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「第二十回 声優アワード」主演声優賞・若山詩音インタビュー 「現場でいかに食らいついていけるかを考えながら――」

2026年3月15日、2025年度に最も活躍した声優を讃える「第二十回 声優アワード」の受賞者が発表されました。本稿では、主演声優賞を受賞した若山詩音さんのオフィシャルインタビューをお届けします。



――まずは、主演声優賞受賞おめでとうございます! 第十七回では新人声優賞を受賞されていましたが、そこから3年越しでの主演声優賞受賞となりました。
若山 ありがとうございます! うれしいことには間違いないのですが、正直な気持ちとしては、まだ自分には早いんじゃないかと思っています。というのも、今まで受賞された方々のお名前を拝見すると、錚々たる方々ばかりなんです。とてつもないキャリアを積まれて、今でも背中で多くのことを語ってくださる先輩方ばかりなので、はたして自分が同じ土俵に立てているのかな……と慄いてしまいます。恐縮ですし、まだまだ自分はひよっこではありますが、この受賞をきっかけにこれからも成長できるよう頑張っていきたいなと思っています。

――ここ数年の出演作を拝見していると、ほぼ毎クールのようにメインキャラクターを演じていらっしゃいますが、まだまだひよっこだと……?
若山 もちろんです。とういうのも、常日頃から未熟さを感じてはいますが、最近「自分はまだまだだな……」と改めて自覚した出来事があったんです。ディレクションにうまく答えられなかったな、という悔しさを感じた出来事でして。収録の際に音響監督さんからディレクションをいただいても、めざすべきものに最短距離で近づけなかったんです。私としては、その目標地点に向かったつもりでお芝居を変えたけれど、音響監督さんが求めていた場所とは少しズレていたんですよね。結果的には、遠回りして目標に達することはできたと思っているのですが、先輩方は最短距離で求められたお芝居をされているので、自分はまだまだだなと……。

――その一方で、本格的に声優活動を始められてから7年が経過しましたが、力がついてきたと自覚する部分もあるのではないでしょうか?
若山 どうでしょう……今思えば、「空の青さを知る人よ」(相生あおい役)に出演していた2019年当時には、荒削りだからこそ出せたものがあったはずで、今は逆にそれを失ってしまっているかもしれません。失いながら得ていくものもあるので、何が成長なのかまだ分かっていないのが正直なところですね。ただ、「ダンダダン」にモモ役として出演したことで、低い声でドスを効かせたり、バトル中の叫ぶ芝居などができるようになったのは、ひとつの成長ではないかと感じています。



――「ダンダダン」は2024年10〜12月、2025年7〜9月にかけて計2クール放送されました。モモは主人公のひとりとして、宇宙人や妖怪と戦いを繰り広げていく高校生という役柄でしたね。
若山 モモは美人で、いろんなものをもっている子ではあるけれど、口が悪かったり、性格が少し曲がったりしていて、親近感が湧くキャラクターでした。そんなモモ役を任せていただいて、「ダンダダン」のジェットコースターのような物語に挑ませていただいたわけですが……やはり試練はとても多かったです。特に第4話では、ターボババアとの追いかけっこで声を張るお芝居が多かったのですが、まだバトルシーンに慣れていなかったので、収録中に頭が痛くなってしまったんですよ。先輩方が堂々とこなされているなかで、こんなことでガタつく自分が恥ずかしかったです。そんなパワー不足な自分でも、香盤上は一番上に名前が出てしまうわけです。この現場でいかに食らいついていけるかを考えながら、必死に演じた全24話でした。

――2025年は、ほかにも多数の作品に出演されていますよね。
若山 メインキャストとしては、甘神朝姫役を演じた「甘神さんちの縁結び」も強く印象に残っています。三姉妹それぞれで個性が異なるからこそ、朝姫の当番エピソードが回ってきたときはかなりプレッシャーを感じました。主人公の上終瓜生くんに告白する瞬間をどう作り上げていくか、とても悩み何度もトライさせていただきましたね。また、薄墨ひなげし役として出演した「もめんたりー・リリィ」は、とにかく会話のテンポが早くて、共演者の方々と呼吸を合わせて演じることを意識していかなと思います。



――待望の続編となるショートシリーズ「『リコリス・リコイル』Friends are thieves of time.」も配信されましたね。
若山 尊敬する先輩である安済知佳さんとまたご一緒できて本当にうれしかったです。TVシリーズは分散収録でしたが、今回はみんな揃ってアフレコできたこともあって、すぐに喫茶リコリコの雰囲気が戻ってきて。錦木千束を演じる安済さんとの会話感もとても楽しくてずっと掛け合っていたい気持ちになりました。

――また、アイドルコンテンツ「ネガティヴハッピィ」にも出演されていましたが……。
若山 オーディションのときにすべてのメインキャラクターの原稿を読ませていただいたときから大好きな作品なんです。このお話は何が何でもやりたい!と思っていたので、小鳥遊クロエ役として出演できたことがとてもうれしいです。監督・脚本の山中拓也さんが自由に芝居をさせてくださるので、台本に書いていないことまでペラペラと話す人もいるんですよ……私なんですけどね。そんなことまで許容してくださる作品で、とても感謝しています。

――ちなみに、3年前の声優アワードでの取材では、大好きなRPGゲーム作品への出演や演じたことがないジャンルへの挑戦を目標として掲げられていましたが、現在はいかがですか?
若山 自分の芝居をどうしたいのかもまだ流動的ではあるのですが、「ネガティブハッピィ」の経験もあって、今はリアルなお芝居について考えることが多いですね。「リアルな芝居」とよく口にはしますけど、やってみると結局、普段生活しているときの音とは異なってしまうことが多くあります。生活の中で聞く会話のリアル感をどう芝居に落とし込んでいくべきなのか……実写や、舞台畑の声優さんの芝居を勉強しながら、もっと新しい「リアル」を皆さんにお届けできるようになることがひとつの目標です。

【撮影:田上富實子/取材・文:太田祥暉】

■第二十回 声優アワード 受賞者及び受賞作品
主演声優賞=戸谷菊之介、若山詩⾳
助演声優賞=上⽥麗奈、川⽥紳司、田中真弓
新人声優賞=⽊村太⾶、⾼野大河、寺澤百花、中山祥徳、菱川花菜、藤寺美徳、三川華⽉、村上まなつ
歌唱賞=AiScReam
パーソナリティ賞=⽇笠陽⼦
外国映画・ドラマ賞=尾上松也、坂本真綾、⽥村睦⼼
ゲーム賞=「Fate/Grand Order」
シナジー賞=「アイドルマスター」シリーズ
富山敬・高橋和枝賞=神尾晋一郎、佐久間レイ
キッズファミリー賞=リロ&スティッチ
MVS=⽯⽥彰
功労賞=よこざわけい子、田原アルノ
特別功労賞=今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰しました
特別賞=水野なみ

リンク:「声優アワード」公式サイト
    「声優アワード」公式X・@seiyuawards

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