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「細田守フィルムフェスティバル」伊藤智彦&タムラコータロースペシャル座談会レポート!

細田守監督の最新劇場用アニメーション「未来のミライ」の全国公開を記念して、角川シネマ新宿で8月24日(金)まで開催中の「細田守フィルムフェスティバル」。

この特集上映会のスペシャルイベントとして、「時をかける少女」「サマーウォーズ」の助監督を務められた伊藤智彦さんと、「おおかみこどもの雨と雪」の助監督を務められたタムラコータローさんの座談会が8月14日(火)に行なわれました。

最初のテーマはおふたりが各作品の助監督に就任する経緯について。「元々細田作品のファンだったんですよ。当時はマッドハウスにいたんですが、作風的に暗い感じの内容のものが多くて、明るい作風の作品を作りたいと思って自分から志願しました」(伊藤)。大学時代に自主製作アニメを作っていたときは、細田監督の作品から影響を受けていたという伊藤さん。

一方タムラさんは、伊藤さんが監督を手がけたTVアニメ「世紀末オカルト学院」で演出に参加したつながりで、伊藤さんに代わる助監督として紹介されたという経緯を語りました。「当時マッドハウスにいたんですが、元々はマッドハウスの中で細田監督とアニメを作るという話だったんですよ。それが、気が付いたら制作会社が独立していて、スタジオ地図に所属することになって驚きました。 (タムラ)と、当時を振り返りました。

助監督とはどんな仕事かと問われたおふたりは「実写におけるADです」と回答。「細田さんが考えた演出の細かい部分の処理をするのが助監督なんです。たとえば背景が流れる演出を細田さんが考えたとして、そのスピードまでは指定されていないので、我々が考え、各所に割り振るんです」(タムラ)。

話の流れは細田監督のアニメーションの作り方に移ります。「細田監督が音響部分の演出もご自身でやられるのは、東映動画(現:東映アニメーション)出身の監督ならではと思います。映画に限らず、アニメーション作品では専門に音響監督を立てることが多いのですが、東映アニメーションでは音響の演出も監督がやっていたんです」 (タムラ)。

また、細田監督作品の手法の一つとして、おふたりは人物に影を付けないことを挙げていました。「ポスターなどの、いわゆる版権については影を付けることもあるようですが、本編のキャラクターには入れないんですよね。この描き方は細田監督作品における印象的な手法の一つだと思います」 (タムラ)。

「あと、細田監督が描く、料理のアングルにはこだわりがあると思います。『未来のミライ』にも、こだわりを感じる料理のアングルがあって、もし監督にそれを言ったら『これがいちばんおいしそうに見える角度なんだよ、伊藤!』って言うと思うんですけど(笑)」(伊藤)。盛り上がるおふたりの対話からは、細田監督の作品作りにおけるこだわりの深さが垣間見えました。

細田監督の最新作「未来のミライ」については、駅の中で人々が行き交う雑多な雰囲気が見事に表現されていることや、くんちゃんがケモノに変身して走るシーンが3Dモデルで描かれていることについて大盛り上がり。人物に影がついていないから、手描きから3Dモデルに切り替わるのがとても自然だとおふたりが絶賛していました。

最後にそれぞれの近況について、おふたりがコメント。「最近は京まふ(京都国際マンガ・アニメフェア2018)に出演することになったり、東工大でイベントをすることになったり。もちろん、アニメも作っていますよ」(伊藤)。「11月に出る『ひそねとまそたん』のBlu-rayに収録される、特別版のEDを手がけました。もう納品済みですので、よろしくお願いします」(タムラ)。

おふたりが参加された3作品が上映される「細田守フィルムフェスティバル」は8月24日(金)まで開催中。デジタル化された美しい映像を大スクリーンで楽しめる機会となりますので、ぜひ会場を訪れてみてください。

【取材・文:石谷太志郎】

■「細田守フィルムフェスティバル」
劇場:角川シネマ新宿(東京都新宿区新宿3-13-3 新宿文化ビル4階)
開催期間:2018年7月28日(土)~8月24日(金)
入場料金:「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」各1000円/「場版デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム!」800円

リンク:「未来のミライ」公式サイト
    「スタジオ地図」公式サイト
   「角川シネマ新宿」公式サイト

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