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5月17日(木)に劇場公開されるOVA「あさがおと加瀬さん。」の完成披露上映会が開催されました。
「あさがおと加瀬さん。」は、緑化委員を務める山田結衣(CV:高橋未奈美)と、3年連続でインターハイに出場する加瀬友香(CV:佐倉綾音)による女子高生同士のピュアな映像を、水彩画タッチのやわらかな美術とともに描いた青春ストーリー。6月9日(土)より始まる期間限定公開に先駆けて開催された本イベントにはキャストの高橋さんと佐倉さんに加え、山田の友人である三河役の木戸衣吹さんが登壇しました。
原作の感想について、高橋さんは「女の子同士の恋愛がテーマですが、人と人との大切な関係を描いた作品」とコメント。普段から百合作品が好きだという佐倉さんは「多幸感のある作品が好きな百合仲間から、『ポジティブな気持ちになれる』とおすすめされて読んだ作品です。登場人物たちが悩みながらもハッピーであるところがいいと思います」と話しました。また、木戸さんは「疲れたことがあっても、読めば元気にもらえる」と作品のもつパワーを語ってくれました。
舞台挨拶では、佐藤卓哉監督からのコメントが読み上げられました。そのなかで、佐藤監督は「この作品に出会い、自分でアニメ化企画を立ち上げてから今日まで、仲間たちと走ってきました。これまでの時間は、山田さんがせっせと中庭で花のお世話をするのに似ている気がします。僕たちにとってこの映画は、山田さんが育てたあの中庭と同じです」と作品への思いを吐露。続けて、登壇したキャストにメッセージを伝えます。高橋さんには「いつもまっすぐなあなたは、山田とシンクロ率が高かった。本当に我がことのような切実さで山田を演じてくれてありがとう」。佐倉さんに対しては、「かっこいいけれどときにコミカルな加瀬さんをセンシティブに演じてくれてありがとう」。そして、木戸さんには「いきいきとした三河っちの演技がリアリティを格段に高めてくれました。ありがとう」と感謝のことばを投げかけました。
イベントの最後には、緑化委員の山田にちなんで花でつくったブーケトスを実施。大盛り上がりのなか、イベントは終了しました。
今回、WebNewtypeでは、イベントに臨んだ高橋さんと佐倉さんにインタビューを実施。役を演じる際に気をつけたことや、OVAの見どころなどを伺いました。
――山田と加瀬さんを演じる際に、気をつけていることを教えてください。
高橋:素の自分を出し過ぎないように注意しています。私自身は早口で、リアクションが大きいんです(笑)。でも、山田はどちらかというとおとなしい女の子。作品としても、どちらかというとリアルな方向を目指しているので、現実にいる女子高生に近い演技を目指しました。
佐倉:加瀬さんは天が二物も三物も与えた女の子。監督からのオーダーは、できるだけナチュラルにということでしたので、アニメ的な表現になりすぎないよう、周りにいる人たちのテンションやリアクションを観察しながらアフレコに臨みました。
高橋:山田は加瀬さんに憧れていますが、私も佐倉さんに対して同じ気持ちをもっています。だから、演じやすかったです!
佐倉:ありがとうございます(笑)。実は、山田役に先駆けて、私が加瀬さん役に決まっていたこともあって、オーディションに音声で加瀬役として協力していたんです。山田役は誰に決まったのだろうと楽しみにしていたのですが、収録で高橋さん演じる山田の声を聞いて、すごくぴったりだなと思いました。
高橋:佐倉さんのオーディション音声のことは覚えています。佐藤監督から、「この声、誰だかわかりますか?」と聞かれて、「佐倉さんに決まっているでしょ」って(笑)。一声聞いた瞬間から、「あ、加瀬さんだ!」と思えて、そこから自然に山田になれたと思うので、今、この場にいるのは佐倉さんのおかげでもありますね。
――実際の演技で気をつけている点はありますか。
高橋:よくリテイクをいただいたのは、リアクションを小さくということでした。
佐倉:むしろ高橋さんはそれしか言われていないんじゃないかな(笑)。
高橋:一番身近な人物である自分を参考にしたら、どうしてもリアクションは大きくなってしまって……(笑)。
佐倉:私とスタッフさんサイドの加瀬さん像が一致したのか、加瀬さんの演技に対して特別に何か指示をいただいた記憶はあまりないのですが、電話のシーンでは、かっこいいパターンから恋愛初期のデレデレパターンまで、いくつか収録していたんです。結果このシーンは山田が大好きでしょうがない方向のテイクが採用されたのですが、それで良かったなと感じました。
高橋:山田は加瀬さんのことが大好きですけど、我を失うのではなく、「付き合うって何をするんだろう」と考える、ある意味冷静なところがあるんです。だから、山田と加瀬さんの距離感はわりと複雑なのですが、それをしっかり演じられたのは、劇場OVAの収録に先だって、交際前の2人をドラマCDで演じられたからだと思っています。
佐倉:それも映像で見たかった!
高橋:佐倉さんはずっとそう言ってますよね(笑)。
――劇場OVAで印象に残っているシーンを教えてください。
高橋:沖縄に修学旅行に出かけるのですが、その道中の飛行機のシーンです。山田がとある事情で不安に思っている時に、加瀬さんが現れて手を差し伸べてくれる。そのときに山田がふと口にしたことばに加瀬さんは共感します。山田のモノの考え方のすばらしさ、2人の感性の相性のよさが感じられるシーンでした。
佐倉:私が印象に残ったのは、山田の頭にピョコッと生える草。うれしさや楽しさを表現するときに使われる漫画的表現なのですが、この作品の雰囲気にとても合っているんです。
高橋:光の表現もすごく綺麗だなと思います。2人の関係や感情を表すようにキラキラと画面が輝いていて、そのバリエーションも豊富で。特にバス停でキスをするシーンは、2人の抑えきれない思いが光で表されています。青春ってこんなキラキラした光でできているんだなと感じました。
――最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
高橋:光あふれる映像と音楽と、私たちの演技などから山田と加瀬さんの日常を感じてもらえたらうれしいです。ぜひ劇場で楽しんでください。
佐倉:恋愛をして、ただただ浮かれている女の子たちの物語です。青春作品としてとても素敵なので、百合初心者にもおすすめかなと思います。キャスト・スタッフ一同、たっぷりの愛をこめてつくりましたので、スクリーンで楽しんでいただけたらうれしいです。
6月9日(土)に発売される「ニュータイプ7月号」では、高橋美奈美さんと佐倉綾音さんの対談、そして監督・佐藤卓也さんと撮影監督・口羽毅さんの対談も掲載していますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
【取材・文:星政明】