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前編、中編と掲載してきた古谷徹さんへのインタビューも、いよいよ最終回。今回は記念プロジェクトから少し離れ、プライベートについて、そしてこれからの声優人生についてどのように考えられているのかを伺いました。そこにはチャレンジし続けるヒーローの姿がありました。
■思い通りにならないから面白い
――プライベートのお話が少しでましたが、古谷さんは普段オフの時はどのように過ごされているのですか?
僕は基本的にアウトドア派なんです。スキー、スノーボード、テニス、ゴルフ、ウィンドサーフィン…ぐらいかな。やはりマイクの前で動かない仕事をしていると、どうしてもストレスがたまるし身体にもよくないので。身体を動かして遊ぶのはよい仕事をするための糧になっていると思います。
ここ数年で一番ハマっているのは、ゴルフとスノーボードですね。ゴルフは今年の夏で丸6年、スノーボードは丸5シーズンになりました。ウィンターシーズンは毎週のようにゲレンデに行って、それ以外のシーズンは毎週のようにゴルフ場に行くというくらい、どっぷりハマってます。スノーボードは本当にハマっていて、スノーパークでジャンプしてますよ。
――えぇっ!?
スキーは初めて40年ぐらいになるんですが、緊張感もないし、体力との兼ね合いで、これ以上の上達は見込めないなって感じになっちゃってたんです。それでスノーボードをはじめたら、めちゃくちゃ緊張して怖かったんですよ。その緊張感がいいんですよね。最初はパークの小さなジャンプでもコケていたのですが、段々飛べるようになって、平らなところでやるグランドトリックという技もたくさんあって、それらに挑戦するのがまた面白いんです。難しくてできるまでに何十回も転ぶんですが、できた時の達成感は他では味わえないですね。
やっぱり、思い通りにならないところがいいんだと思います。悔しくて頑張るじゃないですか。ステップアップできた時の満足感と充実感、“生きているな、オレは!”って感じますから(笑)。まだまだやれるという自信にもつながっています。
――新しいチャレンジといえば、今年の春からNHKのニュース番組「クローズアップ現代+」でナレーションをされていますよね
もともと「クローズアップ現代」は石原良さんという素晴らしい先輩がナレーターを務められてて、ずっとファンだったんです。だから機会があればぜひやってみたいと思っていたので、オーディションがあると聞いてチャレンジしました。うち(編注:古谷さんが所属される青二プロダクション)にはナレーターがたくさんいるので、その中から選ばれたのはとてもうれしかったですね。この番組で僕は毎回勉強させてもらっています。本当、世間知らずでしたから。
ナレーションの仕事としては、「カーグラフィックTV」という30年以上続いている自動車番組のナレーションをずっとやらせていただいてます。これはもうライフワークみたいな感じですね。
で、それ以外のナレーションというのは、ニュースやドキュメンタリーがほとんどで、バラエティ系は基本お断りしているんです。自分自身が視聴者としてバラエティ系をあまり見ないので楽しめないんですね。やっぱり、一視聴者として楽しめていないのに(ナレーションを)やるというのは、番組を作っている方や視聴者のみなさんに対して失礼だと思うんですよ。ですが、ニュースやドキュメンタリー系なら自分自身の声や感性を生かせますし、何より感動しながら話すことができるので番組にも貢献できるかな、と。まあ、わがままなだけかもしれませんね、あははは。
■大切なのは体と心のバランス
――デビュー50周年という大きな区切りを迎えられましたが、この先の目標、やってみたいことはありますか?
うーん、何をしたらいいのかなぁ…そうですね、まずはようやく100を切ったゴルフのスコアを80台にするのが目標ですね。あとはスノーボードのグランドトリックで1回転半を回るノーリー540っていうのがあるんですが、それを決めたい。さすがに無理かなぁ、あっははは。
でも正直な話、大事なのは体と心のバランスだと思っているんです。そのトレーニングをいつも欠かさないでいたいと思っていますし、それを健全に保ち、いただいている持ち役を全うするというのが今の目標ですね。
もちろん、新しい役にもどんどんチャレンジしていきたい。本当は60歳で引退するつもりだったんですよ。僕は5歳の時に子役からスタートしたので、還暦を迎えたら引退して好きなスポーツでもしてのんびり暮らしたい…なんてことも思っていたんです。でも、よくよく考えたら、まだ成し遂げていないことがたくさんありました。例えば洋画の吹き替えは、そこまでたくさんの役をやってないな、とか。
最近では「パシフィック・リム」でニュート(編注:Charlie Day演じる科学者のニュートン・ガイズラー)を演じましたけど、あれは本当に珍しい役で。僕はああいう役が大好きなんですよ。今までああいうタイプはあまり演じていないし、みなさん知らないから、“これはやってやる!”って。かなり燃えました。
演じてみたい役柄でいうと…そうですね、例えば警察官や刑事、SF作品の兵士でもいいですけれど、そういう作品の主人公はぜひ演じたい。そしてそれが大ヒットすれば、言うことなしですね。
――最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
日本中のファンのみなさん――おそらく初めて会う方がほとんどだと思いますけれど――にお会いして、みなさんの笑顔を見るのが今から楽しみでワクワクしています。ですので、お近くでサイン会が開催された際には、ぜひいらしてください。お待ちしています。また、50周年で制作したCDとファンブックは、協賛各社のみなさんが採算度外視で作ってくださいました。特別な特典も用意していますので、手にとっていただけたらうれしいです。
あと、おまけとしてグルメと地酒と観光を楽しむのも、今から楽しみです…そっちがメインだったりして、あはははは。【インタビュー・文=小川陽平】