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TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」ファイルーズあい&愛美&黒沢ともよ 鼎談――クリエイター原案の熱量高い作品(後編)

TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」ファイルーズあい&愛美&黒沢ともよ 鼎談(後編)
(C)Magical Destroyers Committee


オタクとパンクス、ストリート、DJカルチャー――多様な文化を融合する作品で、国内外から高い評価を受けるJUN INAGAWAさん。新進気鋭のクリエイターが原案を手がけるTVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」(マジデス)が4月より放送開始です。

2008年、アニメやゲーム、マンガなどのオタク文化が謎の勢力によって排除され、オタクたちは秩序維持組織「SSC」による弾圧を受けていた。しかし、若き革命者・オタクヒーローの元に集ったオタクと三人の魔法少女たち、アナーキー、ブルー、ピンクはSSCの首領・SHOBONに対し、反旗を翻す!

先日開催された先行上映会でも、そのアナーキーで自由な作風が話題になった「マジデス」。アナーキー役のファイルーズあいさん、ブルー役の愛美さん、ピンク役の黒沢ともよさんに、作品や主人公のオタクヒーローの印象などについて話を聞きました。

――「マジデス」とはどんな作品でしょうか。
ファイルーズ 魔法少女ものは、定番ジャンルとして定着しつつありますが、これまでと類似の作品と予想して見ると驚くとは思います。セリフは現実世界で口にしづらいことばのオンパレードで、聞いていると脳が混乱して痺れるような感覚もあるはず。エッジが際だった世界観にハマる人はとことんハマると思いますし、これまで自覚していない人も、自分の新たな一面に気づいてしまうかもしれません。
愛美 とにかく難しいことを考えずに、感じてほしいですね。名作と呼ばれる作品には、詳しい説明なしに提示された世界観に、よくわからないけれどハマってしまうタイプが多いと個人的に思っています。「マジデス」は、そのタイプの作品です。
黒沢 数年前、原案のJUN INAGAWAさんの展覧会でご本人に挨拶をしたことがあったんです。そのときはアニメ化決定の前だったのですが、「僕はどうしてもアナーキーを動かしたいんです」と熱く語っていて。そのときから描きつづけてきたキャラクターが、たくさんの人と協力しながらTVアニメになったというのは、そこに原案者の膨大なエネルギーを感じますし、それだけ作品に魅力があるのだと思っています。また、説明はないけれど、自然と納得してしまう不思議な世界観にハマる人も多いと思います。


TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」より
(C)Magical Destroyers Committee


愛美 私が歌うOPテーマ「MAGICAL DESTROYER」の収録でJUNさんからディレクションをいただいたのですが、作品への熱量が非常に高い方だなと印象に残っています。一方で、やりたいことははっきりとしているけれど、こちらが別のニュアンスを提示すると歓迎してくれました。アフレコでもそれは同じで、柔軟に作品をおもしろくしていこうとする姿勢を感じました。
ファイルーズ 2021年に原宿の東急プラザでJUN さんの個展(『美しい破壊 – Beautiful Destroyer』)が開催されていたのですが、その壁面に赤髪の女の子が描かれていたんです。当時はオーディション前でJUNさんのこともあまり知らなかったのですが、「この絵、惹かれるな」と思って、写真を撮ったことを思い出した。
黒沢 それがアナーキーだよ!
ファイルーズ やっぱり、そうだったんだ! そんなアナーキーを演じられるとは思っていなかったので、うれしいですね。


TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」より
(C)Magical Destroyers Committee


――オタクヒーローについては、どんなところに魅力を感じますか。
ファイルーズ 周りのキャラクターに振り回されてヒドい目にあうこともあるのですが、すぐに切り替えて優しく接してくれる懐の深さがいいなと思います。
愛美 オタクヒーローは、落ち込んだり、悩んだり、卑屈になったりと人間らしいところがあり、だからこそ、みんながそばに寄り添って力を貸したくなる存在なのだと思います。見ている側からしても、自己投影しやすいというか、自分もヒーローになれるんじゃないかというオタク心をくすぐってくれる主人公ですね。
黒沢 好きなものに対しての熱量が高いけれど、オーバーヒートしてヒステリックにならないところですね。ほかの人が好きなことも素直に受け止めて、頭ごなしに否定することもなく、そういうフラットな心持ちはオタクとしての理想だなと思います。また、演じる古川慎さんの安定感のある声も相まって、ぬくもりを感じるキャラクターになっていると思います。


