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来たる2月21日(日)、テレビアニメ「昭和元禄落語心中」のファンの間で広がる「実際に落語を観てみたい」という声に応えるためのイベント「声優落語天狗連」の第2回が開催されます。
第1回のイベントでは、MCを務めるニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが「次回は“天狗連=アマチュアの芸人たち”というタイトルにちなんで、男性声優が初めての落語に挑戦します!」と予告していましたが、その白羽の矢が立ったのは、なんと石井マークさん。
その石井さんが、立川流家元・立川談志の孫弟子としても知られる真打ちの落語家・立川志ら乃師匠による指導のもと、稽古を行なっているということで、見学してきました!
この日が3回目の稽古ということで、師匠が身守る中、さっそく「子ほめ」を披露した石井さん。内容がしっかり暗記されている上に、さすがに滑舌も良く、取材陣は“完璧なんじゃないか”と驚くばかりでしたが、その心を見透かされたように師匠から「もうできてるじゃんって思うでしょ? でもね、初回からここ(3回目の稽古)までの伸び率がすごかったんだから!」と伝えられ、あらためて本人の努力とポテンシャルの高さに感心せずにはいられませんでした。
なんでも、本番の約3週間前に突如オファーが来たということ(師匠いわく「吉田氏からのムチャブリ」)。本来なら「前座(=落語における最初の階級)」が1年ほどかかって学ぶ演目である「子ほめ」を、この短期間でお披露目しようとするのですから、中途半端な向き合い方では、ここまで見事に仕上がらないはずです。
どんどん成長していく新弟子の姿に、師匠は「この短期間で最低ラインを超えているので安心してます」と太鼓判を押しつつ、さらなるブラッシュアップのために「落語特有のリズム」を伝授。師匠が実際に演じたお手本に刺激されたのか、真剣に聞き入っていた石井さんは「後半だけ、もう一度挑戦したい」と懇願し、師匠の提案で“掛け合い”の稽古を行うことに。この掛け合い稽古は、石井さんと師匠で交互に役を担当して、そのリズムと落語のイメージを体に覚えさせるもの。結果、石井さんの「子ほめ」は、要領を得たようにさらに変化していき、本番が楽しみな仕上がりとなりました。
最後に、本番を直前に控え、「落語は、声優の仕事とは全然違うので楽しい。でも、練習がうまくいかない時は、正直本当にできるのかなって思っていました。お客さんが少しでも笑ってくれたら…」と話す石井さんに対して、「笑わせようと思った瞬間に客が引くこともある。一生懸命やれば、それでいい」と背中を押す師匠。「“押していく”漫才と違って、落語は巻き込んでかっさらっていく芸。スッと引いて『何を言うんだろう?』と、お客の興味を引くのもテクニックのひとつだよ」という師匠の言葉を聞いて、石井さんはあらためてスッと背筋を伸ばし、グッと意思を固めたような表情を見せていました。
なお、21日のイベントでは、立川志ら乃師匠による「時そば」も披露されます。師匠と弟子の貴重なコラボレーションにも注目を!【取材・文/麻布たぬ】