので、今後、蜘蛛子が何を食べるのか、おいしいものは出てくるのか、ぜひ注目していただきたいです。
――シュンたちの中で、気になるキャラクターを教えてください。
悠木 同じ魔物のよしみでフェイちゃんです。ドラゴンという存在の造形がもともと好きで、フェイちゃんは「ワルそう」なカラーリングとぽてっとしたシルエットのバランスがかわいくて、ずっと気になっています。完全にオタクとしての好みです(笑)。
――では最後に、第2話以降の注目ポイントを教えてください。
悠木 第2話からは蜘蛛子がさらにノンストップで喋り続け、蜘蛛子が喋り続けるということは物語もノンストップで展開していきます。ここからが本番です! 人族サイドも主要メンバーが出てきましたが、さらにまた重要なキャラクターがどんどん登場して、だんだんと蜘蛛子サイド、人族サイドの繋がりが見えてきます。この作品のすごいところは、ただのコメディに見せかけて実は世界の構造やら陰謀やら、難しいことが細かく練り込まれているところにあると思うんです。最初のうちは何も考えずに楽しめると思いますが、途中から「おやおや?」「え?」と、たくさん考察できるポイントが出てくるので、何度も繰り返して見ていただけたら嬉しいです。何よりもまずは蜘蛛子を見てたくさん笑ってください。そうしていただけたら、あの日、私が吐いた血はきっと無駄にならないと思います!
【取材・文:岩倉大輔】