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デビュー50周年記念プロジェクトをスタートさせた古谷徹さんへのインタビュー、中編をお送りいたします。
全国縦断無料サイン会の実施を決めた古谷さんですが、実現にはたくさんの人の応援があったとのこと。さらに記念ミニアルバムとフォトブックについても語っていただきました。すべてはファンのみなさんに会いたいから――古谷さんの言葉からは、そんな想いが伝わってきます。
■ほぼ毎週末、全国のどこかにお邪魔します
――会場の段取りだけでもかなり大変ですよね。会場となるアニメイトさんが協力してくださるようになったのは、どのような経緯で?
普段の仕事をしながらこれらの段取りをするのは不可能だからどうしようかと、マネージャーと一緒に考えていたら、“ん? そういえばアニメイトさんって全国にお店あるよね”って思いついたんです。アニメイトさんに協力いただいて、店頭を貸してもらえれば何とかなるかもしれない。そこで無理を承知でお願いしてみたら、すごく興味があるとおっしゃっていただいて。“アニメイトは今年30周年なので、記念事業の一環としてやりましょう”と言ってくださったんです。
とてもありがたいお話でうれしかったのですが、でもそれってアニメイトさんに何のメリットもないんですよ。だって何かを買ってくれた人にサインをするのならばビジネスになるけれど、今回は無条件のサイン会ですから本当に何もないんです。
これはさすがに何とかしなければいけないと感じ、50周年記念グッズを作ってアニメイトさん限定で販売をすればビジネスになるのでは?と考えました。さらにこれまでもお付き合いのあるエイベックスさんとKADOKAWAさんにご相談して、50周年記念CDを出しましょう、ファンブックを出しましょうと、ご賛同をいただくことができました。ですので、今回の50周年企画はサイン会が最初で、その後でミニアルバムとファンブックのアイデアがでてきたんです。最初の思いつきから、ずいぶんと大がかりな話になってしまいました(笑)。
ミニアルバムとファンブックは9月23日(金)に発売となるのですが、その翌日のアニメイト横浜店からサイン会がスタートします。今後どこかの毎週末、全国のどこかにおじゃまする形になるので、大変といえば大変ですが、それ以上に楽しみですね。
――全国のファンのみなさんが首を長くして待っていると思います。今の心境は?
もう今からワクワクしています。直接言葉を交わしてお話しできるなんて、なかなかない機会ですし。何より直接みなさんに「ありがとう」って言いたいんです。それにファンの方も僕に直接会って言いたいことがあると思いますし。そして、そのような場を地方で持てるというのがありがたい。やっぱりイベントって大都市に集中しがちじゃないですか。行きたくても行けない、会いたくても難しいという人たちがたくさんいらっしゃるので、その人たちに喜んでもらいたい。
ファンのみなさんの笑顔に会えるのを、僕自身が一番楽しみにしているんです。それが“次もいい仕事をしよう”って思う、最高のエネルギーになるんですよ。
■エンターテイメントの3大要素を明確に表した3曲
――感謝の気持ちを込めたというミニアルバムとファンブックですが、まずミニアルバム「古谷徹 50TH ANNIVERSARY 『THANKS♪ −感謝−』」について教えてください。このミニアルバムに収録されている3曲はすべて古谷さんが選ばれたとのことですが、その理由は?
最初に僕の代表作品で誰もが知っている作品を3つ選ばせてもらい、さらにその中から自分で歌いたい曲を選んだら、結局主題歌になってしまいました。
他にも歌いたい曲はたくさんあったんです。例えば「劇場版 美少女戦士セーラームーンR」の挿入歌「Moon Revenge 」や「きまぐれオレンジロード」の「NIGHT OF SUMMERSIDE」、「オレンジ・ミステリー」なんかもいいですよね。「きまぐれオレンジロード」の春日恭介は、僕が一番好きなキャラクターなんですよ。あと、ガンダムでいえばやっぱり「哀 戦士」もいいですし、今は「ONE PIECE」でサボを演じていますから「ウィーアー!」も歌いたい。
そうやってたくさんの曲の中から色々な組み合わせを考えて気付いたんです。今回選んだ3曲でアニメーションというエンターテインメントそのものを表すことができるんじゃないか?って。
「聖闘士神話 ~ソルジャードリーム~」は聴くと昂ぶるじゃないですか。だからこれは“Excite”。「CHA-LA HEAD-CHA-LA」は楽しいから、これは“Enjoy”。そして「めぐりあい」は感動の曲なので“Emotion”だと。これって全部“Entertainment”の“E”からはじまるんです。“Excite”、“Enjoy”、“Emotion”ってアニメーションそのものなんですよ。エンタメの三大要素を明確に表していて、すごくバランスがいい。
そして、それぞれの曲が気持ちを込めて歌いやすいんです。オリジナルの素晴らしとはまたひと味違った魅力を込められるんじゃないか? と思いつつ、歌わせていただきました。
――今回のアルバムでは新たな編曲(アレンジ)もされたそうですね
編曲はTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDさんがしてくださったのですが、ものすごく頑張ってくださって、素晴らしいアレンジに仕上げてくれました。原曲の良さを踏襲しつつも新鮮なイメージで、とても歌いやすいんです。みんなで一緒に歌えるアレンジですね。
実は、最初はオリジナルのカラオケを借りてきて、それでレコーディングすると思っていたんです。だって人気の若手声優とは違って僕のCDがどれだけ売れるかなんで、わからないじゃないですか!(笑) それなのに、こんなにも素晴らしい編曲を用意してくれた。編曲してくれたTECHNOBOYSさんはもちろん、エイベックスのみなさんには感謝の気持ちで一杯です。
――ファンブックについても教えてください。初公開となるオフショットも掲載されるそうですね
プライベートの写真は新たに撮影するわけではなく、昔の写真をアルバムから引っ張り出してきて、それに一言コメントを付けて、みなさんにご覧いただこうと思っています。プライベート旅行に行った時の写真や、スタジオでの収録風景の写真もありますよ。
――お仕事仲間では、特に親交の深い方からのメッセージもいただいているとか
同僚、先輩、後輩、スタッフのみなさん、プロデューサー、ディレクター、原作者の方々……本当にたくさんのみなさんからコメントをいただいている“らしい”です。
“らしい”というのは、実はまだ僕はいただいたコメントを拝見していないですよ。誰がどんなコメントをしてくださっているのか、編集担当さんが全く教えてくれないんですよね、あははは。
だからドキドキなんですよ。先日もお仕事で一緒になった池田秀一さんから「徹ちゃん、褒めておいたよ」って言われて、「ありがとうございます!」って(笑)。ものすごくドキドキしています。<後編に続く>【インタビュー・文=小川陽平】