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「Tokyo 7th シスターズ」のキーマン・茂木伸太郎インタビューの第4回。最後はアイドルに息を吹き込む存在である声優との向き合い方と、目前に迫ったライブ直前の現場について聞いた。
●伝えたいのは感謝の気持ち。ただ、ありがとうを伝えたい
──1stアルバム「H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!」制作の経緯についても伺えますか?
茂木:こちらはライブの計画が先にあったんです。ライブをやるにはもう少し曲が必要だとなって、尺的に4曲はほしいと。実は期間的にあまりにもタイトだったので一度は断ったんですが、やはり妥協するのは嫌だったので、最終的に自分からつくりましょうと言い出しました。それでスケジュールを詰め込んでみたら、なんとかアルバムをつくる目処がたったので、それならアルバムとしてつくろうということになりました。
──ドラマパート制作には苦労や難しさもあったそうですね。
茂木:あのドラマパートは、ほとんどのキャストがスタジオに集って一斉にスタジオで収録したんです。でも、その現場で初めて会う子たちもいるし、皆さん若いので、最初の方はお互い様子をうかがってしまっていたんだと思います。ドラマの出来不出来はともかく、あれは僕のミスだと思いました。もっと前に皆さんの顔合わせをしておくべきだった。かなり後悔してます。
──声に関しては、ある程度プロの役者を信頼してゆだねなければいけない部分もあって、その分キャスティングが重要なのかなと思うのですが、どうでしょう。
茂木:そうですね。ただ僕は歌も演技も自分の表現したいことと違っていたら必ず言います。で、その上でキャストさんといっしょになってつくってきたものが今のシスターズになっているんだと思います。皆さん「ナナシス」を好きになってくれている方が多くて、自分から提案などもしてくれるし、この人本気だな、と思うことが多いです。だからこそ向き合うことができるというか。キャスティングについては正直、感覚がすべてだったような気がします。
──キャストを選考する時、どのあたりを大事にしましたか?
茂木:仕事がしやすそうだなとか、前にどんなキャリアを持っているとかは全然考慮に入れてませんでした。というのも、今のシスターズたちで僕がオーディション前に知っていたキャストさんはひとりもいないんです。だから、オーディションでの演技が僕の中のキャラのイメージに合っているか、それがすべてでした。
──全体の傾向として見ると、若手の新人さんを選んでいる印象です。
茂木:それは狙ってます。最初に18人を選ぶ時に120名ぐらいの方に参加してもらったんですが、納谷さん(※スタジオマウス代表取締役・納谷僚介)に「候補は有名な人ではなく新人さんを」とオーダーしました。それが2013年の夏頃なので、まだ水瀬いのりさんも加隈亜衣さんも大西沙織さんも、現在のような大ブレイクはしていなかった頃なんです。だから、今のブレイクぶりをみて、正直ちょっと悔しいです。「やっぱり売れてしまった」という感覚が(笑)。「ナナシス」のキャストの皆さんは、演技に対して真摯だったり、実力派だったり、実はとても面白い方だったり、とても個性的で魅力的なんです。たとえば春日部ハル役の篠田みなみさんだったら夏の青空くらいまっすぐな声だと僕は思っているし、篠田さんだけでなくみんながそれぞれの魅力をもっていることを、世の中の皆さんに知ってもらいたいと思っています。
──そうやって選んだメンバーたちといっしょに作品をつくってきて、初めてのライブが目の前です。最後に準備の状況や目指すライブのイメージを教えてください。
茂木:準備では全員が100%できることを出し切っています。でも、本番で100%が出せるかどうかは、やってみないとわかりません。初めてなので。みんなで歌うことも初めてだし、ダンスが初めてなメンバーもたくさんいます。僕もライブ制作は初めてですが、百戦錬磨の舞台監督さんや衣装さんたちが助けてくれています。それに、キャスト陣の自主練もすごいんですよ。それはもう、仕事の域を超えてるんですね。それだけみんなが出しきっています。作品に参加して物語を知って、支配人さんたちの愛情を知るうちに、彼女たちもありがとうを伝えたいと、思ってくれているんだと思います。だから、努力した上で失敗したって、会場の支配人さんたちが「やっぱり『ナナシス』が好きだ」「『ナナシス』を応援してよかった」と思ってくれたら、それで100点なんです。それはもう、「ハルノヘッドフォン」を書いた時から気持ちはぜんぜん変わっていない。
──支配人さんにこんなふうに参加して、楽しんでほしいというのはありますか?
茂木:俺たち、私たち支配人なんだよな!というのを感じていただければうれしいです。皆さんのおかげで「ナナシス」は単独ライブができるくらいまで成長したし、今はそういうつながり、コンテンツと演者とファンが交流し合える感じを大事にしたい時期だと思っています。【記事:WebNewtype】