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あてもなく、気ままに諸国を旅する少女・イレイナ。行く先々でさまざまな文化や慣習に触れ、幾多の人と出会いを果たしますが、旅人である彼女は決して一か所に留まることはなく、再び旅の途へと戻っていきます。これはまだ若き魔女の、出会いと別れの物語――。
2020年10月2日(金)よりTOKYO MXほかにて放送開始となる「魔女の旅々(魔女旅) 」は、原作・白石定規さん、イラスト・あずーるさんによる同名の連作短編式ファンタジーノベルを原作としたTVアニメです。WebNewtypeではそんな本作の魅力を掘り下げるべく、スタッフやキャスト陣へのリレーインタビューをお届けしていきます。連載第2回は、原作でイラストを手がけるあずーるさんにお話をうかがいました。
――「魔女の旅々」原作イラストのオファーを受けたときのことを教えてください。
あずーる 5年ほど前……2015年のちょうど今くらいの時期に、メールでお話をいただいたのがきっかけでした。当時「イラストレーターを仕事にしていくのなら、ライトノベルの挿絵はやりたい」と強く思っていたので、まさに渡りに船という感じでしたね。
――「魔女旅」に触れてどのような感想を抱かれましたか?
あずーる 主人公・イレイナの性格や容姿の設定も自分の描きやすそうなタイプで、とてもいいお仕事をいただけたと感じました。髪の色素が薄いキャラクターが好きで、そういうファンイラストをたくさん描いて公開していましたので、それを見てお声がけいただけたのかなと思います。
また、連作短編集の形を取っていて、気軽にさまざまなテイストのお話が読めるのも魅力に感じました。時おり見られる、暗いお話なんかも好きですね。
――あずーるさんの描くイラストの魅力のひとつには透明感が挙げられると思いますが、影響を受けたイラストレーターはいますか?
あずーる 絵を描き始めた当初は、岸田メルさんや黒星紅白さん、鵜飼沙樹さんといった方たちの作品を穴が開くかのようによく見ていました。今も強く憧れていますし、自分の絵はいくばくかの影響を受けていると思います。特に、岸田メルさんのイラストが持つ透明感はどこからくるのだろうと、影の色の付け方や、水彩画のような塗りなど、さまざまなことを学ばせていただきました。
――キャラクターや表紙イラストを描かれる際はどのようなやりとりをされていますか?
あずーる キャラクターは、編集さん経由でいただいた指定テキストを元にデザインします。髪や瞳の色に加え、スカートをはいている、パンツルックである、などの大まかな設定に準拠していますが、服装の細かい意匠などはありがたいことにお任せいただけています。
元々、もしノベルのイラストを手がけられるならファンタジーか学園モノがいいなと思っていましたので、イレイナがラトリタ国立学園に通うことになる第6巻では制服のデザインに熱が入りました(笑)。
表紙イラストも、構図やシチュエーションはこちらにお任せいただけていて、書籍が発売される季節に合わせたり、自分がその時描きたいものをそのまま描いたりしています。第4巻の表紙もそのひとつで、背景が廃墟なのは当時の自分が廃墟にいるイレイナを描きたかったからです。個人的に気に入っているのは、第8巻のドラマCD付き特装版の表紙ですね。うまくアンニュイな雰囲気が出せたのではないかと思います。
――デザインが気に入っているキャラクターは誰になりますか?
あずーる 綺麗な灰色の髪をしたイレイナはもちろん、アムネシアも気に入っているキャラクターの1人です。お姉さん属性というのも好きですし、髪型や騎士風の衣装にも自分の好みのデザインを詰め込みました。性格的な意味ではシーラのサバサバした振る舞いもいいですね。あの"引退したヤンキー"みたいな雰囲気が……(笑)。
――メインキャラクターを描く際に、特に気を付けていることはありますか?
あずーる イレイナは、左側のもみあげと後ろ髪を結んで前に垂らすという特殊な髪型をしていますので、そのボリューム感にはいつも気を使います。少しゆとりを持たせた結び方にしていますね。
サヤは作中で一番喜怒哀楽が激しいキャラクターだと思いますので、特に表情に気を使います。フランとシーラは基本的には"師匠ポジション"の人たちですので、落ち着きが出るように。イラストからも、大人の余裕のようなものを感じ取ってもらえたらいいなと思いながら描いています。
――キャラクターそれぞれにイメージしているカラーはありますか?
あずーる 特に決めているわけではないのですが……イレイナなら青よりの紫、フランであれば青……というところでしょうか。
――いよいよアニメの放送開始が目前ですが、アニメ化を知ったときの感想はいかがでしたか?
あずーる とてもうれしいし光栄なことですが、実は、PVを見た今でもまだどこか信じられない自分がいて、なんだか夢見心地なんですよね……(笑)。きっと、みなさんと一緒にオンエアを見たときに、初めてアニメ化を実感できるのだと思います。
――キャラクターに関して、アニメスタッフとはどのようなやりとりをされましたか?
あずーる メインキャラクターのデザインに関してはいくつかお願いさせていただいたこともありますが、小説とアニメはメディアが異なりますし、長年アニメ制作に携わってきたベテランの方たちが手がけてくださるということで、アニメに関しては素人の自分があまり口を出すのもどうなのかなと、お任せしている部分も大きいです。
――キャスト陣の演技を聞いての感想はいかがでしたか?
あずーる メインキャストのみなさんの演技を初めて聞いたのはドラマCDの収録に立ち会ったときでしたが、どなたもカチっとフィットしていると感じました。なかでも、黒沢ともよさんが演じるサヤが特に印象的ですね。「そうかこれがサヤなんだ、なるほどこういう感じの子だったか」と、以前からサヤはそういう声だったと言わんばかりに納得してしまいました。
――それでは最後に、アニメに期待していることを教えてください。
あずーる アニメでしか出せない雰囲気や、アニメでしかできない表現がたくさんあると思いますので、僕も「魔女旅」の新たな一面を見つけられるだろうと今からワクワクしています。
「魔女旅」がこうしてアニメになったのは読者のみなさん、ファンのみなさんの応援があってこそだと思っていますので、本当に感謝しています。アニメで初めて本作に触れてくれる方たちも含めて、今後も「魔女の旅々っていい作品だな」と折につけふと思い出してもらえるような作品を目指していきますので、アニメも原作小説も、今後ともよろしくお願いいたします。
次回以降の「魔女の旅々」リレーインタビューは、毎週TVアニメ最新話の放送直後に公開予定です。第3回目は、再び原作の白石定規さんにアニメに関するお話をうかがいます!