オタクヒーロー
(C)Magical Destroyers Committee


――今回、モブキャラクターとして「○○オタ」が多数登場しますが、ご自身が登場するとしたら何オタクになりますか。
ファイルーズ 二次元オタです。三次元はまったく興味がありません(笑)。
愛美 私は、人間オタクかな。人間の思考について常に考えていますね。だから、すぐに悩んじゃうのですが(笑)。考えることがやめられません。
黒沢 たとえば?
愛美 TVを見たとするでしょ。そんなときに、なぜこの人はこの発言をしたんだろうとか、もしかしたら誰かをフォローするためのことばで本意ではないのかもしれないとか、裏読みをするのが好き(笑)。アニメやマンガを見ても、このキャラクターがその発言をするのには、どういうバックグラウンドがあったのか遡って考えていくのが好き。別の言い方をするなら、考察が好きなのかもしれないですね。
黒沢 私は、演劇オタですね。休みの日は、どこかの劇場にいます。商業演劇から小劇場までどこにでも顔を出しますし、上演時間の都合が合わなければ映画を見に行きますし、その隙間で本を読む感じですね。
ファイルーズ 二次元、三次元、抽象世界とバランスのいい組み合わせだね。
――「マジデス」の放送を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。
ファイルーズ 今後、続々と新しいキャラクターたちが出てきて、画面的にも作品的にも盛り上がっていきます。そのなかから推しを見つけていただいて、感情移入しながら楽しんでいただけるとうれしいです。ちなみに、狂太郎という、かわいいのに素直にかわいいと言いたくない、イラっとくるマスコットが出てきますので、思い思いの方法でかわいがっていただければと思います(笑)。
愛美 驚きの連続となる展開で、毎回台本をもらうのが楽しみでした。制作陣が思い切り想像力を膨らませてつくっているのがよくわかりますし、“破滅的”と言いたくなるほど自由に作品をつくっているチームの一員になれたことをうれしく思っています。皆さんも、自由なスタイルで気楽に本作を楽しんでください。
黒沢 第2話で、私が演じるピンクが登場します。ピンクのことがよくわかるエピソードになっていると思うのでぜひ楽しんでください。前半はオムニバススタイルになっているので、どこから見ても楽しめますし、そこからつながる後半の流れもエキサイティングなので、ぜひ最後までご覧ください!


TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」より
(C)Magical Destroyers Committee


【取材・文:星政明】

■TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」
放送:MBS/TBS…毎週金曜25:55~
   BS-TBS…毎週金曜26:30~
   AT-X…毎週土曜21:00~
  【リピート放送】毎週月曜28:30~、毎週土曜6:00~
配信:ABEMA…毎週金曜26:25~
   DMM TV…毎週金曜26:25~
   ※その他の各配信サイトでも順次配信

スタッフ:原作…MAD ミルクポット markets/原案…JUN INAGAWA/監督…博史池畠/副監督…川瀬まさお/脚本・シリーズ構成…谷村大四郎/キャラクターデザイン…沢友貴/コンセプトアーティスト…紺野大樹/プロップ設定…杉村絢子/美術監督…坂上裕文(ととにゃん)/美術設定…加藤浩(ととにゃん)、浅見由一(ととにゃん)/色彩設計…歌川律子/撮影監督…松向寿(STAR Laboratories)/編集…武宮むつみ/音響監督…本山哲/音響効果…白石唯果/録音…伊東光晴/音響制作…ビットグルーヴプロモーション/音楽…羽柴吟/OPテーマ…愛美「MAGICAL DESTROYER」/EDテーマ…The 13th tailor「Gospelion in a classic love」/アニメーション制作…バイブリーアニメーションスタジオ

キャスト:オタクヒーロー…古川慎/アナーキー…ファイルーズあい/ブルー…愛美/ピンク…黒沢ともよ/狂太郎…楠木ともり/SHOBON…斉藤壮馬/スレイヤー…芹澤優/ニック…興津和幸/オールドリーダー…杉田智和/ミリオタ…間島淳司/ゲーオタ…子安武人/鉄オタ…奥村翔/自衛隊オタ…兼政郁人/アニオタ…稲田徹/ドルオタ…石谷春貴/プロレスオタ…高橋伸也

リンク:TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」公式サイト
    公式Twitter・@magical_mad
    公式Instagram・@magical.mad

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