舞台

READPIA朗読劇『モノクロの空に虹を架けよう』吉岡茉祐インタビュー「“明日へ踏み出すチカラ”を届けたい」

吉岡茉祐さん
吉岡茉祐さん(C)READPIA/Reading Live Monochrome

声優・吉岡茉祐さんが企画、脚本を手掛けたオリジナル朗読劇『モノクロの空に虹を架けよう』が、5月10日~15日、ニコニコ「READPIA」チャンネルにて配信。さらに16日には吉岡さん出演で、公演振り返り特番も配信されます。

夢を諦め、人生に迷う青年・拓海と、夢を諦めず、ひたむきにキャンパスに向かう画家の少女・彩。彼女のピュアな心に打たれ、拓海は徐々に生きるための力強さを取り戻していく。

この2人芝居の舞台に上がるのは、拓海役の上西哲平さん、小林大紀さん、土田玲央さん、汐谷文康さん、熊谷健太郎さんと、彩役の鈴木絵理さん、山村響さん、髙橋ミナミさん、本泉莉奈さん、南早紀さん、吉岡茉祐さん。計11人の声優たちです。日替わりで組み合わせが変わり、声優ファンにとっても注目の舞台となっています。

コロナ禍に沈む今の世の中にも向けたという物語。最終稽古を終えた吉岡さんに、本作に込めた想いを伺いました。

――まず本作を企画した経緯と、どのようなお気持ちで脚本を書かれたのかを教えていただけますか。

吉岡:コロナ禍になった昨年から、舞台でも、アフレコでも、役者が掛け合う機会というのがとても減っているんです。なくなってしまった作品もたくさんあって、そういう中で募るのが、お芝居をしたいという気持ちと、人と会って会話を楽しみたいという気持ち。それをなんとか形にしたいと思って考えた作品が、今回の「モノクロの空に虹を架けよう」になります。役者さんにも楽しんでもらいつつ、見てくださるお客さまにも、会話を交わす楽しさを思い出していただけるような作品を届けたかった。それと、拓海と彩という2人の人生を通して、「明日へ踏み出すチカラ」を届けたいという気持ちですね。今、イライラが募ったり、暗くなりがちな日常ですから、少しでも皆さんの心を癒やしてあげることはできないか、自分にできることはなんだろうかと。おこがましいかもしれませんが、「明るい世界はきっと来るんだよ」ということを形にした、希望にあふれた物語になっています。

――今回、企画から携わっていますが、そういう吉岡さんの気持ちを形にまとめ、持ち込んだわけですか?

吉岡:もともと主催であるREADPIAさんとはご縁があって、今年の1月、『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』という、READPIAさんの舞台に私も出演予定だったんです。それは緊急事態宣言で中止になってしまったんですが、お芝居をやりたいという気持ちがどうしてもあり、「じつはこんなものを考えていて……」みたいな感じで温めていたものをそっと出し……(笑)。と言っても、企画なんて言えない、物語のプロットレベルです。私にしてみてればREADPIAさんに形にしていただいたという気持ちです。

――キャストへの声掛けも吉岡さんがされたとお聞きしています。

吉岡:はい。これもREADPIAさんのお力を借りながらですが、同じ81プロデュースの方々や、これまでの仕事でご縁があった方々を中心に、お話をさせていただきました。

――皆さんの反応はどうでしたか?

吉岡:やっぱり「お芝居がしたい」ですよね。お芝居って掛け合いから生まれるもので、それがままならない今のアフレコはもどかしいって。特に同じ事務所の本泉莉奈ちゃんとはプライベートでも仲が良くて頻繁に話をする間柄なんですが、彼女も生放送やイベントのお仕事も減って、お客さんとの距離が遠くなっているのは寂しいと漏らしていました。今の状態だとコミュニケーションの感覚を忘れてしまいそうで、皆さんの前に立つのも、マイクの前に立つのも、ある種、感覚なんですよね。その感覚を忘れないためにも少しずつでいいからマイクの前に立って、掛け合いのできる仕事を作っていきたいね、というのをずっと話していたんです。

――今回は会場観劇なしの配信公演になりますが、やることの決断というのは勇気がいりますよね。

吉岡:それは本当にあります。こういうご時世ですから、世間にどう思われるかとかは考えます。止めることも英断ですけど、やっぱり私は、前に進むためにも最大限の努力をしてやっていきたいと思います。できないと諦めるのではなく、できることの中でお客さまに楽しんでもらえるものを考える。それが日々応援してくださる皆さんへの誠意だと思いますし、実現してくださったスタッフの方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。大変な責任感を持ってやってくださっているんだな、というのを、こちら側の立場に立って改めて強く感じています。

