「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」竹中凌平・原嶋元久対談

2018年に開幕した「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」シリーズ最終章はなんと「未来編」前後編一挙上演！　「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE -episode of FUTURE-」に挑むのは主演・沢田綱吉（ツナ）役の竹中凌平さんとその右腕・獄寺隼人役の原嶋元久さん。台本の覚え方から、役への向き合い方まで、２人の熱い想いがつまった対談をお届けします。

──前後編を続けて一挙に上演という、とんでもない挑戦です。

原嶋　実は先程、台本を受け取ったんですが……開いた瞬間から終わりへの扉が開きそうで……まだ開けずにいますが、今、ドキドキが止まらないです。

竹中　わかる！　僕もまだ開けられていません。初演から出演してきていたので最後となるのが名残惜しいという気持ちもあるんですが、前向きな気持ちで飛び込みたいと思っています。

──膨大なセリフ量ですが、どのように覚えているのでしょうか？

竹中　僕はけっこう計画的にやります。仮に10日あるとして、台本が80ページなら1日、10ページ覚えていけばいいな、と計算して……の繰り返しで、それを声に出して読みます。あと、これは……本当かどうかはわからないんですが、耳栓をするといいという話があって。しゃべると頭蓋骨に反響して、よけいに覚えられると聞いて耳栓して声に出して覚えてます。

原嶋　ほんとに？

竹中　受験生の勉強方法的なことであったんです。なので覚えにくい台詞とかあったらぜひ試してください！　

原嶋　……はい（半信半疑）。

竹中　ただ家で読んでいると、つい感情が入っちゃって、以前、苦情がきました……大家さんから電話があって「何か叫び声がする」って（笑）。でも耳栓してるから自分の声の大きさがわからないんですよね。

原嶋　それ、ダメじゃん!!!

──原嶋さんはいかがですか？

原嶋　僕もページを日にちで割って覚えていくのは一緒で、それが10ページあったとしたら、まず棒読みで10回読んで覚えたかどうかを確認しながら、もう10回読んで……と、まずは何も乗せない状態で覚えます。

──そこから気持ちを乗せていくのでしょうか。

原嶋　いえ、かってに乗っていく、という感じです。自分で作って乗せることをしないようにしているんです。先に作ると、稽古場に入ってから相手と噛み合わなかったり演出の意図とちがったりすることがあって、よくないなと思っていて。柔軟に対応できるように役のバックボーンだけ考えていって、形とかはいっさい作らず、ただ覚える、ということをしています。

──舞台背景の映像という演出もあり、必ず定位置に立って演じる、ということが求められます。

竹中　そのために稽古があります！

原嶋　おおーーーー！

竹中　今、僕、イイコトをいいましたね!!!

原嶋　いや……あの、僕、それが難しくて、ここじゃ駄目ですか？　って言っちゃうタイプです（笑）。

──それらの演出を手掛ける、丸尾丸一郎さんはいかがでしょう。

竹中　戦いの演出が全部、異なっていて引き出しがすごいな、といつも驚いています。プロジェクションマッピングを取り入れるだけでなく、人と人がガチでぶつかる泥臭い演出もあり……役者として試されてる感はありますよね（笑）。

原嶋　わかる。「おまえら、できるよな！」みたいな（笑）。そこにはもちろん応えたいし、それはキャスト全員に同じように向けられているんです。舞台ならではの強引な展開も「おまえら、ここは芝居で埋めてくれよな！」と求められている感じがあり、一丸となって演っていく感じがすごく好きです。

竹中　とにかく芝居に熱い人が多いと思っています。今回もキャストが多くて楽しみです。なかでもやっぱり、アニメでもリボーンを演じておられるニーコさんは大黒柱という感じ、どかんと真ん中に立っていてくれるんです。さらにランボ役のキメさん（KIMERU）がすごいんですよ。

原嶋　本当に！　キメさんはニーコさんとともに、このカンパニーの接着剤なんです。誰かが壁にぶち当たっているときに、ちょこちょこって寄っていて「どうなの？」って話を聴いて、ガス抜きをしてくれるところが本当に縁の下の力持ちだな、って。

竹中　先輩がそうやって受け止めてくれるからこそ、僕らはのびのびと演じさせてもらっています。

──演じるのが楽しみな場面はありますか？

原嶋　獄寺が初めて今までとはちがう一面を見せ、段々と柔らかく魅力的になっていく姿を届けたいです。個人的に観たいのは、京子ちゃんを助けるツナの場面です。それまで京子ちゃんに対しての想いみたいなものが描かれていなかったので楽しみです。

竹中　責任重大だ！（笑）　僕は「ミルフィオーレ」のボス・白蘭と戦い、過去を振り返って大事なものに気付くというところ。「大空のボンゴレリング」を持つツナとして、ラストシーンに続く場面が果たしてどんな演出になるのか楽しみです。皆さんの十年後の姿もカッコよくて、どう演じるんだろう……とわくわくしています。単に大人になるだけでなく十年を過ごしたうえでの「未来の自分たち」をどう演じるのかをイチ芝居好きとしてワクワクしています。

──改めて自身の役についてお聞かせください。

竹中　演じれば演じるほど好きになっていきます。実際にツナを演じると普段の癒やし系の感じからの一気にがらっとカッコよくなるメリハリが好きでものすごく楽しいんです。普段のツナから「超（ハイパー）ツナ 」があってこんなに変化がある役は珍しいと思うのでとてもやりがいがあります。

原嶋　前回の『家庭教師ヒットマンREBORN！』the STAGE-vs VARIA-ではそれぞれの戦いがあって、どかーんと見せ場があったんですが「未来編」は一度に勝ち負けが付かない戦いを細かく重ねていくという印象があって。そこに対して、いかに前作よりも魅力的な獄寺を演じられるのかを考えています。カッコよく見せたい、だけではなく自然にツナの横にいる獄寺もカッコいい……と思ってもらえる姿を模索していきたい。結果、「ボンゴレファミリー」のひとつのピースで在れたらいいなと。そこまでたどり着けたら、またひとつ広い世界が見えると思っています。ただ今回、実は獄寺がタバコを吸う場面が少ないので、そこはちょっと寂しいです。

──最後に互いへ一言と意気込みをお願いします。

竹中　元（げん）ちゃんはものすごくストイックで、舞台上ではめちゃくちゃ頼りになる存在です。だから、元ちゃん演じる獄寺に付いてきてもらえるようなツナを目指します。そして、ここまで一緒に走ってきたツナと新たな作品の始まりを楽しんで、最後まで突っ走ります。

原嶋　この作品ってやっぱり沢田綱吉がかっこいいんです。それを演じられる精神と肉体を持つ彼の背中を追って、ついて行きます。あとはもう駆け抜けるだけですね。走って、走って、走った先にたどり着いたところが終わり、なんだと思っています。原作の感動＋ステージとしての感動をお届けするので楽しみにしていてください！

【取材・文：おーちようこ、写真：疋田千里】
ヘアメイク：古橋香奈子、海野由香（LaRME）