新作&おすすめアニメのすべてがわかる!
「月刊ニュータイプ」公式サイト
2026年3月15日、2025年度に最も活躍した声優を讃える「第二十回 声優アワード」の受賞者が発表されました。本稿では、主演声優賞を受賞した戸谷菊之介さんのオフィシャルインタビューをお届けします。
——主演声優賞受賞おめでとうございます。受賞を知ったときのお気持ちは?
戸谷 まさかいただけるとは思っていなかったのでびっくりすると同時に、とてもうれしかったです。この賞は劇場版「チェンソーマン レゼ篇」の盛り上がりがあってこそで、授賞式には僕が代表して登壇させていただきましたが、作品に関わってくださった方たちみんなで獲ったものだと思っています。
——デンジ役を演じるうえで、TVシリーズと劇場版とで、アプローチの違いなどはあったのでしょうか。
戸谷 それぞれ演出や絵柄の変化などはありましたけれど、基本的なデンジのお芝居そのものは変えていません。むしろ変えたらダメだなと思って、自分としても貫いた部分です。ただメリハリというか、劇場版では戦闘シーンやコミカルなやりとりの表現をより大きくするといったことを意識しました。そういうところで画に合わせていったり、ディレクションに応えたりしています。
——制作陣のこだわりを感じた部分は?
戸谷 僕が気づけていない部分もたくさんあると思うのですが、アフレコに関していえば、レゼ役の上田麗奈さんとすべてのシーンを一緒に収録させていただけたことです。調整してくださったスタッフの皆さんのおかげでもあるのですが、お芝居にものすごくプラスになったなと思いますし、本当にありがたかったですね。僕自身、映画を見たときにレゼとデンジの会話、空気感みたいなものが音にもしっかり乗っていたなと感じました。アフレコでも、リアルな10代の会話とか、2人の揺れ動く心といったものを一個一個読み解いて表現していったんです。やっぱりそこは僕だけじゃなく、制作さんをはじめ、𠮷原達矢監督や名倉靖音響監督もこだわっていたところだと思います。
——審査対象期間では、「不遇職【鑑定士】が実は最強だった」で主演のアイン役も担当されています。
戸谷 「ふぐ鑑」はゾイド役の浪川大輔さん、ベヒーモス役の速水奨さんをはじめ、本当にいろいろな方とお会いさせていただいて、個人的にも思い出深い作品のひとつになりました。演じさせていただいたアインは、真っすぐな気持ちをそのまま声に乗せていい役柄でもあったので、全力で演じさせていただきました。声を張るシーンも多くて、どう頑張っても音が割れてしまうので、スタッフさんから「マイクからかなり離れて叫んでください」と言われたりもして(笑)。それぐらい毎回全力で挑みましたし、収録が終わるごとに「やりきったー!」という思いでした。
——改めて振り返ると、戸谷さんにとってどんな一年でしたか?
戸谷 いろいろな人と知り合えた年でしたね。音響監督さんたちスタッフさんとのご縁が増えましたし、「次の現場でもよろしくね」と言ってもらえることもうれしくて。キャスト陣も「前の現場でもご一緒しましたよね!」という方が増えて、そういった意味でも現場に行くのが楽しくなってきました。現場で皆さんのお芝居を見るのもうれしかったし、つながりができた、これまで以上にたくさんの人と関われた一年だったという印象です。
——戸谷さんが芝居を楽しいと思ようになった瞬間、ハマったきっかけは?
戸谷 今の事務所のソニー・ミュージックアーティスツが主催するオーディションで特別賞をいただいて声優としての一歩を踏み出したのですが、養成所に通った経験もなく、お芝居のことを全然学んでいない状態だったんです。入所して1年後くらいに緒方恵美さんが私塾「Team BareboAt」を開講されると知り、思い切って門を叩いた瞬間が、本当の意味で人生の転期だったのかもしれません。まず「お芝居とは何か?」という認識を改めて、そこからはするべきことが明確になっていって、どんどんお芝居に深くハマっていきました。
——お芝居にハマった瞬間には、何か特別な出来事などあったのでしょうか。
戸谷 「Team BareboAt」では生徒同士でお芝居をして、緒方さんにフィードバックをもらう形が基本だったんですね。時折、生徒と緒方さんでお芝居するパターンもあって、それはもうすごかったです。こんなにも違うのかって思いましたし、お芝居の厳しさも知りました。でもさっきお話ししたように、目指す場所が明確になったおかげで、すごく成長できたなと思います。あと生徒同士でレッスンがない日にも集まって、自主的にワークショップをやろうよって声を掛け合ったりして、それがまた楽しかったんですよ。レッスンではお芝居について真面目に、深く考えるんですけど、ワークショップではちょっと気軽にやってみようというスタンスで。今お芝居が楽しいなと思えている源流は、あのときの体験なのかなと思いますね。「楽しい」は、やっぱり続くなって思います。
——今回で二十回目を迎える「声優アワード」ですが、戸谷さんにとってどのような存在ですか?
戸谷 声優を入口に、作品やスタッフさんについて取り上げられたり、わかりやすく世間に知っていただけるきっかけのひとつでもあると思っていて。第十八回で新人声優賞をいただいたときに、選考委員の方から「声優がいかにすばらしい文化、職業なのかということを、これまで以上に広く知ってもらいたいと思って声優アワードを創立した」といったお話があったんです。そういう思いで賞をつくってくださったんだなと思うと、本当にありがたいですよね。
——最後に、今後の目標をお聞かせください。
戸谷 新人声優賞をいただいたときは、「やりたいことをやり続けて、自分も、見てくださっている方たちも楽しい状態が続いていくように」と答えていて。今も当時と変わらず「大きなタイトルを獲るぞ!」といった考えはないのですが、新しい場所を目指していきたい。今を否定するという意味ではなく、表現を常に成長させていきたいです。年数を重ねていくにつれて、まわりの見る目もどんどん厳しくなっていくというか、新人だから許されるといったことがなくなっていくでしょうし、今後さらにいろいろな人から吸収していかないといけないなとも思っていて。これからも探求心や研究心といったものを欠かさずにいたいです。
【撮影:田上富實子/取材・文:藤谷燈子】
■第二十回 声優アワード 受賞者及び受賞作品
主演声優賞=戸谷菊之介、若山詩⾳
助演声優賞=上⽥麗奈、川⽥紳司、田中真弓
新人声優賞=⽊村太⾶、⾼野大河、寺澤百花、中山祥徳、菱川花菜、藤寺美徳、三川華⽉、村上まなつ
歌唱賞=AiScReam
パーソナリティ賞=⽇笠陽⼦
外国映画・ドラマ賞=尾上松也、坂本真綾、⽥村睦⼼
ゲーム賞=「Fate/Grand Order」
シナジー賞=「アイドルマスター」シリーズ
富山敬・高橋和枝賞=神尾晋一郎、佐久間レイ
キッズファミリー賞=リロ&スティッチ
MVS=⽯⽥彰
功労賞=よこざわけい子、田原アルノ
特別功労賞=今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰しました
特別賞=水野なみ
リンク:「声優アワード」公式サイト
「声優アワード」公式X・@seiyuawards