――(取材当日の)今日が最終稽古ですが、手ごたえはどうですか。

吉岡:すごく面白いです! 本当に2人の掛け合いのみのお芝居。たぶん、過去のどの朗読劇とも違った見方ができる作品じゃないのかなと思います。この2人芝居というのがポイントで、拓海役、彩役の役者さんの組み合わせが毎回変わります。役者さんによって表現の仕方が全然違っていて、同じ本(台本)でも違う作品に見えるくらいです。朗読劇ということで、舞台の役者さんでなく、声優だからこそできる表現が生きた作品になっていますので、ぜひ複数回見ていただけると嬉しいです。

――声の表現というところもそうですが、吉岡さんは朗読劇のどういうところに魅力を感じていますか?

吉岡:舞台も演出次第でいろいろ変化しますが、朗読劇はそれ以上に幅が広いことだと思います。今回の作品のように、役者は動かず声だけで表現するものもあるし、本を持って動きながら演じる作品もあります。オーケストラとコラボレーションをしたり、伝統芸能とコラボレーションしたり、見せ方は無限大。極論すれば声を成立させればいいので、縦にも横にも広げられるのが朗読劇のいいところですね。

――吉岡さんは他の作品でも脚本を書かれていますが、書くのが好きだったり、制作に携わりたいという気持ちがあるわけですか?

吉岡:もともと何か企画することは好きで、脚本書きは今回のように、自分のやりたいことを形にしたいというところから始まっています。稚拙過ぎて恥ずかしいですけど、応援してくださる方が寛容なので、何をやっても喜んでくれるんですよね。出したものに対してちゃんとリアクションしてくれることがとても嬉しくて、「じゃあ、これならどうだろう」というのを繰り返してきた結果、なぜか今プロデューサーみたいになっているというか(笑)。

――ゆくゆくは脚本家、作家になりたいという目標もお持ちですか?

吉岡:自分のベースは役者だと思っているので、まずは役者でいたいという気持ちです。脚本は表現のひとつとして書いている感覚ですね。よく「書けるのはすごい」と言っていただけるんですが、しっかり勉強したわけでもないので本職の方に申し訳ないなと思いつつ。ただ「私の脚本を読みたい」と言ってくださる方もいるので、この先も機会があれば続けていきたいという思いです。

――今後書いてみたい作品やジャンルはありますか?

吉岡:まだ一度も書いたことがないんですが、ファンタジーな物語を書いてみたいです。私、現代的な群像劇や日常を切り取ったような会話劇が好きなので、そういうのはあまり悩まずに書けているとは思うんです。でも、異世界に転生しました、魔物を倒しにいきます、みたいなものはなかなかイメージが湧かなくて。未知のジャンルですが、そこまで書けたら幅が広がるし、きっかけがあればチャレンジしたいですね。

吉岡茉祐さん
吉岡茉祐さん(C)READPIA/Reading Live Monochrome

【取材・文:鈴木康道】

■READPIA朗読劇『モノクロの空に虹を架けよう』
【公演情報】
5月10日(月)~15日(土)、毎日21:00配信開始予定(全6回公演)
ニコニコ「READPIA」チャンネルにて配信

【チケット】
ニコニコ「READPIA」チャンネル会員価格:3500ニコニコポイント
一般価格:4000ニコニコポイント
※視聴チケットはニコニコポイントにてご購入いただけます。

【キャスト】
5月10日(月)第一夜 拓海役:汐谷文康  彩役:本泉莉奈
5月11日(火)第二夜 拓海役:上西哲平  彩役:山村響
5月12日(水)第三夜 拓海役:熊谷健太郎 彩役:南早紀
5月13日(木)第四夜 拓海役:土田玲央  彩役:髙橋ミナミ
5月14日(金)第五夜 拓海役:上西哲平  彩役:吉岡茉祐
5月15日(土)第六夜 拓海役:小林大紀  彩役:鈴木絵理
※配役は日替わりで変更されます。

【振り返りアフタートーク特番】
5月16日(日) 21:00配信開始予定
出演:吉岡茉祐、田邊俊喜(演出)
READPIAチャンネル会員限定放送!
各公演を踏まえての、アフタートーク特番を配信。裏方サイドから作品に込めた想いや名場面振り返り、稽古での様子や、各公演での変化について、たっぷりトークで振り返ります。

【スタッフ】
原案・企画・脚本…吉岡茉祐/演出…田邊俊喜/プロデュース・宣伝…大喜多州統、古橋彩帆/企画・主催…KADOKAWA

【リンク】
リンク:「モノクロの空に虹を架けよう」公式サイト
    公式Twitter・@READPIA

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