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2026年3月15日、2025年度に最も活躍した声優を讃える「第二十回 声優アワード」の受賞者が発表されました。本稿では、助演声優賞を受賞した川田紳司さんのオフィシャルインタビューをお届けします。
――受賞の知らせを聞いたときの、率直な感想をお聞かせください。
川田 事務所の社長からLINEで「おめでとう、決まったよ」と連絡をいただいたのですが、最初は正直言うと「困ったな」みたいな気持ちでした。表彰されるのって、気恥ずかしいじゃないですか(笑)。二十周年を迎えるすごい賞で、数々の有名な、活躍されている受賞者の皆さんと同じところに自分の名前が並ぶ。本当におこがましいというか、僭越というか。もちろん、うれしくもあったんですけど、「身に余るな」という意味で、「困ったな」という気持ちが最初はありました。
――その後、気持ちに変化はありましたか?
川田 時間が経つにつれて、だんだんと冷静に受け止められてきて、「ありがたい」という気持ちがじわじわと込み上げてきました。賞に選んでいただけたということは、作品や役との出会いのおかげですし、そうしたご縁がありがたいことだなと思いました。でも、責任が一個増えるというか、「かっこ悪いところは見せられないぞ」みたいなプレッシャーもふつふつと湧いてきて、やっぱり「バンザイ!!」みたいな喜びの気持ちはなかったですね(笑)。
――2025年を振り返ると、どんな一年でしたか?
川田 もう「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」フィーバーな年といいますか。それに尽きる、「GQuuuuuuX」なしには語れない年でした。収録自体は一昨年に済んでいたのですが、作品が発表されて、皆さんに見ていただいて、そこからあれよあれよという間に作品が盛り上がって、それに飲み込まれたような感覚です。舞台挨拶や海外でのイベントなど、作品に関連したいろいろなこともやらせていただいて、お客さんやカメラの前に立つ機会がグッと増えて、その分、例年より慌ただしくはありました。とはいえ楽しいし、関わっている間中、ワクワクがずっと続いていたので、大変だという気持ちはなかったです。毎週の放送を追っかけ視聴して、ネットの反応を見たりもして、とにかく「GQuuuuuuX」と駆け抜けて、新鮮な経験ができた年でしたね。本当に、シャリア・ブルさんのおかげです。「何から感謝を伝えればいいんだろう」というぐらい、とても感謝しています。
――シャリア・ブルという役の印象をうかがってもいいですか?
川田 劇中の人間関係のなかでの立ち位置とか、飄々とした部分とか……言葉を選ばずに言えば、「ズルい」ですよね(笑)。
――おいしい役ですよね(笑)。
川田 そうそう。放送を見た人から、「おいしいね〜」って、よく言われました(笑)。キャストトークの収録などもあって、完成した映像を見返す機会も多かったのですが、よくぞあんなにも魅力的なキャラクターに描いてくださったなと。僕はどちらかというと、自分の仕事は作品のパーツでしかないと思っているんです。アニメのキャラクターが、監督が描きたいと思うキャラクターになるように、セリフのニュアンスだとか声の質を調整して、適切なパーツを提供する。でもシャリア・ブルに関しては、自分がシャリア・ブルを演じた意味みたいなものがあったように感じたんです。今まで僕は、まずキャラクターありきで、そのキャラクターがどういう人物像なのか?というところだけを考えて演じてきたんですけど、今回、「僕が演じたから、こういうシャリア・ブルになったんだな」という感覚があったといいますか……。
――詳しくうかがいたいです。
川田 シャリア・ブルの物腰の柔らかさというか、部下に対しても敬語を使うような人間関係の距離感といいますか。踏み込みすぎないし、かといっても、冷たくもならない。遠巻きに見ているけれど、傍観者にはならない……みたいなところ。もちろん、鶴巻和哉監督と脚本の榎戸洋司さんが描いたシャリア・ブルというキャラクターに、もともとそういうところがあるんです。でも、もしほかの人が演じていたら、同じことが芝居で表現されていても、もう少しバランスが違ったかもしれないなと。
――画面もセリフも同じでも、もう少し印象がドライだったり、ミステリアスだったり……。
川田 ありえたかもしれませんよね。実は僕自身も、普段から後輩にも敬語が崩せなかったりして、微妙に人と距離を取りたがるタイプなんです。そういうところが、キャラクターから滲み出る雰囲気に影響を与えたんじゃないか。僕の役者としての個性と、キャラクターの個性の相性がよかったんじゃないなと、少し感じています。キャラクターと声優との化学反応みたいなものって、やっぱりあるよね……と、この作品を通じて改めて感じました。世の中の多くの声優さんは、きっと魂を込めて演じることで、何かしらの化学反応をたくさん起こしている。ほかの皆さんがやっていることを、少し遠回りして、再発見できたような気持ちです。
――最後に、今後のお仕事の展望をお聞かせください。
川田 そもそもがノープランな男なので、将来像とか将来の展望とか、あまり思い描いていないんです。しいて考えるなら、年齢もだいぶ重ねてきましたし、こういう賞もいただいたということで、自分も声優としてデビューさせていただいてから、共演者や先輩方の背中を見て学ぶことでここまでやってきたので、まだまだ偉大な先輩方の背中には及びませんけれど「見られる背中」をちゃんとしていかなきゃいけないなと思っています。そうしたことを考えたうえで、ずっと「演技が楽しい」という気持ちだけでやってきたので、それを忘れないようにしたいですね。仕事ですから、時々は「もうしんどくて……」みたいなときもありますし、力及ばずへこたれたりするときもあります。でも、それを通り越して「やっぱり楽しいな」と思えるように、日々精進していきたいなと思います。あとは欲をいえば、声優の活動もしつつ、またさらに表現者として、いろんなお仕事にも挑戦していきたいですね。昨年は朗読劇に出演させていただきましたが、舞台であったり、ご縁があればいろいろなことにチャレンジしてみたい。今はいろんなことをやっている声優さんが多いですしね。僕もずっと、好奇心旺盛でいたいと思います。
【撮影:田上富實子/取材・文:前田久】
■第二十回 声優アワード 受賞者及び受賞作品
主演声優賞=戸谷菊之介、若山詩⾳
助演声優賞=上⽥麗奈、川⽥紳司、田中真弓
新人声優賞=⽊村太⾶、⾼野大河、寺澤百花、中山祥徳、菱川花菜、藤寺美徳、三川華⽉、村上まなつ
歌唱賞=AiScReam
パーソナリティ賞=⽇笠陽⼦
外国映画・ドラマ賞=尾上松也、坂本真綾、⽥村睦⼼
ゲーム賞=「Fate/Grand Order」
シナジー賞=「アイドルマスター」シリーズ
富山敬・高橋和枝賞=神尾晋一郎、佐久間レイ
キッズファミリー賞=リロ&スティッチ
MVS=⽯⽥彰
功労賞=よこざわけい子、田原アルノ
特別功労賞=今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰しました
特別賞=水野なみ
リンク:「声優アワード」公式サイト
「声優アワード」公式X・@seiyuawards