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「F.S.S.」×九谷焼の第2弾は「長皿」! 制作者が込めた熱い思いとは?

「月刊ニュータイプ」7月号で解禁となった、「ファイブスター物語」と九谷焼のコラボ企画第2弾。7月号の表紙も飾っている、GTMツァラトウストラ・アプターブリンガーのイラストを長皿に施すという挑戦的な試みです。これを手がけたのが、株式会社ミッドランドクリエイション代表取締役の中祥人さん。「ファイブスター物語」の大ファンでもある中さんに、制作に込めた思いや、完成に至るまでのエピソードをうかがいました。

――今回発売される長皿の製品としての押しのポイントを教えてください。

中:F.S.S.のジョーカー太陽星団史上において最強不敗を誇る「ツァラトウストラ・アプターブリンガー」をモチーフとしたことです。通称「Z.A.P」と呼ばれるこのGTMの特徴は透明なヘリオス装甲ですが、その透明な装甲部分に無色透明のガラス層を施すにより凹凸を作り出しヘリオス装甲をテクスチャとして表現されているのが今回の商品の最大の特徴です。

――製作工程で大切にした点、または苦労した点などあれば、教えてください。

中:前回の商品同様にF.S.Sを商品化する際にもっとも気を配るのは、世界観の表現とGTMなどの繊細なデザインが醸し出す雰囲気を損なわないように図案化することです。その際に苦労するのは線一本の細さをどこまで攻めるか?攻められるのか?ということ。「焼物」の制作においては様々な制限があり、グラフィックデザインのように狙った線の太さを再現できるわけではありません。それは色の再現性についても同様です。また、九谷焼には「盛り絵具」と呼ばれる「和絵具」と「洋絵具」があり、それぞれに特性があります。例えば、和絵具は焼成時にガラス質に変化して発色するため絵具がコンマ数ミリのレベルで流れますが、その流れまではコントロールできません。そこで窯内での絵具の動きに思いを馳せながらデザインを図案化していきます。想像通りの線の太さや発色、そして絵具の動きで仕上がってくるかはチャレンジであり、毎回小さな賭けをしているようなものです。しかし、それが伝統工芸の焼物であり、面白さや魅力、価値でもあります。とくに今回の長皿では三点、大きなチャレンジがありました。一つは、透明なヘリオス装甲を表現するために無色透明のガラス層を施したことです。九谷焼では本来、このガラス層は呉須線(黒い線)を覆うように施し、線の剥離などを保護する目的で使用されます。しかし、今回はその九谷焼の常識から外れ、敢えて呉須線を避けるようにガラス層を施しました。これは九谷焼では他に例を見ない試みで、作ってみないとどのような結果になるのか、その効果の程が分からないものでした。二つ目は、「九谷五彩」といわれる九谷焼の伝統的な「赤・黄・緑・紫・紺青」という五色の組み合わせでモチーフをいかに表現するかですが、これは前回の豆皿や豆猪口と同様にチャレンジングでした。とくに今回のツァラトウストラ・アプターブリンガーは白が印象的なため、九谷焼らしさを表現することに限界がありました。そこで長皿全体での色使いをシンプルにする方向性で、背景には赤と黒そして金を大胆に配色し、炎の中に立つツァラトウストラ・アプターブリンガーというイメージで図案化しました。そして三つ目は、九谷五彩以外の特色として淡青をGTM本体に施したことです。この特色は前回の豆皿と豆猪口でも用いられていますが、今回特注生産した高価な長皿との相性の関係で、発色については濃度違いを複数パターンテストし、発色の調整に取り組む必要があり、この作業がもっともデリケートだったかもしれません。

このように、既存の九谷焼のイメージにはない商品づくりをさせて頂いていますが、これは前回の豆皿や豆猪口、そして大皿を多くのF.S.Sファンの方々に受け入れて頂けたお陰です。そして、ミッドランドクリエイションのモノづくりに対する永野護先生をはじめ、ニュータイプ編集部のご理解の賜物だと感謝しています。今回の『九谷色絵金彩長皿 ‐ツァラトウストラ・アプターブリンガー‐』でも良い結果を出させて頂き、今後もファンの皆さまのご期待に応えられるような商品をお届けできたらと思っております。

九谷焼長皿
「九谷色絵金彩長皿 ‐ツァラトウストラ・アプターブリンガー‐」
2018年6月9日(土)より下記販売サイトにて受注開始
販売価格:税別1万7000円※発送費別途
素材:磁器
サイズ:横34.3cm × 縦12.3cm × 高3.0cm
数量:400号記念の数量限定販売(先着順)
その他:化粧箱入り

リンク:販売サイト
    公式Twitter・@MidlandCreation
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